初の海外ライブで取り戻した自信
――今年は、7月にブラジル・サンパウロで開催された『Anime Friends 2019』、8月にカナダ・モントリオールで開催された『OTAKUTHON 2019』にゲスト出演を果たし、海外でのパフォーマンスも行いました。YouTubeのコメントにも英語が増えていますが、海外のファンについてはどう感じていますか?
Lil’ Fang : 今はSNSでのコメントも英語のものが多かったりするんですけど、やっぱりなかなか会えないじゃないですか。顔を合わせてお話する機会もなかなかなくて、ライブに来ていただくのも難しい。そんな中で、私としては本当に海外で観に来てくれる人がいるのかどうか不安になっていた部分もあって、地球の裏側まで行って全然気持ちが届かなかったらどうしよう?って思いながら行ったんですけど、思ったよりも皆さん歌ってくださっていて。プラカードを持ってくれる方もたくさんいて、これはブラジルだけじゃなくて色んな場所に私たちから足を運ばないといけないなって実感しましたね。
Mikako : ありがたいことに、昔から英語でのコメントは多かったんですけど、「海外にファンがたくさんいる」という実感はあまりなかったんです。でも、海外に行って日本語で歌っているのに、日本語で歌い返してくれるっていう状況を目の当たりにして、改めて実感できましたし、それが自分の強さにもなりましたね。正直なところ、私は5人になった時に不安だったんです。またメンバーチェンジか、っていう気持ちもあってまだ自信がない時に、海外に行ったことで、こんなにも応援してくれて私たちを観に来てくれる人たちがいるんだって思えて、それが自信にもなりました。
Lil’ Fang : うちらの初めてできたファンページって、実はトルコなんですよ。「FAKY TURKEY」っていうホームページが8年前からあって。なので、トルコはいつか絶対に行きたい国です。
個性的な5人の共通言語を反映したダンスシングル3部作
――8月からリリースされてきたシングル3曲は、ダンスシングル3部作と銘打たれています。3rdシーズンの始まりとして、ダンスにフォーカスした理由は何ですか?
Lil’ Fang : 5人になって、以前よりもさらに個性が強くなったので、いろんな意味で合わせられるものはダンスだけだなと思っていて。無理に個性を殺したりすることは全く考えていないからこそ、それぞれ個性的な5人に共通するものは何かを考えた時に、唯一の共通言語がダンスだったんです。もともと5人とも海外のコレオグラファーが好きでチェックしていたりとか、こういう人に振り付けしてもらえたらいいねとか話したりしていたので、自然な流れではありましたね。
――リリースにあたって、かなりの数の楽曲候補から絞り込んだという話も聞きました。
Mikako : デモの時点から含めると、50曲は、はるかに超えていましたね。そこから絞って絞って、3曲を選びました。「ANTIDOTE」に関しては、実は4人の頃の2ndシーズンからあったもので、タイミングとか伝えたいものを考慮して今になったんです。選ばれし3曲、っていう。
Lil’ Fang : そう。選ぶ作業の時は、本当に悩みましたね。スタッフさんとメンバー全員で、頭を抱えた時も何回かありました。最初のうちは良いと思う曲も1人ひとりバラバラでまとまらなかったから、とりあえず皆好きな曲を挙げていって、その中で全員の意見が合ったのがこの3曲でした。
――「GIRLS GOTTA LIVE」は90年代R&B風、「ANTIDOTE」はレゲエ、「NEW AGE」はエレクトロニックと、サウンドはバラエティに富んだものですが、3曲に共通して「GIRLS POWER」を強く打ち出している印象があります。FAKYは以前から「GIRLS POWER」をテーマにしていますが、それにはどういった思いがありますか?
Lil’ Fang : 「GIRLS POWER」というのは、人によって形が違うものだと思っていて。自分の中の弱さや抱えている矛盾を受け入れて進んでいける、寛容さ・器の広さというのは、女性の強さの1つだと思うんです。でも、そんな中でも自分の個性をもっと大事にしてほしいという気持ちがあって。
Mikako : 分かる。「GIRLS POWER」といっても、FAKYの中にも5個の違うパワーがある感じ。FAKYが掲げている「GIRLS POWER」の中にも5種類の個性があって、だからこそFAKYを好きになってくれるお客さんも良い意味で1人ひとり違うんですよね。「私はこの子が好き」っていうのがすごく明確で、ファンの人ってやっぱり自分に似てるんです。それは5人それぞれが自分なりの表現をしているからだと思いますね。
Lil’ Fang : 日本って、まだまだ協調性を打ち破れないでいると思うんですね。それ自体はすごく素敵なところでもあると思うんですけど、そこを大事にし過ぎてしまって心が折れそうになる人も多い。実際、私も学生時代にそういう経験があるので、同じような気持ちでいる人に「それでいいんだよ」って言ってあげられるグループになりたいんです。女だから強い、とか思っているわけではなくて、そういう気持ちを共有できる言葉を探したら、「GIRLS POWER」がピッタリだったという。
Mikako : 私たちを見てもらえれば、きっと誰かには共感できると思う。「あ、この子と私は似てるな」とか、きっとどこかピンポイントで分かり合える人がいるんじゃないかな。
Lil’ Fang : うん。絶対に誰かとは友達になれるよね。
「NEW AGE」は憧れの存在・倖田來未からFAKYへのメッセージ
――「NEW AGE」は、倖田來未さんが初めて歌詞提供をした楽曲としても話題です。皆さん前々から倖田さんのファンだったそうですが、この話を初めて聞いた時はどう思いましたか?
Lil’ Fang : ……はい? みたいな(笑)。逆にそれくらいの反応しかできなかったよね。
Akina : ビックリとか、嬉しい!とかでもなかったよね。「え、ウソ?」みたいな。
Mikako : 逆に、私はLilのその反応にビックリしました。特にLilは倖田さんの大ファンで、ライブを観に行ったら泣いちゃうくらいなのに、スタッフさんから話があった時に反応が薄くて、「え? 逆にその反応?」って。
Lil’ Fang : 「いやいや、歌詞が上がってくるまでは、まだ本当か分かんないからね……?」って感じで、なかなか信じられなかった(笑)。
――実際に上がってきた歌詞を聴いて、どう感じましたか?
Lil’ Fang : 一言でいうと、「プレッシャー」ですね。倖田さんが書いてくださった歌詞のバージョンで、初めて「NEW AGE」というタイトルを目にしたので、これは完全に「FAKY、お前らがんばれよ。新しい時代を作れよ」っていうメッセージだなとすごく思って。毎回ライブに行かせていただくと、「しっかり自分を持って歩んでいきなさい。アーティストっていうのはそういうものだから」っていう話を頂いていて、噛みしめてはいたんですけど、まだまだ倖田さんは雲の上の人で、私はただの1ファンという意識が強かったんです。でも、「NEW AGE」の歌詞を見て、対アーティストとしての言葉をもらったんだなって初めて実感しました。アーティストとして、あなたたちが出来ることはこれだし、あなたたちが背負っていかなきゃいけないものってこういうことだよ、というメッセージが1曲に凝縮されていて、噛み砕くのに時間がかかりました。
――倖田さんからは直接お話はありましたか?
Lil’ Fang : レコーディングの後でお会いした時に、「やるのはあなたたちで、もうあなたたちの曲なんだから、曲を大事にしていきなさい」というような話をしてくださって。好きにやっていいんだよ、って言われた気がして、あ、私たちの曲になったんだなって実感しました。それもプレッシャーなんですけど、改めてFAKYにとって大切な1曲になりましたね。
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