JEFF MILLS presents PLANETS the Celestial Body Installation
世界的なテクノ・ミュージシャン、ジェフ・ミルズ。「明日から来た男」を自称する彼は、ダンス・ミュージックの未来を模索する『TDME』にピタリときます。今回のTDMEでは、同氏がポルト・カサダムジカ交響楽団と共に作り上げた『Planets』を40ch以上のマルチチャンネルで聴いてみようという、壮大なサウンド・インスタレーションが展開されました。
その名の通り、ジェフ・ミルズが「惑星」をテーマに、自身初のオーケストラ作品として制作した本作『Planets』。このアルバムを作る際、彼はそれぞれの惑星の構造、素材、サイズ、質量、密度などの科学的データを参照したといいます。こちらがティーザー映像のひとつ。
Jeff Mills – 『Mercury』
この作品を「オーケストレーションごと」再現したのが、今回のサウンド・インスタレーションです。日本を代表する音響職人たちが恐ろしい数のスピーカーを駆使し、僕らの目の前にジェフ・ミルズと楽団を出現させました。
こちら、今回のインスタレーションの仕掛人のひとり、サウンド・エンジニアのKOYASのインスタグラムより。
配置も実際のオーケストラとジェフ・ミルズのポジションを模しています。ホーン・セクションやストリングス、マリンバの位置までほとんど一致。オーディエンスはこの中を自由に歩き回ることができ、感覚としてはまるでコンサート中の楽団の間をウロウロしているようでした。
以前から先進性の高いパフォーマンスを展開しているジェフ・ミルズですけれども、今回も抜群の切れ味。ちなみに『Planets』のリリース当初、彼はこのようにコメントしていました。
人間は常に宇宙を見上げて答えを探し続けている ー 惑星を分析するのは自分たち自身の過去、現在、そして未来を学ぶ方法なのであろう。人類の将来は、自分たちが見つけたことを、進化の過程でターニングポイントとなったようないくつかの機会でいかにうまく利用するかにかかっている。我々の到来を宇宙の隣人たちは待ち望んでいるのではないだろうか。
本作「Planets(惑星)」は我々の世界に宇宙の地平線を少しでも近づけたい、かつては到達不可能と思われていた距離をより縮めていく感覚を身につけてもらうことを想定して制作された。
太陽系を観察、理解し、旅することは科学的である以上にアーティスティックなものである。生まれ、息をして、夢をみる生物として我々が持ち合わせているもの、自然を確認していく作業。存在として成熟した折にのみ学ぶことができる未知の世界を表現している。
クラシカルとエレクトロニック・ミュージックの融合は必然的だった。ともにメンタル、フィジカル両面である程度の感情を表現し、この二つのジャンルはともに、誰もがもっている数々の絡み合った謎を問う現代社会の産物だ。
この作品はPLANETSと題されているが、実は我々人間がテーマなのだ。同じ見解、同じ質問、同じ結論を共有しているという事実を大きなスケールで表現しようとしたのだ。
「明日から来た男」のスケールはやはりデカい。
Jeff Mills – 『From Here to There』
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