ますます混沌とする日本のインディーシーン。ジャンルに限らず、今日本で一番アツいポップミュージックがここにある。4/8に開催された『SYNCHRONICITY’17』では、そう思わずにはいられなかった。今年で12回目を迎えるこのイベントには何度も足を運んでいるけれど、今回が今までで一番エキサイティングだった。観たいアーティストが多すぎて、全く休みがなかったほど。終演後は疲れ果ててしまって、脳みそがすっかりお湯でした。
さて、そんな『SYNCHRONICITY’17』、僕が観たアーティストは全部で9組。この記事では、そのうちの5組を「国内インディー・ロック」という切り口でレポートします。また別の4組については後日公開される姉妹編にてフォーカスしているので、ぜひご一読を。
なお、本稿でピックアップするのはコチラの5組。
OGRE YOU ASSHOLE
Yogee New Waves
シャムキャッツ
Nabowa
CHAI
では、どうぞお付き合い下さい。
自身を更新し続けるバンド、OGRE YOU ASSHOLE
初っ端からインディー・ロックの雄、OGRE YOU ASSHOLE(オウガ・ユー・アスホール)である。まだイベントは始まったばかりだというのに、勢い余って彼らをベストアクトに推したくなった。ワンマンも含めて、オウガのライブは何度も観ているけれど、彼らが同じ曲目でパフォーマンスしているところを未だに観たことがない。「このセトリ、前と一緒だ…」と思ったことが一度もないんです。僕が出会っていないだけかもしれないけれども、彼らの新陳代謝の良さは図抜けているはず。
OGRE YOU ASSHOLE – 『フラッグ』
その秘訣は恐らく、彼らの引き出しの多さにある。ミニマルな構成でありながら、自在に音像を変えてゆく。この日は『フラッグ』がそのハイライト。ロングバージョンで披露されたこの曲には、神々しさすら感じてしまった。ノイジーで歪みのあるギターに、呪術的なベースライン。そこへ、出戸学(Vo.Gt.)の繊細な歌声が乗ってくる。『見えないルール』も『ワイパー』も良かったけれど、この日はとにかく『フラッグ』が飛び抜けて美しかった。この曲が発表されたのはもう10年近く前なのに、今もなお更新し続けるアーティスト然とした矜持。今やインディー・ロックバンドの雄として地位を確立した感のあるオウガだけれど、まだまだ攻めのスタンスは崩さないようです。
言葉の価値を再認識した日。Yogee New Wavesが提示した文学性。
歌詞の良さを図るバロメーターは多分存在しない。と言うのも、文学作品の価値は世代や世情に大きく左右されるからです。そんなこと言い始めたら芸術作品全般もその通りなのだけれど、やはり言葉を主体とする文学はその中でも一際繊細だと思う。しかしそれを踏まえても言いたい!Yogee New Wavesのヴォーカル、角舘健悟は僕らミレニアル世代における最強のリリシストです。今回一発目に披露された『Hello Ethiopia』ひとつ取ってもそう。
Yogee New Waves – 『Hello Ethiopia
05:39から始まる「楽しい未来に〜」の一節、すごいパンチラインじゃないですか?これを角舘は嫌味なく飄々と歌い上げるのです。だから鼻につく感じが全くない。バンドもそっと寄り添ってくれるようなサウンドを鳴らすので、彼が紡ぐ言葉をしっかり聞かせてくれる。それは『Like Sixteen Candles』のようなアップテンポで音数の多い曲にも言えて、やはりオーディエンスにしっかり言葉を届けてくれる。5/17にリリースされるニューアルバム『WAVES』からも数曲披露してくれたのだけれど、本作でも角舘のリリシストぶりは健在のようです。アルバムの中でも特に重要な曲となるであろう『Ride on Wave』はもちろん、『HOW DO YOU FEEL?』からも名曲の匂いがプンプンしました。
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