2017年、映画音楽で相対性理論大活躍!?
独自のサウンドで、インディーズトップに躍り出たバンド・相対性理論。2016年7月には初の日本武道館公演『八角形』を開催し、今や活動の幅は広く、映画音楽やCMソングでも活躍しています。
そして2017年は、映画の年! 4月に公開される、橋本愛、永野芽郁、染谷将太ら出演の映画「PARKS パークス」のエンディングテーマを提供しています。さらに、11月公開の映画「南瓜とマヨネーズ」の音楽監修・劇中歌制作などを、ボーカルのやくしまるえつこが担当。「南瓜とマヨネーズ」の原作は、90年代、00年代のサブカル界を代表するマンガ家、魚喃キリコ。その世界観にぴったりの音楽になるだろうと、期待が高まります。
魚喃キリコ『南瓜とマヨネーズ』表紙 ©魚喃キリコ/祥伝社フィールコミックス
独特な歌詞とサウンドの魅力
相対性理論は、2006年9月に結成されたバンドです。自らを『ポストYouTube時代のポップ・マエストロ』、『全天候型ポップ・ユニット』、『ポップ・シークレット・プロジェクト』などと名乗り、実験的なサウンドを送り出してきました。
出典:YouTube
『LOVEずっきゅん』は、バンド結成2ヶ月後にリリースした1stアルバム・自主制作盤『シフォン主義』に収録されています。インディーズながら、CDショップ店員が選ぶ「第1回CDショップ大賞」にて大賞を受賞しました。さらに翌2008年5月に発売されたリマスター全国流通盤がタワーレコード全店のウィークリーJ-POPインディーズチャート1位を獲得しています。
そのクセになるサウンドは、若者を中心に中毒者多発。ポップで軽やか、どこか気だるげなメロディと、やくしまるえつこの歌い方。メンバー全員で作詞作曲を行い、独自の世界を作り出しています。
歌詞も、一見意味のない言葉の羅列で、リズムに乗りやすいけれど、全編通して少しダークな世界観があります。それはなんというか……制服の少女が、世界と男たちの間を軽やかに行き来するような印象。ファンタジーやSFの要素がある楽曲も多いです。
25世紀に生まれたあなたは
時空警察に追われてしまった
22世紀に生まれたわたしは
テレビを見ながらコーラを飲んでた
『四角革命』
先生、聞きたいことまだあるよ
年下じゃいけないの?
答えて 答えて ねえ先生
『地獄先生』
出展:YouTube
2009年の『地獄先生』は、相対性理論らしい一曲と言ってもいいでしょう。ギター、ベースのリズムの良さに、けだるげなボーカルが加わって、思春期の全能感と面倒感が漂っています。クラスの男子を尻目に先生に恋心をぶつける、まさに“女子”。クラスでもおとなしいタイプが、実はこんな“女子”だったりするんですよね~。
全メンバー、他分野&多分野で活躍
ボーカルは、やくしまるえつこ。その活動は音楽にとどまりません。イラストやドローイング作品、朗読、ナレーション、CM音楽や、楽曲提供など、様々なフィールドで活動しています。またプロジェクト「相対性理論」「やくしまるえつこ と d.v.d」などのほか、生体データから人工衛星まで用いた作品を次々に発表。現在は、ミスタードーナツのCMソング歌唱とナレーションを担当しています。
やくしまるをはじめ、他のメンバーもバンド以外の活動に精力的です。永井聖一(ギター)はSalyu、Emi Meyerのサポート。吉田匡(ベース)はOpen Reel Ensembleのメンバーであり、元OKAMOTO’Sの初代ベーシスト。itoken(ドラムス、パーカッション)はd.v.d、トクマルシューゴ、栗コーダーポップスオーケストラのドラマーでもあります。おなじく山口元輝(ドラムス、パーカッション)はShing02、湯浅湾、Emi Meyerのドラマー。また、ZAK(サウンドエンジニア)はフィッシュマンズのエンジニア。米津裕二郎(サウンドエンジニア、バイオリン)はももいろクローバーZや氣志團などのエンジニアリングを行っています。
そもそも、2006年結成当時のメンバーは、やくしまるえつこ(Vo)、永井聖一(G)、真部脩一(B)、西浦謙助(Dr)の4人。そもそもバンド結成初期は、ライブ以外ではメンバーが姿を現すことはありませんでした。ジャケットでもプロモーション・ビデオでもそのビジュアルとプロフィールは曖昧で、人気は高いのに正体がわからないバンドとしても、さらに注目を集めていました。
2009年頃から少しずつ、雑誌で特集を組まれるなど、メディアへの露出が増え始めます。同時に、メンバー各自の動きも活発化し、相対性理論と並行して、いろいろな活動を行うようになりました。実はこのメンバー構成自体も流動的。さまざまなメンバーが参加しては、それぞれが他分野で活動しており、他ミュージシャンと楽曲制作などもしているので、“バンド”というより“プロジェクト”という印象をうけます。そのことについてやくしまるえつこは、「相対性理論はソフトウェア」とも表現しています。
出展:YouTube
映画「乱暴と待機」(2010年/主演:浅野忠信ら)の主題歌にもなった『乱暴と待機』は、大谷能生とのコラボ。ちなみにジャケットのデザインは、ヱヴァンゲリヲン新劇場版シリーズの監督・鶴巻和哉がやくしまるえつこをモデルに描き下ろしたものです。同年には、渋谷慶一郎とシングル『アワーミュージック』を発表もしています。
出展:YouTube
2017年、“吉祥寺”といえば相対性理論
多くのジャンルに表現の幅を広げる相対性理論ですが、2017年は彼らにとって“映画の年”、そして“吉祥寺の年”になりそうです。
出典:YouTube
映画「南瓜とマヨネーズ」には、やくしまるえつこのみの楽曲担当参加します。そして相対性理論としては、『弁天様はスピリチュア』が映画「PARKS パークス」のエンディングテーマに抜擢。本作は橋本愛、永野芽郁、染谷将太らが出演し、2017年に100周年を迎える井の頭恩賜公園(東京・吉祥寺)を舞台にした映画です。吉祥寺に縁の深い曲として、この曲が選ばれました。
しかも井の頭恩賜公園では、100周年記念放送として毎日10時・12時・16時の公園定時放送がやくしまるえつこの声となっています。さらにやくしまるのアナウンスと共に、記念楽曲として『弁天様はスピリチュア』を放送しています。
吉祥寺のデートスポット・イベントスポットと言えば、井の頭公園。2017年は、吉祥寺cityといえば相対性理論……そんな年になりそうです。
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