9月29日、幕張メッセという大舞台で5周年記念ワンマンライブ「神が宿る場所〜君が君らしくあればいいのさ〜」を成功させた五人組アイドルユニット・神宿(かみやど)。2019年は、結成当初からのメンバー・関口なほの勇退、新メンバー・塩見きらの加入と、神宿にとって激動の一年となった。
神宿は、11月15日から六本木morphでのライブを皮切りに新体制で初めての本格的な全国ツアー「神宿全国ツアー2019-2020 ”GRATEFUL TO YOU”」を行う予定。5周年記念ライブの直後・全国ツアー直前というこのタイミングに、彼女達は何を思うのか? 加入から半年間、アイドルになることの大変さと楽しさ両方を肌で感じてきた、新メンバーの塩見きらに話を聞いた。
Photography_Yohei Fujii
Interview&Text_Akihiro Aoyama
Edit_Miwo Tsuji
メンバーに追いつこうと必死だった半年間
――塩見さんが神宿に加入したのが4月29日ですから、加入からちょうど半年が経ちます。この半年を振り返って、どういった思いがありますか?
塩見きら(以下、塩見) : もう半年も経ったのかぁ……。感覚的には、こないだ入ったばかりって感じですね。他のメンバーがやってきた5年間に追いつくことに一生懸命で、一瞬でした。今考えると大変だったなって思う部分もあるんですけど、やっている最中はそんなこと思ってなくて、今目の前にあることをガムシャラにやるって感じでした。
――特に苦労したのは、どんなところですか?
塩見 : やっぱりダンスを覚えるのが1番大変でした。私はダンスの経験も何もない状態で加入したんですけど、すでにある何十曲を覚えなくちゃいけないし、一日に2・3曲覚えてはその週末にお客さんの前で披露する、っていう毎日で。初期のライブでたくさん間違えてしまった時のことは、いまだにトラウマになってますね。今でも夢に出てきたりしますもん(笑)。ステージで失敗しまくって、うなされながら目が覚めて、起きてもまだ振り入れしたばかりの曲のことが頭から離れなくって……。それでステージに出るのが怖くなったりしたこともあったので、何とかここまで来られて良かったなって思います。
――半年活動して、自分自身の成長は感じていますか?
塩見 : 自分ではあまり実感がないんですけど、ファンの皆さんとか周りで見てくれる人達は「成長したね」って言ってくださるので、素直に嬉しいですね。半年前までは普通の女子大生だったので成長したって言ってくれる人も周りにいなかったですし、高校一年から地元の愛媛を離れて広島で生活していたので、ずっと人に成長を見守ってもらうという環境ではなかったんです。だから、褒めてもらえるのは嬉しいし、新鮮な感じがします。
――塩見さんは神宿加入前からアイドル好きだったそうですが、実際に自分がアイドルになってみて、いかがでしたか?
塩見 : 本当の自分が何なのか、分からなくなる時がありますね。ステージ上の自分と普段の自分にかなりギャップがあって。普段はあんまりしゃべらない私だけど、ステージの上では笑顔になれるんです。けれど、そのギャップを、自分でも苦しく思うこともあります。アイドルがずっと好きだったけど、自分がなってみると、しんどい部分もたくさんあるんだなぁって思ったり。でも、そういう部分も含めて、楽しんではいますけど。
今はようやく落ち着いて、楽しく活動できるように
――最近はライブ活動に限らず、アニメの連載など、少しずつ活動の幅が広がってきていますね。
塩見 : 最近になって、ようやく大変な時期が落ち着いてきて、自分のやりたいことを少しずつ出来るようになってきたっていう感覚はありますね。最初は「(関口)なほさんの代わりに入る」ということで、ファンの皆さんに認めてもらえないかもっていう怖さがあったんですけど、だんだん「しおみぃで良かったね」って言ってくれる人も増えてきて、最近は楽しく活動できています。
――神宿はYouTubeの動画配信も積極的に行っていて、面白い企画が多いですね。
塩見 : 嬉しいです! メンバーでも意見を出し合って、グループチャットに思いついたものを送っていくというやり方をしています。例えば「目隠しして踊ってみた」という企画は、リーダー(羽島みき)が思いついたものなんですけど、やってみるとめっちゃ楽しかったですね。ずっとみんなで笑いが止まらなかった(笑)。
アイドルが目隠しして踊ってみた!【ほめろ!/神宿】
――あれはまさにグループアイドルにしかできない企画という感じがします。
塩見 : 私たちにしかできない企画をやりたいとずっと話していて。アイドルだからダンスとか歌を武器にしたいってことで始めました。ファンの方も楽しんでくれたみたいで良かったです。でも、後ろに行って壁にぶつからないように踊ってたら前に出ちゃって、みんなに「しおみぃ、前に出すぎだよ!」っていじられたりして。神宿に入ってからいじられることが多いんですよ! 私、そういうタイプのキャラじゃないのに!(笑)。
――でも、いじられるのも嬉しかったりするんじゃないですか?
塩見 : いや、嬉しくないです! でもみんないじってくるから、いつも「はいはい」って感じであしらってます(笑)。
初ステージと5周年ライブの大舞台で感じたこと
――豊洲PITでの初ステージのことは、今でも鮮明に覚えていますか?
塩見 : 緊張していたし、フワフワしてて、あまり細かいことは覚えてないんです。でも、その時客席の前方にいたファンの方たちの顔は今でも覚えていますね。泣いてて、振りもグチャグチャだったんですけど、楽しかったし嬉しかったです。
――当時の動画を見返したりはしますか?
塩見 : いや、見れないですよ。YouTubeに上がってて、皆さん「良かったよ」とか言ってくれるんですけど、恥ずかしくて見れない。一回見ようと思ったんですけど、「塩見きら~!」って入ってくる瞬間から泣いてて、「あ、これ無理だ」って消しました(笑)。
――9月29日には、幕張メッセで5周年記念ワンマンライブ「神が宿る場所〜君が君らしくあればいいのさ〜」を行いました。今まで一番大きいステージに立った感想は?
塩見 : ステージに登場して目の前の景色を見た時に、まず「すごいな」って思いました。他の4人となほさんが5年前にゼロから始めた神宿が、ここまで人を集められるようになって、こんなに大きなステージに立てているのはすごいなって。言葉にすると軽くなっちゃいますけど、すごくありがたいなって思いましたね。私が神宿の緑としてステージに立てていることがすごく嬉しくて、いろいろと込み上げてくるものがあって。だけど、5周年を祝うライブだったので「私が泣くのもなぁ」と思いながら、結局泣いちゃいました。
――幕張メッセで特に目に焼き付いている瞬間はどこですか?
塩見 : アンコールで、5周年のために作った曲「それから」を初披露した時のことは印象に残ってますね。この5年を振り返って泣いてるメンバーもいましたし、私も半年間の楽しかったことを思い出したり、大変なこともあったけど今こうしてステージに立てて幸せだなって気持ちとか、いろいろな思いが込み上げてきて、(小山)ひなさんとかと抱き合いながら一緒に泣いて。私たちが泣いてる姿を見て泣いてるファンの方もいて、本当に忘れられない瞬間でした。でも、個人的には反省点も多かったです。
――反省点というのは?
塩見 : 新体制になってからの神宿の姿はちゃんと見せられたかなって思うんですけど、もっと後ろの方まで楽しませたかったかなって。もちろん「楽しかったよ」って言って下さる方はたくさんいると思いますけど、例えばスクリーンに映る時の美しさとか、一歩動く仕草とか、「振りが入ってきた」「歌えるようになってきた」っていう基本的な部分よりもっと先を見せたかった。他の4人にそこまで追いつけなかったな、という感覚はありますね。
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