【C】シティ・ポップ
2010年代に入って大きなムーブメントとなった“ネオ・シティポップ”。その代表的なアーティストとしてよく挙げられるのは、Suchmos、Nulbarich、Yogee New Waves、never young beach……って、ぜんぜんタイプが違うバンドばかりじゃないか!と言われそうですが、実際、シティポップは定義がしづらく、ぼんやりとしたジャンルなのです。共通点を挙げるとすれば“都会的で、洗練されていて、洋楽の影響を受けていて、ダンスミュージックの要素もあって、でも、しっかり日本語で歌っていて”というところでしょうか。
シティポップの元祖的な作品といえば、山下達郎、大貫妙子などが在籍していたシュガーベイブの「Songs」(‘75年)、荒井由実の2ndアルバム「MISSLIM」(’74年)など。これらの作品にも、細野晴臣さんは大きな影響を与えています。特に「MISSILM」にはキャラメル・ママのメンバーとしてガッツリ参加。全曲のベースを担当しています。さらに吉田美奈子、南佳孝、山下達郎など、シティポップの源流となっているアーティストの作品も、細野さんを中心としたキャラメル・ママ人脈なしには成立しなかったと言っても過言ではないでしょう。
【D】ドラマー/松本隆、高橋幸宏、伊藤大地などとの関係
細野さんのキャリアを辿ってみると、常に優れたドラマーと一緒に活動していたことがわかります。まずは松本隆さん。ザ・バンド、バッファロー・スプリングフィールドといったアメリカのバンドからの影響と抒情的な日本語の歌を結び付けたはっぴいえんどのコンセプトには、しっかりとタメを効かせながら、歌詞を際立たせる松本さんのドラムが不可欠でした。
シンセや打ち込みを取り入れたYMOの楽曲の支えたのは、高橋幸宏さん。カントリーやブルースとは真逆の、正確無比にして無機質なビートを追求したYMOの音楽には、彼のシャープで無駄のないドラミングがもっとも適していたのです。
星野源さんが在籍したSAKEROCKのメンバーだったことでも知られる伊藤大地さんは、現在の細野さんの音楽を支えるドラマー。ブギウギ、ラテン、ロックンロールなどの20世紀半ばの音楽を深く理解し、そのグルーヴを生々しく体現する伊藤さんは、いまや10年代の音楽シーンを代表するドラマーのひとり。伊藤さん、伊賀航さん(Ba)、高田漣さん(G)、野村卓史さん(Key)による細野バンドは、ミッドセンチュリーの豊かな楽曲を今に伝える貴重な存在です。
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