5. 毎年予想を外す最優秀エレクトロニック/ダンス・アルバム賞
Best Dance/Electronic Album
『Migration』 — Bonobo
『3-D The Catalogue』 — Kraftwerk
『Mura Masa』 — Mura Masa
『A Moment Apart』 — Odesza
『What Now』 — Sylvan Esso
ジャンルとしては一番得意なはずなのですが、記憶にある範囲ではこの部門の受賞者を当てたことがありません。つまり、俗っぽく言うと筆者は逆神です。昨年はTychoかアンダーワールドに違いないと思っていたところ、フルームが涼しい顔でかっさらってゆきました。
けれども、今年も敢えていつもの感覚で選んでみます。Bonoboの『Migration』、今回はこれです。
Bonobo – 『No Reason』
で、保険のためにもう一枚選ぶとすれば、オデッザの『A Moment Apart』でしょうか。数字で言えば彼らが圧倒的ですし、実際この世代のダンス・ミュージックのアクトの中では突出した存在感を放っています。先日発表されたコーチェラのラインナップを見ても、彼らは準ヘッドライナー級の扱いでした。
先日の来日公演(即完)も大盛況であったMura Masaも推したいところですが、キリがないので今回はやはりBonoboを。
6. 並びを見ているだけでワクワクする、最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバム賞
Best Alternative Music Album
『Everything Now』 — Arcade Fire
『Humanz』 — Gorillaz
『American Dream』 — LCD Soundsystem
『Pure Comedy』 — Father John Misty
『Sleep Well Beast』 — The National
誰が受賞しても良いのでは(丸投げ)。いやだって、このラインナップのどこに異論を挟めと言うのですか。今回のこの部門で考えるべきは、何をもって「オルタナティブ」と呼ぶのかだと思います。この並びは、かつてのグランジなどに代表されるような「音として」のオルタナティブではないですよね。本来の意味での「トレンドにとらわれない」とか「前衛的である」とか、そういう意図で並べられたノミネートだと個人的には解釈しました。
Gorillaz – 『Strobelite』
その点では圧倒的にGorillazかなと。開き直って全く逆の意味だとすれば、ファーザー・ジョン・ミスティですね。彼の『Pure Comedy』は新機軸を切り開いたというより、自らのルーツを再定義するような作品でしたから。そのように見てゆくと、グラミーが「誰にどのような賞を贈るか」で、今の音楽がどこに向かおうとしているのかが分かることがあります。
7. 豪華アーティストによる生ライブ
グラミー賞当日の醍醐味と言えば、やはりトップアーティストたちによる生ライブでしょう。そこはさすがアメリカ、世界最強のエンタメ国家である矜持を見せつけんばかり。過去にはマイケル・ジャクソン、エリック・クラプトン、ビヨンセとJay-Zのコラボなど、名だたるビッグネームがスペシャルなステージを展開してきました。筆者個人がリアルタイムで観られた範囲でベストパフォーマーを選ぶとすれば、2014年のダフト・パンクか、2016年のケンドリック・ラマーですね。両方ともネットに公式な映像がアップされていないので割愛しますが、本当に凄まじいパフォーマンスでした。いまだに忘れられない。
で、辣腕ミュージシャンたちの生ライブは、もちろん今年のプログラムにも組み込まれています。今回はレディ・ガガ、P!nk、そしてグラミーでのパフォーマンスは初となるチャイルディッシュ・ガンビーノらが登場する模様。
Childish Gambino – 『Redbone』
個人的にはチャイルディッシュ・ガンビーノのライブに期待しております。プリンスやディアンジェロの系譜に居て、圧倒的にグルーヴィー。多才ながらまだ若い彼は、<EGOT*>達成も夢ではないでしょう。
*EGOT: テレビのエミー賞(Emmy)、音楽のグラミー賞(Grammy)、映画のアカデミー賞(Oscar)、演劇のトニー賞(Tony)を全て受賞したアーティストのこと。IMDbによると、達成者は2018年1月現在までにたった15人。
エド・シーランの主要部門ノミネート外をはじめ、ハリー・スタイルズやジャック・アントノフの落選など、開幕前に早くも話題を集めている今回のグラミー。果たして、誰がその名誉を手にするのでしょう。
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