思い出話は藤沢のソウルフードを食べながら
「がくお(渡辺のニックネーム)も初ライブはTOP’Sでしょ」
現在はLive House GIGS SHONAN FUJISAWAに店名を変更。当時とは場所も変わっているが、彼らが頻繁にライブを行っていた頃はCLUB TOP’S 湘南藤沢店という名前で営業していた思い出のライブハウスであり、萩本あつしとドラムの上田夏海が出会ったバンド結成のきっかけとなったハコでもある。
と、ここで学生時代から注目されていた萩本のバンド遍歴に少し触れておきたい。藤沢西高等学校 音楽部部員の萩本あつし(Vo.)、畑裕介(Gt.)、米山弘恭(Ba.)、大井一彌(Dr.)からなるThe Learners(ザ・ラーナーズ)は、2010年の「YHMF」(ヨコハマ・ハイスクール・ミュージックフェスティバル)にてグランプリを受賞。その後、吉田巧(Gt.)が加わりバンド名をPARADE(パレード)に改名。OasisやPrimal Screamに影響を受けたスタイルで活動をしていたが、2013年に解散。
「移転する前の方が音楽仲間と知り合ったから思い入れもありますね。大井(一彌。現在はyahyel、DATSとして活動中)とはThe LearnersとPARADEで一緒だったし、RAMMELLSの真田徹や、おれが影響を受けたシンガーソングライターの藤森翔平ともTOP’Sで知り合った。あとはSuchmosのYONCE……」とすこしためらいがちにその名前を口にした萩本に次いで、「そう思うとOLD JOE(オールドジョー)だね」と、渡辺が応える。
OLD JOEとはYONCEや真田徹が在籍したバンド(2015年に解散)であり、The Learners時代から切磋琢磨してきた存在でもある。YONCEはインタビューでLucky Tapesについて聞かれて、こう答えている
彼らは聴けば鎌倉出身だってわかるぐらいサウンドがオシャレですよね。俺らはもっと泥臭いっていうか、やっぱ不良なんですよ。育ちが悪い(笑)。「Suchmos、男としての生き様をブラックミュージックに込める」より引用
鎌倉、藤沢、茅ヶ崎は近しいようで、その実、異なる文化圏を擁している。ライブハウス横の「寅そば」(藤沢市民のソウルフード!)を懐かしがりながら、美味そうにラーメンを啜るふたりを見ていると、バンドの普遍敵な型は持ちつつも、不良性がないこともまた、いまのロックバンドのあるべき姿なのだと素直に思えてくる。
Live House GIGS SHONAN FUJISAWA
住所:神奈川県藤沢市南藤沢23-2 マタリ渡辺ビル地下1階B号室
電話:0466-24-0666
オフィシャルサイト
中華そば寅 藤沢店
住所:藤沢市南藤沢23-2
電話:0466-26-4359
オフィシャルサイト
駄菓子屋のような楽器屋
「自分が12、3歳の頃からお世話になっている地元激推しのスタジオです」と萩本が教えてくれたのが、Layneとしてはじめて入ったスタジオも運営する若泉楽器店。名物店長と3人の息子で楽器屋とスタジオを運営している。
放課後は塾で忙しい高校生のために早朝から営業するなど、学生へのサポート体制も整えている。ひとしきり中を覗いて帰ろうとすると、なぜかチョコレートとせんべいをもらう。渡辺曰く、いつものことらしい。なんだか、駄菓子屋に寄ったみたいだ。
住所:神奈川県藤沢市藤沢93-6
電話:0466-50-1555
渡辺ははじめてのギターを「BOW」で購入した。渡辺は「ぼくは初心者セットの赤いストラトキャスターでした。どうしましょうっていうところから親切に教えてもらいました」と、当時を振り返る。その視線の先にはヴィンテージのリッケンバッカーが掛かっている。「高校時代からずっとある名物ギターです。これに関しては看板みたいなものなので、ずっとこのままあってほしいですね」
店長の岡部さんは、「(学生は)渡辺くんが来ていた頃よりも少なくなりましたけど、いまでも頑張っている子たちは多いですね。彼もたまに来てくれて、エフェクターの調子やギターの調子をみています」と話してくれた。渡辺が「今後とも……」と挨拶しようとすると、間髪入れずに「レコード、はやくもってこいって。買うって言ったじゃないか」というツッコミも、ふたりの関係性を表す“エモい”光景だった。
楽器屋BOW
住所:神奈川県藤沢市藤沢973 相模プラザ第3ビル 1階-A
電話:0466-25-8380
オフィシャルサイト
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