12月8日(日)、昭和女子大学・人見記念講堂にて緑黄色社会のワンマンツアー『リョクシャ化計画2019』ファイナル・東京公演が行われた。2018年のツアーと同様に「リョクシャ化計画」の名前を冠した本ツアーは、11月8日・宮城を皮切りに、全国9都市を一カ月かけて行脚。名古屋・大阪・東京の公演はホールで開催され、バンド史上最大規模のツアーとなった。
未発表曲からスタートしたツアーファイナル
客席の照明が落ちると、紗幕が降りたままステージ上に緑黄色社会の4人が登場。長屋晴子がピアノを弾き、しっとりとしたバラードを歌い出す。この日の公演は、なんと未発表曲の「冬の朝」からスタート。紗幕に映るバンドのシルエットの上から雪のような光が降り注ぎ、この季節にピッタリの世界観を演出する。バンドの演奏が長屋の伸びやかな歌声を支え、観客はうっとりと美しいアンサンブルに聴き入っていた。
静かなオープニングが終わった後、キラキラと煌めく光の粒を思わせるSEに乗せて、七色の幾何学模様が明滅する映像が映し出される。ドラムのカウントに合わせて紗幕が降り、緑黄色社会が姿を現すと観客は一気に総立ちに。長屋の掛け声をきっかけに手拍子が始まり、軽やかに疾走する「リトルシンガー」が演奏された。
ホール全体に高揚感が広がる中、続いて「始まりの歌」に。客席からは熱いハンドクラップと「ララルラ♪」の合唱が巻き起こり、小林壱誓の「東京~!」という煽りを受けて熱気はさらに加速。続く「君が望む世界」では少し速度を落とし、楽器隊の一人ひとりが粒の立った鮮やかな演奏を響かせた。
初めてのホールで躍動するバンドのアンサンブル
ここで、本日最初のMCタイム。「私たちにとっては、ホールでワンマンライブをやるのが今回のツアーが初めての試みで、本当にすごい景色。こんな景色が、こんなにも早く見られるなんて。」と、長屋は早くも感慨深げな様子だ。客席の緊張をほぐすためのコール&レスポンスが行われた後は、最新シングル「sabotage」の収録曲「Alright!!」が演奏された。
会場がポジティブな空気に包まれる中、「今日が何曜日か、ご存知?」という言葉をきっかけに次の「にちようび」へ。日曜の倦怠感と癒しを歌う、この日にぴったりの楽曲に合わせて、観客は心地良さそうに揺れている。中盤にはpeppe、穴見真吾、小林の順でソロ回しが行われ、バンドの地力の高さを見せつけた。
続く「Bitter」では、原曲のダンサブルな四つ打ちが生ドラムのグルーヴに取って代わり、peppeのピアノが軽やかに躍動。「現在地を教えて!」という長屋のシャウトに、会場からは大きな歓声が巻き起こった。
「今回、みんなを“リョクシャ化”するよ、ということなので、私たちもいろんな色の曲を、いろんな表情の曲を歌うし演奏するし。みんなも思うような色に染まってもらえたらなって。そんな気持ちでいます。皆で良い時間にしようね。」と長屋が話した後、演奏されたのは「幸せ」。抑えた演奏に乗せて歌われる何気ない幸せの言葉は、緑黄色社会からファンへ向けた感謝のメッセージにも聴こえた。ゆったりとしたリズムを引き継いだ「Re」では、次第に分厚いギターとベースのアンサンブルが高まりをみせ、静かな熱気が会場に伝播していった。
バンド全員の技巧的なプレイが立体的に絡み合った「大人ごっこ」、直線的なロック・ビートで駆け抜けた「アウトサイダー」、小林もコーラスに加わって張りつめた演奏を響かせた「Never Come Back」と、中盤は全くタイプの違う楽曲を立て続けに披露。多様な音楽性を内包した緑黄色社会のカラフルな世界観を見せつけた。
右肩上がりの熱狂を見せた後半戦
ここで4人全員が参加して、和やかな掛け合いでMC。『リョクシャ化計画2019』の裏ツアーとして、全国のカレーを食べる「カレーツアー」を開催していたという裏話も披露され、長屋が辛い食べ物が苦手なため参加できず、寂しく思っているという何気ない会話に、会場は笑いで包まれていた。
ここからライブは後半戦に突入。「want」、「真夜中ドライブ」、「逆転」と、疾走感溢れるナンバーの連発に会場のギアも右肩上がりに加速していく。「あのころ見た光」では、「ラーララーラーラー♪」のコーラスで会場全体に大合唱が響き渡った。続いて、長屋の「1、2、3、4!」の掛け声に導かれて、穴見のベースが体を突き上げるようなフレーズを叩き出して「Alice」へ。アッパーに駆け抜ける演奏に、観客は熱いハンドクラップとコールを返していく。
次に披露されたのは、11月にリリースされたばかりの最新シングル「sabotage」。軽やかに階段を駆け上がっていくような演奏と長屋が歌うメロディの高揚感に、会場の熱気はピークに達した。途中、長屋がタオルの込められたバズーカ砲を客席に打つも、あまり飛ばずにヘロヘロの軌道で客席へ着地。続くMCでは、その様子がツボに入り笑いながら「悔しい!」と話し、会場は和やかなムードとなった。
長屋が涙ながらに語った、メンバーとファンとの固い絆
「今回、一番強く思ったのが、良いメンバーだなって。普段こういうこと言わないから、今恥ずかしくて横見れないんだけど。皆が皆、初めて組んだバンドで、起こることの全てが初めてで。色々ぶつかったりとか、すれ違うこともあったけど、すごくたくましい、頼もしい、愛おしいメンバーだなって思うんです。歌うのが好きで、それだけで音楽を続けてきたんですけど、一番そばで私のことを、歌を支えてくれるメンバーがこの3人で良かったなって思いました。」と話す長屋の目には涙が。続けてファンへの感謝を語ると、会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こった。
「皆に元気をもらった分だけ、もらった以上に返せるように」と最後のMCを締め括り、本編ラストに披露されたのは「想い人」。シンプルな演奏に乗せて長屋の歌が伸びやかに響き渡る。温かく、優しく、力強く。緑黄色社会とファンの間に結ばれた固い絆が、そこにはあった。
その後、鳴り止まないアンコールの声に応えて、ツアーTシャツを着た長屋、小林、peppeの3人が登場。彼らのワンマンライブでは恒例となっている、真吾先生のグッズ紹介コーナーが始まった。ライブ中のクールな印象とは真逆に、ノリノリで踊りながらグッズを紹介していく穴見の姿に、会場は大盛り上がり。続いて、ヘロヘロに終わったバズーカ砲のリベンジが行われ、グッズのタオルがキレイな軌道を描いて空を舞うと、会場は大きな拍手と歓声に包まれた。
アンコールの1曲目は、バンドを始めた頃の曲だという「丘と小さなパラダイム」。「きっとまたこうやって会えると思うし、いろんな色に染まり続けて行って欲しいな。終わってしまうのは寂しいけど、きっとまた会おうね。」というMCの後、「またね」でライブは大団円となった。
最後は、9都市を回ってファンのメッセージがびっしりと書き込まれたフラッグと共に記念撮影。名残惜しそうに客席に何度も手を振るメンバーたち。その姿に、ファンの皆が終演後SEとして流れた「sabotage」を大合唱して答える。その素晴らしい光景は、緑黄色社会に待ち受ける輝かしい未来を祝福するかのようだった。
緑黄色社会公式HP
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