国内にもイカすインディーレーベルはあるんだぜ
音楽誌の記事を読んでいると、「誰々が〇〇のレーベルから新作をリリース!」なんて文言がよく見受けられますが、〇〇の部分が今や完全に枕詞的になってしまっている印象を受けます。習慣的に付けなければいけないものであって、送り手も受け手もそれほど重要視していないといいますか。
けれども、良い音楽と良いレーベルの関係は切っても切り離せないもの。洋服のセレクトショップに近いかもしれません。まずそのお店のセンスがあって、カラーが確立されてゆく。YouTubeやSoundcloudの台頭など、ネットの発達によってレーベルも変革のときを迎えていますが、依然としてその重要性は変わらないと思います。
ということで、今回は日本国内のインディー・レーベルを特集。きっとあなたが好きなカラーもあるはずです。
1. 国内最強のインディーレーベル、P-VINE
1975年設立の老舗レーベル、P-VINE。元々は海外のブラックミュージックを中心に扱っておりましたが、徐々に国内のアーティストの配給が増え、現在の形態に。OGRE YOU ASSHOLE、Tempaly、MONO NO AWAREなどはここに所属しております。カタログの数、規模感、所属するアーティストのクオリティ、どの角度から見てもトップクラスです。「インディー」という括りでなくとも日本有数のレーベルでしょう。
OGRE YOU ASSHOLE – 『ムダがないって素晴らしい』
ちなみに海外アーティストのリリースも充実しており、アンドリュー・ウェザオールやインコグニートなどの大御所の日本国内版もここから出ています。例に挙げたアーティストの音源を聴いても分かるように、ジャンルの幅広さも申し分ないです。大抵のポップ・ミュージックが揃っていますから、困ったらまずここへ。
2. 今年15周年のアニバーサリーを迎えたカクバリズム
YOUR SONG IS GOOD、cero、思い出野郎Aチームなどが在籍するカクバリズム。2002年にYOUR SONG IS GOODのファーストシングル『BIG STOMACH, BIG MOUTH』をリリースしてから、実に15年の月日が経過しました。「2000年以降のインディーシーンを支えたレーベル」と言っても過言ではないでしょう。
スカート – 『視界良好』
今年は澤部渡によるソロプロジェクト<スカート>のメジャーデビューも決まるなど、その勢いは垣根を超え始めております。
3. テン年代中期から旋風を巻き起こし続けるBAYON PRODUCTION
Yogee New WavesやD.A.N.、ZOMBIE-CHANGなど、次世代を担うバンドやアーティストが所属するBAYON PRODUCTION。クラブのアングラ感と古き良きインディー魂を併せ持つ、極めて「インディペンデント」なレーベル。
D.A.N. – 『Dive (Live)』
ここはシンプルにかっこいいミュージシャンが多い印象がありますね。かつ、それぞれがまた抜群に個性的。
never young beachが今年の7月にメジャーデビューを果たし、ますます存在感を高めている昨今。
4. 一味違うカオティック、術ノ穴
良い意味で歪な音楽を鳴らすアーティストが多い、術ノ穴。ヒップホップを基調としながらも、その内容は実にカオティック。禁断の多数決、泉まくら、ANIMAL HACK、DALLJUB STEP CLUBなどが所属しています。そしてやはり看板アーティストは、近年のヒップホップシーンの中で異彩を放つDOTAMAでしょうか。
DOTAMA – 『東北道』
また、『ササクレフェスティバル』という複合型フェスティバルも主催しており、多角的なアプローチを試みているのも術ノ穴の特徴です。ちなみに今年はミーティアもお邪魔しました。コチラ、当日のライブレポート。拙著ですが、よかったら読んでやって下さい。
5. 国内と海外を繋ぐ架け橋、MAGNIPH
音もスタンスもオルタナティブなのがここ、MAGNIPH。2011年に設立されたインディーレーベルで海外のアーティストの作品もリリースしており、最近ではカイト・ベースの『Latent Whispers』の国内盤がここから出ました。国内のアーティストでは、THE NOVEMBERS、MONO、BO NINGENなどがこのレーベルからリリースしております。彼らに加えて、幾何学模様のような将来有望株も在籍。
Kikagaku Moyo – 『Trilobites』
それぞれのMVのコメント欄を見れば分かりますが、MAGNIPHに所属するアーティストは海外にも多くのファンがいます。実際、その内容は相当な海外仕様。英詩というだけでなく、音像も外国からの流れをダイレクトに反映させています。ベースは東京にありますが、彼らの眼差しは海の向こうを見ている。
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