『TOKYO DANCE MUSIC EVENT(TDME)』が見つめる先は・・・。
11月30日から12月2日の3日間にわたり、東京・渋谷ヒカリエほかで開催される『Tokyo Dance Music Event(TDME)』。世界中から音楽関係者やアーティストが渋谷に集結し、音楽の未来について語り合う複合型イベントです。「関係者」というと途端にハードルが上がって、なんだかとっつきにくい印象を受けますが、ここで断言しておきましょう。このイベントに集まるのは、純粋に音楽を愛する人たちばかりです。
コンセプトは、「日本独自のダンス・ミュージック文化を東京から世界へ発信し、市場の活性化を推進」すること。今年二回目の開催を迎える『TDME』ですけれども、とりあえず昨年の様子をご覧いただくのがよろしいかと思います。
TDME 2016 Aftermovie
本イベントは、以下の3つのセクションに分けられます。
CONFERENCE
音楽ビジネス、マーケティング、アート、テクノロジー業界に従事している方向けのビジネスカンファレンス
SESSION
著名アーティストが参加する楽曲制作者向けのワークショップやスタジオセッション
LIVE
国内外のアーティストによる、渋谷エリアのクラブ・ライブハウスで開催されるライブイベント
これらは各々の立場に関わらず、全ての人が交流できる仕組みとなっております。大学を卒業したばかりのペーペーの身から怨念を込めて言わせてもらいますけども、筆者はこのイベントに学生として行きたかったです。本当に(×100)。あと1年早く始めて欲しかった・・・。
まぁつまらない恨み節は置いといてですね、真面目にこのイベントの有用性について語ってみようと思います。ポイントは大きく分けて3つ。
プラットフォームとしての渋谷
TDME 2016 TEASER
今、渋谷(原宿・代官山・恵比寿含む)が面白い。独自に発展した日本のカルチャーを指して「ガラパゴス」という言葉が使われますが、今の渋谷はその「ガラパゴス」も多様性の一部にできるぐらい、色々な人種・文化が息づいています。TDMEのテーマであるダンス・ミュージックひとつ取ってもそれは言えるでしょう。渋谷にあるクラブだけで相当数のダンス・ミュージックを堪能できるはずです。
ATOMTOKYO HALLOWEEN2017 AFTERMOVIE
こちらは渋谷のATOM。文字通り、先日のハロウィンの模様ですね。いわゆる「クラブ」のイメージに最も近いのではと思います。VIP席の高級感が良い。
A-TRAK at VISION TOKYO JAPAN
個人的な話で恐縮ですが、筆者が今年一番行ったクラブがここかもしれません。正式な表記はSOUND MUSEUM VISION。恐ろしくレンジの広いクラブで、その日開かれるパーティーによって鳴らされる音が全く違う。例として出したA-TRAKのような世界的スターから国内の気鋭トラックメイカーまで、ラインナップも様々です。
Octopus Recordings Showcase @ Sankeys Tokyo
2016年、代官山にあった伝説的なクラブ『AIR』の跡地にオープンした新スペース『Sankeys TYO』。場所が代官山のバックストリートというだけあって、パーティーの内容は非常にアンダーグラウンド。上の動画は日本のテクノ・パーティ『REBOOT』と世界的テクノ・レーベル『Octopus Recordings』がコラボレーションしたときの様子。ちなみにこのクラブ、日中〜夕方は同じスペースでライブ・ハウスSPACE ODDとして営業しています。
このほか、大小様々なクラブが渋谷にはあります。フロアで鳴らされている音の多様性で言っても、今の渋谷があらゆるカルチャーの受け皿になっていることは明らかでしょう。『AIR』が閉店したときは心底落ち込んだものですが、今この街がまた面白い。
音楽シーンの再編と可視化
で、TDMEが始まるまでは渋谷の多様性が宙に浮いていたのです。これほど多彩な音が鳴っているのに、それぞれが繋がりを持たなかった。エレクトロはエレクトロ、テクノはテクノ、トランスはトランスと言った具合に、各々のカルチャーが混ざり合うことがなかったのです。そのうえ、アングラなパーティーには相変わらず入りにくかった。先述のVISIONがオープンしたのも2011年ですから、それまでは何となくカラーが固定されている印象があったような気がします。
それをTDMEは、カンファレンスやセッションという形で一堂に集めてしまうわけです。以下は開催期間中のスケジュール。ご確認ください。
ダンス・ミュージックどころか、あらゆる音楽に通ずる普遍的なテーマのカンファレンスとセッション。確かにこれまでのナイトライフも楽しかったけれども、どこか閉塞感が漂っていたのも事実。TDMEがやろうとしていることは、その現状の打破、延いてはダンス・ミュージックを筆頭とした音楽シーンの再編だと思うのです。もちろんそれは平均化ということでなく、各々の見えにくかったところを可視化して、今語るべきことをしっかり語るという挑戦的な意味があります。そうすると、今まで自分はマイノリティだと思い込んでいたところ、実は同じことを考えている人が相当数存在することが分かるわけです。
開かれたダンス・ミュージックシーン
筆者が「学生として行きたかった」最大の理由はコレで、TDMEでは一見するとクローズなイメージのある音楽業界をフラットな目線で接することができるのです。どのカンファレンス、セッションに行っても実のある体験ができるはず。セッションに至ってはシーンの最前線で活躍するアーティストと直接交流することも可能ですから、これを機会に世界へ羽ばたくことだって夢ではないでしょう。音楽ビジネスに従事しようとしている学生にとっても、才能ある未来のクリエイターにとっても、TDMEは極めて有意義なイベントだと言えます。
そして一日の終わりにはそれぞれ気鋭のアーティストによるライブがあると。なんて贅沢な3日間でしょうか。昨年はTDMEと*Boiler Roomのコラボレーションがありましたが、seihoとGalcidのパフォーマンスが本当に素晴らしかったです。
Seiho Boiler Room x TDME Tokyo Live Performance
Galcid Boiler Room x TDME Tokyo Live Performance
*Boiler Room: ロンドン発のライブストリーミング・プロジェクト。今日まで著名なDJやアーティストが数多く出演しており、クラブシーンで大きな影響力を持つ。
今年のライブ情報については公式サイトからご確認ください。今回のライブイベントは全部で6つ。筆者は石野卓球のレジデント・パーティー『STERNE』に行きます。(裏のDISKO KLUBBにも行きたかった・・・)
■TOKYO DANCE MUSIC EVENT(東京ダンス・ミュージック・イベント)
日 程: 2017年11月30日(木)・12月1日(金)・2日(土) 各日 11:00 –
会 場: 渋谷ヒカリエ ヒカリエホールA ホールB 、渋谷周辺のクラブ
オフィシャルHP: http://tdme.com ※詳細、チケット購入はこちらのHPから
Facebook: http://www.facebook.com/TokyoDanceMusicEvent
twitter: http://twitter.com/TDME_JP
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