唯一無二の踊れるジャズを鳴らすSOIL&”PIMP”SESSIONS
2001年の結成以来、日本を代表するジャズ・インストバンドとして活躍するSOIL&”PIMP”SESSIONS(通称ソイル)。彼らは踊れるジャズ「DEATH JAZZ」を標榜しながら、ロックやヒップホップ、クラブミュージックの枠を超え、日本の音楽シーンに大きなインパクトを与え続けています。ジャズを基調としながらもハードでダンサブルな音楽を鳴らし続ける彼らの魅力を、これまでの活躍を追いながら紹介していきます。
ダンス・フロアから生まれたジャズ・バンド。ソイル結成秘話
ソイルのメンバーが出会ったのは2001年。当時、六本木のクラブでDJをしていた社長(アジテーター)が、「SOIL&HEMP SESSIONS」を企これはクラブの中でジャズセッションをするという革新的な試みでした。そのセッション・イベントの中で、トランペットのタブゾンビやサックスの元晴、ウッドベーシストの秋田ゴールドマン、ドラマーのみどりんが集まります。意気投合した彼らは、2003年にSOIL&”PIMP”SESSIONSとしての活動を開始します。音源のリリース前からクラブで活動するジャズ・バンドとして話題を呼んでいた彼らは、いきなりフジロックフェスティバルに出演。その後、ジャズ・ピアニストとして90年代より活躍していた丈青が加入。その際、タブゾンビが「フェラーリに乗りたくないか?」と言ったことは、ファンの間では有名なエピソードになっています。
翌年には初めての音源『PIMPIN’』をリリース。ハードでスリリングなピアノとリズム隊の演奏に、ホーン隊が縦横無尽にフレーズを吹き鳴らし、そこに社長がリスナーを煽るアジテートをするスタイルは、今までのジャズやロック、クラブミュージックにはないものでした。彼らは自らの音楽性を「DEATH JAZZ」と表現。新しいジャンルを作り上げたソイルは、独自の道を進んで行くのです。
「Summer Goddess」
世界最大級のフェス、グラストンベリーにも出演。国境を越えた「DEATH JAZZ」。
ソイルの音楽は、日本の音楽リスナーだけでなく海外にも広まっていきます。2005年、イギリスのアシッドジャズムーブメントの生みの親であるジャイルス・ピーターソンソイルの音源をUKのラジオ番組で大量にオンエアーしたことにより、ヨーロッパのジャズシーンで一躍注目を集めます。そして同年にはイギリスやドイツ、フランス、ベルギーでのライブを開催。ソイルが生み出した「DEATH JAZZ」は、全く新しい音楽として世界のリスナーに受け入れられていきます。2007年には世界を代表する音楽フェス、グラストンベリー・フェスティバルにも出演し、名実ともに世界を股にかけるジャズ・バンドへと成長していったのです。
2009年に行われたワールド・ツアーの映像はYouTubeの公式チャンネルで観ることができますが、とりわけ興奮を覚えるのがデンマークでの公演。
5th July, 2009 in Denmark ” Roskilde Festival “
ソイルのメンバーによるパンキッシュでスキルフルな演奏にすべての観客が熱狂し、拳を上げているのです。そしてライブの最後には社長が「Music Has No Border」と叫ぶと、観客のボルテージが最高潮に。ソイルの音楽の新しさとメッセージは、ジャンルだけでなく国や言語を超えて伝わっているのです。
コラボ・劇伴・ソロ活動。ジャンルの枠組みを超えた活動にも注目。
ソイルが様々な音楽リスナーから支持される理由の一つが、ジャンルの垣根を超えた幅広い活動。彼らはインストバンドであることを生かしながら、様々なシンガーとのコラボレートを行っているのです。ソイルが手がけた有名な楽曲の一つが椎名林檎との「カリソメ乙女」。椎名林檎が妖しげな恋を歌ったこの楽曲で、彼らは往年のジャズ歌謡のテイストを交えたハードなジャズ・アンサンブルを響かせています。
「カリソメ乙女」
他にもRHYMSTERやMIYAVI、一青窈、長岡亮介(ペトロールズ)、三浦大知、野田洋次郎(RADWIMPS)など、様々なアーティストをボーカルとしてフィーチャー。それぞれのボーカリストの持ち味を生かしながら、すべてのアーティストを「ソイル色」に染めてしまうところに彼らのスキルと個性を感じ取ることができます。
また近年では、ドラマやアニメの劇中のサウンド・トラックを手がけ、2015年の時代劇「ふたがしら」や、2017年に放映されたドラマ「ハロー張りネズミ」、そして2019年夏放送の妖怪人間ベムのリメイクアニメ「BEM」など、幅広いジャンルの作品にモダンでスリリングな劇伴を提供しています。どの作品もソイルの音楽が入ることで画面に洒脱さと緊張感が生まれ、サントラもドラマに欠かせない要素であることを再確認させられます。
さらにはこうしたコラボレート・ワークだけでなく、各々のメンバーによるスタジオミュージシャンや別プロジェクトでの活動もソイルの音楽に注目が集まる理由の一つ。特に丈青と秋田ゴールドマン、みどりんによるピアノ・トリオJ.A.Mは、ソイルで培ってきたスキルを活かしながら、優美で流麗なジャズ・サウンドを鳴らすユニットとして活動。ソイルとは一味違った、音像を味わうことができます。
J.A.M「産業革命」
メロウでハードなニューアルバム『MAN STEALS THE STARS』。新たなフェーズに入ったソイルを見逃すな。
長年6人組バンドとして活動してきたソイルは2016年にサックスの元晴が脱退。しかし彼らは歩みを止めることをなく、「DEATH JAZZ」を更新する新たなサウンドを志向します。そうして生まれた作品が2018年の『DAPPER』です。アルバム全体でヒップホップのリズムトラックのような隙間のある音像を作り出し、世界的にヒップホップとジャズの親和性が高くなった時代を体現した一枚になりました。
そして、2019年12月4日にはニューアルバム『MAN STEALS THE STARS』をリリース。タイトル通りスペイシーでメロウなサウンドと、彼らの魅力である強烈なジャズ・アンサンブルが融合した作品です。とりわけ、ダフト・パンクの『Random Access Memories』の楽曲を彷彿させるようなディスコ調のギターとリズムトラックの合間に優美なピアノの旋律やホーンが入りこんだ「Galaxy Lady」や、ハードなギターとレトロ・フューチャーな香り漂うシンセサイザー、そして社長によるシャウトが絡み合う「Lyra’s Attack」、ホーン隊の鳴らすメインフレーズに合わせて様々な音色のシンセサイザー・サウンドが重なり入れ替わっていく「Space Drifter」など、フレンチ・ディスコやニューウェーヴのサウンドを取り入れたSOIL&”PIMP”SESSIONSの新境地とも言える楽曲が数多く収録されています。
「Space Drifter」
キャリアを重ねながら、「DEATH JAZZ」のパイオニアとして今や多くの音楽リスナーやミュージシャンたちからリスペクトされているSOIL&”PIMP”SESSIONS。彼らは結成から18年を経ても、飽くなき探究心とジャンルを超えた挑戦を続けているのです。
チケット情報はこちら!
https://l-tike.com/soilandpimpsessions
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