6. リミックス盤もえらいカッコよかったDATS
今年の6月にメジャーデビューしたDATS。その後ベース担当の伊原卓哉が一身上の都合によりバンドを脱退しましたが、彼らの活動は続行。新メンバーとしてギタリストの吉田巧が加入し、それまでギターを担当していた早川知輝がベースへパートチェンジしました。色々あったものの、音楽はすこぶるカッコイイ。最新作『Digital Analog Translation System』がリリースされ、その後リミックス盤も配信限定で発表されました。後者に関わったメンツの豪華さたるや、全員集めればフェスができそうなほどであります。グローバルなダンスミュージックに対する、日本からの回答。
DATS – 『Memory』
7. 今年最も勢力を拡大したバンド、King Gnu
桁違いのリリースがない限りは、今年のバンド・オブ・ザ・イヤーは彼らの手の中にあるのではないでしょうか。今年のリリースこそまだシングル2枚のみですが、ライブやフェスにおける彼らの活躍は目を見張るものがありました。フジロックしかり、ライジングサンしかり、ラブシャしかり…。それぞれでしっかり爪痕を残し、オーディエンスに「やべぇやべぇ」言われておりました(特にライジングサン)。というか、その2枚のシングルも素晴らしい。たとえ今年の実績が『Flash!!!』と『Prayer X』のリリースだけだったとしても、十分に話題を集められたでしょう。
King Gnu – 『Prayer X』
8. FIVE NEW OLDの音楽を何と呼ぶべきか。
2016年の暮れ、『Stay (Want You Mine)』でいきなり喝さいを浴びたFIVE NEW OLD。当時はThe 1975とよく比較されておりましたが、最近はその声も少なりました。なぜなら、彼らが範疇とする音楽がギターポップだけではなかったから。シガーロスのような空間的音使いも可能だし、シューゲイザー的アプローチもとれる。非常に多彩なソングライティングをこなせるのでした。昨年メジャーデビューしてから1年が経ちましたが、これまでオール英詞だったのに対し、日本語をほんの少し組み込むなどして実験的に表現の幅を広げております。最新EP『For A Lonely Heart』には新曲が3曲収録されていますが、いずれもジャンルが異なっています。この幅の広さ、聴けばわかる。
FIVE NEW OLD – 『Gotta Find A Light』
9. 青葉市子になりたいガール(ボーイ)はいっぱいいる。
決してなろうと思ってなれるアーティストではありませんが、青葉市子の動き方こそ今のメジャーシーンの理想形なのではないでしょうか。これまでに共演した相手を羅列してみます。『Yura Yura』のOvall、『不和リン』の坂本龍一、『川越ランデブー』のU-zhaan、『外は戦場だよ』のCornelius…。そして最新作『からかひ』のSweet William。世代もジャンルもまるでバラバラ。縦にも横にも自由自在。これぞ垣根のない現在のシーンに合ったアーティストのイメージだと思います。しかもそのコラボレーションによって出てくるものが、いずれも作家性を伴っている。もちろん、先に断った通り、青葉市子だからできる芸当なのでしょうけれど。
Sweet William と 青葉市子 – 『からかひ』
10. 完全に“ゾーン”に入った佐藤千亜妃
きのこ帝国のフロントマン、佐藤千亜妃。彼女は今年の7月25日に初のソロ作品『SickSickSickSick』をリリースしました。砂原良徳を迎えて作られた本作は、ノスタルジックなエレクトロサウンドでありました。素晴らしかった。そして先日9月12日、間髪入れずにきのこ帝国の新作アルバム『タイム・ラプス』が発表されたのです。こちらも素晴らしかった。バンドもソロも内容がまるで違うのに、きっちり仕上げてきたわけです。正直『タイム・ラプス』はきのこ帝国史上最高傑作だと思います。それだけにソロ作が過小評価されそうで恐ろしい(逆もまたしかり)。佐藤千亜妃、いまアーティストとしてすこぶる充実しているように見えます。
佐藤千亜妃 – 『Summer Gate』
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