RADWIMPSを最近好きになった人は、今までの曲も聴いた方がいい!
映画「君の名は。」の主題歌『前前前世』で、一気に知名度を上げたRADWIMPS(ラッドウィンプス)。元々、10代、20代を中心に人気のあるロックバンドでしたが、「君の名は。」をキッカケに幅白い年齢層に支持されるようになりました。
しかし、RADWIMPSは『前前前世』以外にも、数々の名曲を持ち、バンドとしての歴史や背景、音楽性も深いロックバンドです。今までにリリースされたシングルやアルバムを聴くと、RADWIMPSってこういう曲を歌ってたの? イメージと違った! などといった衝撃を受けます。今回は「君の名は。」や『前前前世』でRADWIMPSを知った人に向けて、RADWIMPSのここは知っておきたい一面を紹介しましょう!
ノンフィクションなバンド RADWIMPSって?
RADWIMPSは2001年に結成された4人組ロックバンドです。メンバーは野田洋次郎(ボーカル・ギター)、桑原彰(ギター・コーラス)、武田祐介(ベース・コーラス)、山口智史(ドラム・コーラス)の4名。山口智史は現在、持病の「フォーカル・ジストニア」が再発したため無期限休養中です。略称は「ラッド」と呼ばれ、RADWIMPSのファンは「WIMPER(ウィンパー)」といいます。
結成時の高校生の時から地元ではちょっと名の知れたバンドとして注目を浴びていて、2004年に武田と山口が加入し現体制になりました。同年、横浜CLUB24で現メンバー初のワンマンライブを開催しますが、本人たちにとって反省の残る内容に。その失敗から色々学び、お互いを知っていくことで、バンドとしてのクオリティーを上げていきました。
2005年に4thシングル『25コ目の染色体』で。念願のメジャーデビューを果たします。
出典:YouTube
2006年には、アルバム『RADWIMPS 3~無人島に持っていき忘れた-枚~』『(RADWIMPS4) ~おかずのごはん~』をリリース。さらに『イーディーピー 〜飛んで火に入る夏の君〜』『ふたりごと』『有心論』『セツナレンサ』とシングルを4枚リリースした後、全曲の作詞作曲を手掛ける野田は過労で倒れ入院しました。
2007年にはワンマンライブ「セプテンバーまだじゃん。」を横浜アリーナにて開催。この頃にはCD売上も右肩上がりで、人気バンドになっていましたが、本人たちは売れている実感はなく、アリーナでライブをできたことで、自身がブレイクしていることを実感したとメディアのインタビューで語っています。
2008年にリリースした9thシングル『オーダーメイド』で、初のオリコンランキングl位を獲得。栄光の裏では、有名になっていくスピードと、作詞作曲をする野田の求めるものに対して、他メンバーのアピールが追いつかなくなってきたということから、バンド内で不穏な空気が漂います。
2011年にアルバム『絶体絶命』をリリース。東日本大震災の1カ月後から「絶体延命」ツアースタート。この頃には、メンバー内で話し合ったり、制作のフローを変更したりなど、結束を固め、以前メンバー内に漂っていた不穏な空気は一掃。RADWIMPSは心機一転、精力的にバンド活動を続けます。
2012年に野田洋次郎のソロプロジェクト「illion」が始動、映画『トイレのピエタ』で役者デビュー。
2015年にデビュー10周を記念した「10th ANNIVERSARY LIVE TOUR RADWIMPSの胎盤」を開催。11日間におよぶ、初の対バンツアーは、米津玄師、きのこ帝国、plenty、LOVE PSYCHEDELICO、ゲスの極み乙女。、ハナレグミ、クリープハイプ、スピッツ、いきものがかり、ONE OK ROCK、Mr.Childrenの計11組が参戦。音楽シーン史上まれに見る豪華な対バンツアーが敢行されました。
2016年に映画『君の名は。』で劇伴を捜当。映画、アルバムともに大ヒット。オリジナルアルバム『人間開花』もオリコンランキング1位を獲得。この流れをキッカケに、ミュージックステーションや紅白歌合戦に出演し、これまで控えていたテレビ番組の出演も解禁。RADWIMPSの名前は全国で知られることに。
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2017年は20thシングル『サイハテアイニ/洗脳』のリリース。6都市8公演のアジアツアー「RADWIMPS 2017 Asia Live Tour」を開催するなど、精力的に活動中です。
RADWIMPSの知っておきたい要素 音楽性
まずはRADWIMPSの音楽性です。そのまえに、少しだけ筆者がRADWIMPSを知ったキッカケを書かせてもらいます。筆者はダンスライターで活動していて、ダンサーと仕事をすることが多いのですが、ふと取材したダンスイベントでダンサーが『前前前世』を使って振付をしていました。普段洋楽を使うことが多いダンサーですが、J-POPは良曲であれば使われることがあります。
そこからRADWIMPSのことを知っていく形になるのですが、RADWIMPSの音楽ってなんだろうと考えたときに、頭に浮かんだのは「ドキュメント性を持つロックバンド」でした。
RADWIMPSは結成から数えれば、もう16年のキャリアがあるバンドです。RADWIMPSらしさという話をすれば、『前前前世』以降よりも、さかのぼった方が彼らの音楽性をよく知ることが出来ます。
RADWIMPSの作詞作曲はすべて野田洋次郎が担当し、歌詞は実体験に基づいたノンフィクション作品が多いです。彼がその時考えていることや心境によって楽曲が作られるので、楽曲自体がRADWIMPSのドキュメンタリーになっています。そのため、爽やかな明るいロックサウンドもあれば、攻撃的なパンク、ラッパー顔負けの高速フロウで韻を踏む曲、ダークな曲など、ジャンルレスです。野田が何歳の時に作った作品なのかで、世界観や歌詞も変わりますし、そこがRADWIMPSの独自性であって、彼らにしか出来ないサウンドなのではないでしょうか。
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『携帯電話』『マニフェスト』のような爽やかなサウンド。ここにノリなども入るとその曲数はさらに増えます。
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『有心論』『me me she』『オーダーメイド』など、初期の頃から多くのラブソングを歌ってきたRADWIMPS。野田の歌詞が楽曲のテーマを作り、バンドの音が世界観を作っています。
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『洗脳』『DADA』『学芸会』など奇抜な曲も多いRADWIMPS。こういった曲やダークな曲こそ、RADWIMPSらしさと評価する層も多いです。高速のフロウが特徴の『おしゃかしゃま』は2011年にJOYSOUNDから発表された「難しすぎて歌えない曲ランキング」で2位を記録。
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『狭心症』『イーディーピー ~飛んで火に入る夏の君~』『セツナレンサ』といった、激しいロックも多数あります。
『前前前世』は初めてRADWIMPSが主役から降りた曲
上記で、RADWIMPSの音楽はドキュメンタリーで、さまざまな曲調を奏でると書いてきましたが、『前前前世』にはどういう背景があったのでしょうか。
RADWIMPSはメディアのインタビューで「10年やって、じゃあ次どうしよう?って時に、俺(野田洋次郎)はちょっとわかんなくなってて。だから『君の名は。』の話をもらった時は、こういうやり方があるんだって思いましたね。俺らが主役じゃなくても、4人で音楽を作ってみる別のやり方があるんだ」と答えていました。
RADWIMPにとって初めて自分たち以外のことを書く、フィクション作品を作るという出来事だったようですが、これもドキュメンタリーのひとつだと思います。
この頃、RADWIMPのメンバーは30歳前後ですが、社会人において30歳はターニングポイントになる年ですし、仕事でプロジェクトを任される、私生活では結婚を考えるなど、自分以外の誰かが親密に関わってくる時期です。RADWIMPSにもそういう時期が来て、『君の名は。』の音楽制作が自身のドキュメンタリーのひとつとして関わり、生まれたのが『前前前世』ではないでしょうか。
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『君の名は。』の音楽制作をするにあたって、監督の新海誠と打ち合わせをした時、RADWIMPSが掲げてきたRADWIMPS像と、新海監督の思うRADWIMPS像は全く違ったというエピソードがありました。その出来事が、RADWIMPSの新たな一面を生み出すキッカケになったとのことですが、この事からも、RADWIMPSはひとつのジャンルや価値観に収められないバンドということがよく分かります。
リスナーがRADWIMPSのドキュメンタリーな音楽に触れたとき、どこで共感を覚えたかによって、RADWIMPSらしさは変わる。そういう独自性を持った不思議なバンドだと思います。
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