MONDO GROSSOがソロプロジェクトとして2017年始動!今だからこそサウンドクリエイター大沢伸一が音楽を再生させる。
1月から放送され、先日最終回を迎えたTBS系ドラマ『君の心に棲みついた』の劇中歌に起用されたBiSHのアイナ・ジ・エンドが歌う「偽りのシンパシー」を作曲したのがMONDO GROSSO(読みモンドグロッソ)です。若い世代からは何者なんだ?と話題の中心となったきっかけとなるアルバム『何度でも新しく生まれ変わる』では様々な年代の多彩なゲストと共にモンドグロッソの視点で音楽を再生させました。
サウンドクリエイター大沢伸一はMONDO GROSSOとしてなぜ“今”に挑戦するのでしょうか?長き音楽歴を辿りながら紐解いていきたいと思います!
京都からいきなり日本を飛び越え世界に挑んだバンド時代
高校卒業後、昼はアルバイト夜はバンド活動という生活が当たり前になっていたとき、スタジオでセッションしていた演奏技術が優れたメンバーを中心にインストバンドMONDO GROSSO(読みモンドグロッソ)が結成されました。地元京都でのライブ活動だけではこれ以上にはなれないと考えた大沢は、同じ京都で音楽をやっていた兄弟DJユニットと知り合い意気投合し、多岐に渡ったイベントを企画。これをきっかけに自身のバンドも東京に進出し、1993年にセルフタイトルアルバムリリースのタイミングでメジャーデビュー。同時に海外デビューを果たします。その2年後に日本を飛び出しヨーロッパツアーを敢行。活動の幅が広がる最中、翌年1996年に大沢以外のメンバーが脱退し、MONDO GROSSOはソロプロジェクトとしてリスタートを切ります。
このヨーロッパツアーの模様を収録したライブ音源アルバムは、長い年月を経て2003年にリリースされることとなりました。
メンバー脱退を経て個人レーベルを設立。コラボレーション・ユニットが基盤となる
ソロとなった大沢はavexに移籍後、自身が作曲した曲を様々なアーティストとフィーチャリングする趣向を基盤としたスタイルで活動するようになります。この時期からMONDO GROSSOがコラボレーション・ユニットへと移行していきました。音楽活動と並行しながらプロデュース業やミックス作業といった音楽家としての一面も見せはじめ、現在までに数多くのアーティストをプロデュースしてきています。
1999年には、個人レーベル「REALEYES」を立ち上げ、プロデュース業も本格化。現在も交流が深いbirdはこの個人レーベルの第1号の女性アーティストです。
「TIME」のオリジナルが持つ、ボサノバとサンバのリズムがミックスされたカーニバルぽい雰囲気も、晴れ渡った気分が味わえて魅力的ですが、17年ぶりにコラボしたアコースティックver.(こちらは2017年にYouTube Space Tokyoで行われたライブ映像)は、大沢伸一のベースの鳴りがはっきりと聴こえ、大人になったふたりが作り出すアダルトなグルーブ感が楽曲を艶っぽく演出させています。
沈黙から14年。新曲「ラビリンス」を発表。ボーカルに満島ひかりを起用
2000年以降になると、MONDO GROSSO名義でもアーティスト活動を再開し、大きなタイアップやFIFAワールドカップ公式インターナショナル公式アルバムに唯一の日本人アーティストとして楽曲提供、収録されるなど世界規模に発展していきます。しかしわずか3年で活動休止。以後目立った活動はありませんでした。
それから14年もの時が経ち、MONDO GROSSO名義での活動再開がアナウンスされ、全曲日本語詞に挑んだアルバム『何度でも新しく生まれ変わる』をリリース。このアルバムのコンセプトについて、こう語っています。
「休止している間、日本の音楽シーンを見てきて、90年代に僕らが切り崩そうとしたJ-POPへの野心的な挑戦が滞っているのかなと。であれば、モンド・グロッソとしてその要素のひとつになりたいと思いました。日本とか海外とかをセグメントしないモンド・グロッソの視点で、敢えて日本語曲を作るという。リリックは日本語ですが、現在の日本の音楽シーンのことは逆に意識しないようにして曲を作る、そういうバランスで。」
大沢伸一 (TOKYO DAY OUTインタビューより)
(MONDO GROSSO公式サイトより抜粋)
収録曲の中でも、ゲストボーカルに満島ひかりが抜擢された「ラビリンス」は、MV再生回数500万回以上を突破。更に、『FUJI ROCK FESTIVAL ’17』への参加、『ミュージックステーション』でのテレビ披露などメディア的活動が目立つ作品となり、世間の注目は、たちまち熱を帯びていきました。この曲は、東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦が作詞を手掛けたラブソングで、男女が恋に愛に溺れていく様が優美に描かれています。
『何度でも新しく生まれ変わる』では満島ひかりの他に、プロデュースを担当してきたUAとbird。作詞家陣として、自らもボーカルで参加しているやくしまるえつこ。アイドル枠からの異色コラボとなった、齋藤飛鳥(乃木坂46)、一般公募の現役主婦シンガー下重かおりというバラエティー豊かなゲストとコラボレーションをしています。
MONDO GROSSO初となる“全曲日本語ボーカル曲“で今をときめくアイドルとコラボ
DIGITAL SINGLE「偽りのシンパシー」では、BiSHのアイナ・ジ・エンドを迎え、またもやアイドルとのコラボレーションを実現させました。
多彩なゲストアーティストの中でも世間を驚かせたのが、今をときめく乃木坂46とBiSHという真逆のコンセプチュアルなアイドルの起用ではないでしょうか。両アイドルの若い世代のファンからしたら、“ソロが決まったらしいけどモンドグロッソって何者なんだ?”と興味津々になった人が多いかと想像できます。今までは開花されていなかった齋藤飛鳥とアイナ・ジ・エンドの眠っていた才能を引き出し、ふたりの魅力を倍増させていったのはさすがの一言です。
かつてハウスミュージックやニューウェーブ、日本のクラブシーンにおいて一大ムーブメントを巻き起こしてきたMONDO GROSSO・大沢伸一。ジャンルに拘らないスタンスで何度もスタートとリブートを繰り返し“何度も新しく生まれ変わってきた”彼が、また音を鳴らす瞬間が訪れることを誰もが想像できたでしょうか?なぜ今、MONDO GROSSOが求められているのかと考えたときに、一般的なJ-POPが娯楽では無くビジネスに染まりつつあることに気がつきました。流行りを意識した売れ線を狙いがちな“今”だからこそ、敢えて流行りを意識しない作り方で音楽の面白さと楽しさを大切にしてきたMONDO GROSSOの適度なバランスが、“今”必要とされてきているのではないでしょうか。
MONDO GROSSO
official site http://www.mondogrosso.com/
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