圧倒的ラスボスであった、セカイイチ
凄すぎて笑ってしまった。セカイイチの時だけ会場のスピーカーが変わったのかと思ってしまったほど。それぐらい格の違う出音でした。それぞれがスタジオミュージシャンとしても辣腕を振るうだけあって、演奏技術が抜群。いや、技術でなく経験と言うべきでしょうか。1曲目は「Grave of Music」だったのですが、サビに入るタイミングで音圧が「ぐあっっ!!」っと上がる感じ、あれは場数を重ねないとできません。しかもそれがやり慣れた曲でなくとも、たとえばタイトルすら決まっていない新曲だとしても、彼らは完璧なグルーヴを提示できるわけです。ちなみに新曲のタイトルは「雨上がりの空は(仮)」だそうです。フロントマンの岩崎慧曰く、「雨をにおわすタイトルはあまり好きではない」らしいので、ひょっとすると変更されるかもしれません。
「少し前の曲もやります」と前振りがあって、「ブリキの月」や「ふりだしの歌」も披露されましたが、全く古さを感じないんですね。一方は2009年、他方は2004年にリリースされた作品なのですが、2020年に突入した今聴いてもフレッシュに聴こえます。特に「ブリキの月」ですが、空間的な音の使い方は極めて現代的と言えるのではないでしょうか。それをライブで実践できる技術力よ……。繰り返しになりますが、凄すぎて笑ってしまった。
そのあとは「HARD-CORE-GEEK」、「Looking Around」、「Round Table」と続き、安心と信頼のセカイイチ定食が展開されます。やはり『Round Table』(2016年リリース)はスーパーな名盤ですね。ダンサブルだけれども、ミドルテンポもいける。これも繰り返しになりますが、やはりとけた電球とのストーリー性はあったと思います。この流れで聴いたからこそ、感動もひとしおだったのでは。
アンコールで披露されたのは「Daylight」。歌詞の内容も相まって、大団円でありました。なんかもう、エンドロールが見えた。三篇のオムニバスの最後に出てきたラスボスが、ラスボス然として物語を終わらせる最高のエンディング。とびきりの充実感をもって、mona recordsをあとにしました。
雨の下北沢が、よりいっそう映画的に見えました。
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