等身大の音楽だからこそ描ける、等身大のファンタジー
夢に向かってHungryな自分・・・
夢にまだ届かずAngryな自分・・・
どっちもあるけど、
いつでもポジティブでいたい!!
自分のHANGRYをLeolaの歌声で
ハッピーに笑い飛ばして
一緒に夢に向かって進んでいこう!!
Leolaが今回のツアーにあたって綴った言葉だが、結論から言うと、そこに抱く期待値を遥かに上回る新次元のライヴだった。
Text_Taishi Iwami
あらためて、Leolaがツアーのタイトルとして名づけた“HANGRY”は、“Hungry”と“Angry”を掛け合わせた造語である。人にはポジティヴな感情もネガティヴな感情も存在することは言うまでもないが、そこにポップソングはどう寄り添うべきか。アプローチはさまざまあるなかで、Leolaのパフォーマンスは、そのアーティスト名が示す通り(ハワイ語で“Leo”は“声”、“La”は“太陽”)、リスナーや観客の日々に燦燦とした光を注ぐようなイメージが強い。楽しいときにはともにパーティができる、辛いときには笑顔になれる元気印。しかし今回は、これまでのスタンスで観客の“Hungry”と“Angry”にアクセスするだけでなく、その表現においてはほとんど見せてこなかった、自らの陰の部分を音楽に昇華した。
まず“Hungry”については、MCで「ここにいるみんなを、もっといい景色の見える場所に連れて行きたい」と言っていた言葉が印象的だった。Leolaのライヴは、これから感受性がぐんぐん育っていく可能性に満ちた10代から、さまざまな経験を経てその場所を選択したであろう、そんな若者たちの親世代まで、観客の年齢層が広い。だからこそ、自らをアップデートしていくことに対する責任感を、あえて言葉で示したうえで体現しようとする気概に満ちたパフォーマンスを繰り広げた。
そして“Angry”は、こちらもMCで語っていたように、そこに集まった人々ともっと深い関係を築きたいからこそ、ほんとうは明るいLeolaだけではないと、ばっさり割った腹の内にある自らの不甲斐なさ。それを見せることで、誰かにとってのLeola像が崩れてしまうかもしれないリスクを恐れず、仲間を信じること。人と人とが繋がることの本質を見つめ、ほんとうの意味で、観客とともにあるライヴを作り上げようとする意志を強く感じた。
その結果、自身の持つポテンシャルをさらに引き出し、Leola流ポップがネクストフェーズに向かって一歩踏み出したことを証明するステージとなった。季節や曲調によってセクションをわけ、より共有性を高める実によく練られた展開と、その日その瞬間にしか生まれない熱量が観客の感情を揺さぶる、ライヴならではの魅力がどんどん溢れ、観客の“HANGRY”を幸福感へと導くような約2時間。酸いも甘いも内包したエモーショナルな等身大の自分をメロディーに乗せた音楽にのみ、描くことのできるファンタジーがそこにあった。
Leolaと観客の間に生まれた強い結束
4つ打ちのビートとともに煌びやかなメロディーがどこまでの伸びていくような「Let it fly」、横乗りのファンキーな「I believe」からカントリー調の「MIGHTY GIRL!☆」と、そのハスキーでビューティーな声の持つ、柔軟な魅力を存分に発揮するスタート。続いては「夏にぴったりな曲をやります」と3曲を披露。観客がコーラスを歌い、Leolaがその盛り上がりを祝福するかのように大きなクラッカーを鳴らした「Magic Clap」、続く「SUNNY DAY」は、歌詞に合わせて一度かけたサングラスを外し、観客一人ひとりに言葉を投げるようにフロアを見渡しながら歌う、丁寧かつエネルギッシュなパフォーマンスで、新曲とは思えないほどの一体感が生まれる。山下達郎のカヴァー「RIDE ON TIME」は、そんな弾けた夏のひひときに爽やかな風を吹き込むようだった。
「お盆が終わると夏も終わりみたいになるけど、もうちょっと夏してたいな」「年齢や見た目、変わっていくこともあるけど変わらない信念もある。どんなLeolaもLeolaだと思ってくれたら嬉しい」と話し、リリースしたばかりのアルバム『Things change but not all』を紹介してからの、同作に収録されている「Puzzle」は、曲本編に入る前に爪弾いたアコースティックギターの旋律から、美しさと切なさがフロアに染み渡る。その流れのまま座って歌った「キミが好きで、、、」と「Beautiful day」は、アルバムとはまた違ったアコースティックなアレンジで、本人も「優しさ増し増し」と言ったように、そのレトロモダンで普遍的な強さを持ったメロディーの包容力と浸透度が際立っていた。
続いては「これまでの私だったらこの曲は選べなかった」とDREAMS COME TRUEの「何度でも」をカヴァー。あきらめない、すなわち今までのステージでは閉じていた辛さを含んだ感情とリンクする大切な曲を、自らの胸を打ちながら歌う姿とそこから出る歌声は、確かに、以前のLeolaのイメージにはなかった、パーソナルな側面を歌に乗せて伝えるエモーショナルな熱量に満ちていた。その鬼気迫るほどの緊張感に息を飲む多くの観客、そして曲が終わって少しの静けさから巻き起こった拍手はまさに、Leolaとファンとの間にさらに強い結束が生まれた瞬間であり、この日の素晴らしさを決定づけた鍵と言っていいだろう。
こうなると、これまでのLeolaらしい陽のイメージもさらに爆発する。夏を詰め込んだJ-POPのメドレーで先述した幅広い世代の観客はさらに一体感を増し、「Mr.Right」のコーラスを合唱することでフロアは天井知らずの高揚。そして、「コイセヨワタシ」の“好きです”という決定的な言葉がこの上ないレベルで躍動し響く。そして最後は「Sunshine & Happiness」、「STAY BEAUTIFUL」、「Alright!」と新作からの3曲で、Leolaの今のモードを伝える、完璧と言ってもいいほどの流れが大団円を生み、本編を終えた。
鳴りやまないLeolaコールに応え登場したアンコールの最初は、事務所の先輩であるEXILEのカヴァー「Ki・mi・ni・mu・chu」を披露。ファーストアルバム『Hello! My name is Leola』からデビュー曲の「Rainbow」とサービス精神旺盛なセットがきて、最後は本ツアーを終えるにふさわしい、ネガティヴな感情と対峙することで希望を灯す「ヒカリ」で締めた。
先述したように、Leolaは「変わっていくこともあれば、変わらない信念もある」と新作について語ったが、筆者はあえてそこにもう一言「変わらない信念があるからこそ、変わっていくこともある」とつけ加えたい。音楽とファンを心から愛する“HANGRY”な信念を、ここにきて宣誓したLeolaが、そのメンタリティをもって、この先どのように成長しどんな曲を作り歌うのか、彼女の未来がほんとうに楽しみだ。
Leola
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