日本一ピュアなラッパーKOHH。日本を飛び越え、世界で大躍進をみせる!
先日行われたHi-STANDARD主催フェス『AIR JAM2018』に唯一のHIPHOPアーティストとして出演し話題となったKOHH。ONE OK ROCKのTakaや宇多田ヒカルが大絶賛するワールドワイドな活躍をみせるKOHHは、スローテンポなリズムにありのままの自分の気持ちを歌う歌詞を乗せる日本一ピュアなラッパーなのです。
インスタではフォロワー数21万人を超え、歌だけでなくファッションや直筆の絵に関心を寄せられています。
MCバトルの普及により、罵り合ったり批判したりするイメージが強い今日のHIPHOP業界で異彩を放ちながらも世界で賞賛される孤高のラッパーKOHHについて掘り下げていきたいと思います。
KOHHとはどんな人?
KOHH(本名:千葉雄喜)は、2014年に『monochrome』でデビューを果たした東京都北区・王子出身のHIPHOPアーティスト。年齢は28歳。良い意味でも悪い意味でもとれる「適当」という音楽スタイルで、思ったことや事実に基づいたエピソードをそのままリリックに落とし込む独特な感性の持ち主です。Creepy Nutsのような早いビートに合わせながら言葉を乗せるラップとは違い、Zeebraが所属していたキングギドラを彷彿させるゆったりとしたビートにもったりと言葉を乗せるラップが主流となります。
KOHHが注目され始めたのは、2016年。ヨーロッパツアーを筆頭に世界を飛び回りながらも、アメリカのR&Bシンガーのフランク・オーシャンや宇多田ヒカルなどHIPHOP以外のアーティストへの客演をきっかけに一躍注目を浴び、同年開催された【SPACE SHOWER MUSIC AWARDS】で「BEST HIP HOP ARTIST」を受賞しました。人気と実力を物語る快挙にナビゲーターを担っていたZeebraが大いに讃えました。
KOHHの生い立ち
KOHHの生い立ちは、平穏だったとは一概には言えない辛い過去を背負っていて、その経験を包み隠さず描かれた歌詞に定評があり、リスナーの心を揺さぶっているのです。
KOHHという名前は、幼少期に亡くなった韓国人の父親の苗字 “黄(コウ)“ から取ったもので、そのことについては「YELLOW T△PE 3」収録曲であり般若の客演で参加した「家族」という曲の中で触れています。父親の死をきっかけに薬物中毒になってしまった母親と共に、狭い団地の中で育ったそうです。
全身を埋め尽くす服の上からも目立つタトゥー、歯に付けられたグリル(歯にはめるアクセサリー)、イカツイ髪型にサングラス姿といった強面の風貌からは信じがたいですが、KOHHは非常に物腰が柔らかい人です。そういう一面も彼が愛される要因のひとつだと思います。
アーティスティックなオフィシャルグッズのデザインも毎回注目されています。
大坂なおみが日本語勉強に使っているKOHHの日本語ラップの魅力
全世界を興奮させたテニスプレイヤー大坂なおみが日本語の勉強としてKOHHのラップを聴いているというニュースが話題となっています。大坂選手が口にしていたフレーズが入っている曲は「it G Ma」という曲ですが、ここでは曲名だけの紹介で割愛させていただきます。YouTubeのリンクが貼ってありますので気になる方は是非ご覧ください。
ラップの一般的なスタイルと言えば、韻を踏むことが大前提となっていますが、KOHHが紡ぐリリックは常識的な考え方を覆すフリーダムなものになっています。「JUNJI TAKADA」は、「適当な男 JUNJI TAKADA 他人は気にしない生き方」と、適当さ加減をKOHHなりの言葉で歌い、文字通り高田純次をリスペクトした内容です。ガチガチに凝り固まったルールや世間体に縛られながら生きる現代人の肩の力をすーっと抜いてくれるそういった曲です。歌詞とサウンドメイクのギャップもとても面白いと感じます。
世界に飛び回るために使う移動手段である「飛行機」とKOHH自身の記憶や感情、思いを結びつけた曲で、希望に満ちた印象を受けます。KOHHが使う言葉は繊細で優しくトゲトゲしていないナイーブでセンシティブな一面が特徴的です。誰が聞いても汲み取ることができて、分かりやすく感情移入しやすいシンプルな日本語表現に、大坂なおみも感銘を覚えたのかもしれませんね。
”まだまだ上を目指していこうぜ“ と背中を押してくれるような気持ちにもなりませんか?
KOHHの地元愛に溢れたリリック
KOHHの生い立ちについては冒頭に触れましたが、ここではどんな曲でその経験を歌にしているかがわかるおすすめの曲を紹介します。
「貧乏なんて気にしない」は、お金より愛が勝るという古典的な考え方へのアンチテーゼを含ませながら、お金なんてなくても幸せはたくさん転がっていると歌っています。貧乏な幼少期を過ごした身である自分を議題に上げ、経験を物語った説得力のある歌詞を若い世代のラッパーが歌っていることに嬉しささえ感じます。それでも、夢をちゃんと見据えている野望を決して忘れていません。
ずっと胸に抱いていたフィールドに立ち、海外へもライブをしに行けるようになって煌びやかな世界に足を踏み入れられる存在になりながらも、落ち着くのは地元。結局地元。気の会う仲間達がいる王子への愛が溢れに溢れた曲です。
地元王子への強い思いを胸に、2016年に異父兄弟であるLIL KOHHと共に【LIVE IN OJI】を開催。初となる凱旋公演での熱いパフォーマンスで地元に恩返しをしました。溢れる地元愛はライブだけに止まらず以前からKOHHの高身長に映えたハイセンスなファッションに定評があったこともあり、オリジナルブランドとして【Dogs】をオープンさせています。こちらも是非チェックしてみてはいかがでしょうか?
KOHHが表現するハードロック
感情を表に出さないクールなイメージをもつKOHHが頭を振り乱しシャウトして歌う「Die Young」は奥底にあるパンクロックな部分が表出ています。若くしてこの世を去ったレジェンド達に触れながら死に向き合ったダークな歌詞にゾクゾクとさせられますが、歪んだギターフレーズが際立つサウンドが非常にカッコいいです。
この曲が収録されている『Dirt Ⅱ』は前作『Dirt』のハードな一面をさらに突き詰めた新たな魅力が光るアルバムであり、普段HIPHOPを聴かない多くのリスナーからも賞賛を受けています。次世代のヒップホップシーンに影響を与えた作品のひとつとも言えるでしょう。
ライブのチケットは約1分で完売してしまうほど、今最も勢いのあるHIPHOPアーティストKOHH。数多くの客演で実力を惜しみなく発揮し、名を轟かせる存在である彼には、壮絶なバックグラウンドを抱えていたことに驚いたのは私だけではないと思います。
ブラックなイメージが強いHIPHOPの中でも、こんなに心が綺麗で繊細なラッパーに出会ったことがありません。
廃れてきているというのはただの勘違いで、ポピュラー音楽から消えてしまっているだけです。昔のように茶の間でHIPHOPが流れる時代が戻ってくれば世の中に対する気持ちを歌にしてくれることがどれだけ心が救われるか体感できるのではと思うのです。
タトゥーというものに対して物議をかます程にポジティブな印象を受けない古典的な考え方を持つ日本ですが、KOHHのような熱くピュアなパフォーマンスを一度聴けばその誤解もすこしずつ解けていくことでしょう。そうであって欲しいと願っています。
KOHH Official Site
KOHH Official Twitter
KOHH Official Instagram
SHARE
Written by