GREENROOM FESTIVAL’17、横浜赤レンガ倉庫にて開催。
5月20日〜5月21日、GREENROOM FESTIVAL’17に行って来ました。まぁまぁ暑かった。いや、結構暑かった。同行したカメラマンに日焼け対策として長袖を着て来させるほど、当日の太陽は僕らに厳しかったのです。「フェスなんてこれぐらい暑いほうがいいだろう?ガハハ!」と言わんばかり。
GREENROOM FESTIVAL
とは、『Save The Beach, Save The Ocean』をコンセプトに掲げられたカルチャー・フェスティバルです。サーフやビーチにルーツを持つアーティストを中心に、様々なコンテンツが一堂に集結します。初開催の2005年以来、人気・知名度ともに右肩上がりで、近年では当日券の販売がないほど。
ちなみに「GREENROOM」というのは、サーフ用語でチューブ(波が巻いた状態)の中の空間のことを指します。
確かに5月の太陽は手ごわかったですが、そこは赤レンガ倉庫。すぐ隣が海なので、太陽の日差しがいくら強かろうがへっちゃらです。実際、今となっては陽が強くて良かったと思っているほど。海から漂ってくる潮風と、フェスの開放的な雰囲気がたまらなく気持ち良かった。
GREENROOM FESTIVALの良いところは、選択肢(音楽のほか映画やアート作品も)が豊富にあるのだけど、それらのコンテンツに縛られることがない点だと思います。ひたすら自由。
何より会場そのものが素敵。日本に居ながら異国情緒を堪能できます。この許容範囲の広さが、横浜が横浜たる所以でしょうか。
ヨーロッパの市井のようなフェス空間と、オシャレさんたち
やはりテーマは「海」ですから、サーフカルチャーに根ざしたお客さんは多かったです。けれども、それ以外の文化圏に身を置いている人の姿もありました。年齢層もバラバラ。友達や恋人と来た人も、家族連れも、とにかく様々な人が居たのです。
ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました!
「海」にまつわるドキュメンタリーなど。
先ほどもチラッと書きましたが、GREENROOM FESTIVALには音楽だけでなく、様々な芸術作品が集まってきます。例えば、映画。主にサーフカルチャーにまつわるドキュメンタリーを中心に上映され、どの作品も示唆に富み、ときに感傷的にさせてくれます。ここでは、その中から映画を2本ピックアップしましょう。
『FISHPEOPLE(フィッシュピープル)』
パタゴニア制作のドキュメンタリー映画。サーファーやダイバー、スピアフィッシャーなど、海に一生を捧げた人たちの物語です。彼らは海についてこのように語ります。「僕らにとってそれは自分だけの教会であり、自分だけの寺院であり、実世界の痛みを和らげてくれる場所だ」。大自然に生きる人って、モノゴトの捉え方が詩的だと感じるのは筆者だけでしょうか。本作に登場する人物の描かれ方にもそれは言えて、写実的でありながらポエトリーな美しさがありました。
実際、映像そのものも美しかったです。海に反射する太陽の光や、海の青さと人間の肌の色の対比。雨のせいで人のいないビーチの寂寥感まで伝わってくるようでした。
『FISH』
上の『フィッシュピープル』と名前が似てますが、全くの別物です。『FISH』は、その名の通り「『フィッシュ・ボード』がサーフ・カルチャーにどのような影響を与えたか?」というテーマのドキュメンタリー。「フィッシュ・ボード」というのは、サーフ・ボードの種類のひとつです。一見どれも同じようなボードにも様々なタイプがあって、フィッシュは「オルタナティブ・ボード」の代表例として挙げられます。サーフィンにおける「オルタナティブ」とは、「たまには型にはまらずに波に乗ろうぜ」という意味で使われます。「型にはまらない」という点では、音楽の「オルタナティブ」と似ていますね。
元祖は西海岸のレジェンド、スティーブ・リズ。彼がフィッシュ・ボードの生みの親で、本作にもインタビューで度々出演しています。そこでこのボードを生んだ経緯を話しているのですが、これがまた大変含蓄に富んでいました。
コンテストの結果や評論家の評価を気にしながらサーフィンをするのに疲れてしまったんだ。そんなものはクソ喰らえだと思ってたよ。僕たちはもっと自由にサーフィンをしたかったんだ。
– 『FISH』より
あらゆるシーンにそのまま転用できそうな内容ですね。やはりパイオニアたる人たちは、前提として何かしらの葛藤や鬱屈があるように思います。スティーブ・リズのほか、本作にはレジェンド級のサーファーたちが数多く登場しますが、彼らもやはり志を同じくしていました。
スキップ・フライもロブ・マチャドも、みんな自由を求めていたのです。競技としてのサーフィンを捨て、純粋に波と戯れることを選んだ。フィッシュの誕生とはつまり、サーファーたちが自由を渇望した結果だったわけです。
Garrett Kato – Love is an Advert.
(作中で流れたギャレット・カトウの『Love is an Advert.』が喩えようもなく美しかった)
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