7月29日のヘッドライナー、Aphex Twin
エイフェックス・ツインについて、筆者は「人によって彼に対するイメージが異なる」と何かの機会に書いたことがあります。実際それは誇張や偽りではなく、本当にその通りなのです。『Come to Daddy』が入り口だった人(これが一番多いかもしれません)、彼のアンビエント仕事を先に知った人、クラブやフェスで彼のライブから入った人。それぞれ居ると思います。初回のフジロックに参加した人に至っては、犬小屋に入ったまま延々とDJに勤しむ彼の姿を見ているわけですものね。
以下、「両方」ともエイフェックス・ツインの曲です。
Aphex Twin – 『Come to Daddy』
Aphex Twin – 『aisatsana [102]』
前者はドリンベース全開のトラック。そして鬼才映像作家、クリス・カニンガムによるドープなMV。1997年に作られた映像ですが、いまだに根強い人気を誇り、米音楽メディアのピッチフォークは「90年代のベストMV」に本作を選んでいます。
後者は完全にアンビエントトラックですね。エイフェックス・ツインは現代音楽家のエリック・サティやジョン・ケージにも影響を受けており、生業とするのがテクノやアシッド・ハウスにとどまりません。多重人格的なトラックメイカー。
肝心なライブですが、最近の彼の動向から考えると、恐らくかなりハードな内容になるでしょう。昨年末にアメリカのヒューストンで開催された『Day For Night』、今年6月にロンドンで行われた『Field Day 2017』では、不規則なビートと凶悪なベース音で会場を沸かせていました。
Aphex Twin Live at Field Day 2017
エイフェックス・ツインの持ち曲に加え、他のアーティストの曲をリエディットしたトラックを交えてプレイ。全体のBPM(テンポの速さのことでEDM系のトラックは大体125前後)は140弱程度でしょうか。かなりハードな展開です。この内容をフジロックでは一番広いグリーン・ステージで聴けるわけですから、期待は高まるばかりですね。足腰が心配です。
7月30日のヘッドライナー、Björk
正直言って、エイフェックス・ツインより予測できない。ビョークです。『Vulnicura』のリリース以降、VRのセンセーショナルな面ばかりが取り上げられたけれども、「時代の最先端を行く」という意味では、彼女は今も昔も変化はありません。予測不能性もそこに起因します。彼女のパフォーマンスは、いつだって僕らの想像の遥か上を行く。VR技術を使った表現もどんどん発展しており、今年4月に公開された『Notget』のMVは圧巻でした。
Björk – 『Notget VR』
まるでゲームの世界観。以前より視覚的表現に対して先進的だったビョークは、VRはまさに表現を一歩進めるために必要なテクノロジーだったのです。流行りものとしてではなく、画家にとっての筆と同じようにその技術を欲していた。彼女の先見性については、過去のアルバムをいくつかチェックすると分かります。こちらがリリースされたのは、もう20年以上前。セカンドアルバム『Post』より。
Björk – Army Of Me
MVの監督は若き日のミシェル・ゴンドリー(『エターナル・サンシャイン』など)です。当時フランスでMVの制作を生業としていたゴンドリーに、ビョーク側からオファーを出しました。この事実からも彼女の審美眼の鋭さが伺えます。その後二人のパートナーシップは長きにわたって継続し、2011年の『Crystalline』まで、全部で8本のMVが作られます。その間、二人ともそれぞれの領域でビッグネームへの階段を駆け上がっていくわけですね。
björk – 『bachelorette』
絶えず未来を見続けるビョークのステージ、必見です。思いもよらない方法で、僕らを驚かせてくれるはず。
■フジロック’17 ヘッドライナーズ プレイリスト
FUJI ROCK FESTIVAL ’17
会場: 新潟県湯沢町苗場スキー場
日程: 2017年7月28日〜30日
<公式サイト>
http://www.fujirockfestival.com/
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