苗場の夜の空気が好き。
子供たちが寝静まる頃、苗場の空気が変わる。Contactとか、VENTとか、このあたりのクラブの雰囲気をそのまま苗場に持ってきたような感じ。レッドマーキーが曜日によって名前を変え(金:プラネット・グルーヴ、土:トライバル・サーカス、日:サンデー・セッション)、出演者のカラーにも変化があります。今回はクラークやニーナ・クラヴィッツ、ア・ガイ・コールド・ジェラルドがフロアを揺らしました。
A Guy Called Gerald – 『Voodoo Ray』
ここに居る人はみんな、WarpとかNinja Tuneが大好きなんでしょうね…。いや、レーベルにはもっと細かくこだわりそうだ。昼間も十分動きまくった体で踊る彼らから、「エイフェックス・ツインの話だけで白米5杯はイケます」というギーク魂を感じ取った次第であります。
で、この光景を見ていて気になったことが一つ。みなさん、普段はどこにいらっしゃるんですか。クラークを知っている人、僕の周りには数人程度しかいません。それがどうでしょう。フジロックに来てみると、5000人を収容できるステージがパンパンになるわけです。
周りと音楽の趣味を共有できなくて悩んでる人、たくさんいますよね。ぜひフジロックで会いましょう。迷える子羊が夜な夜な踊っております。
そして帰ってから、クラークの話ができる人の数は変わってないことに気づき、寂しくなるのです。これ、フジロスの原因の一つだと思います。
好きなアーティストのライブを見逃すのも、「まぁアリかな」と思えた夏。
高校生の頃までは、「あのアーティストを見逃したなんてありえない…。死のう」なんて思ってたんですが、20代もそこそこになるとそれも変わってきますね。今後また変化するかもしれないけれど、今は使命感に追われてライブを観るよりも、好きなときに好きなように観るライブのほうが心に残る。
「喫煙所で偶然友達に会ったからつい話し込んじゃってさー。ライブ忘れちゃったよねー」と、かつて親戚のお兄さんが言っていたことを思い出す。当時は全く理解出来なかったのですが、今なら分かります。
フェスに行って恋が生まれたり、大嫌いだったヤツのことが大好きになる瞬間って、得てしてこういうダラダラした時間にあるのでは。東京でも同じ話ができるのだけれど、なぜか特別なことのように思えるんですよね。
今回のフジロック。頭でっかちな僕の最大の収穫は、根本的なフェスの過ごし方だったかもしれません。今なら心から「フェスは自由に楽しむもの」と言える気がします。近頃よく耳にも口にもする「多様性」という言葉の本質が、少しだけ分かった。
今年のフジロスは即効性も持続性も高く、早くも来年のフジロックが待ち遠しいです。音楽も、ご飯も、人も場所も、全部素晴らしかった。毎度のことながら、ゲートをくぐるときにどうしようもなく寂しくなる。来年もヒーヒー言いながら音楽聴きに来よう。
では最後にもう一度。また苗場で会いましょう。
FUJI ROCK FESTIVAL’17 Aftermovie
(次のページ: 番外編【バンドTシャツ・コレクション】)
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