苗場の音楽は鳴り止まない。
さて、あとはもうレッドマーキーで体力を使い果たすのみです。平時ならば疲れ切って倒れるところですが、まだ QuanticもBlack Boboiも石野卓球も控えているという…。しかしみんなマジで元気ですね。
Day2編でも書きましたが、後先を考えずに音楽に没頭できるのがクラブ的空間の素晴らしさであります。2日ぐらい疲れを引きずったところでフジロックのメモリーには勝てぬだ! 気の抜けた態度を上司に咎めらようとも上の空で切り抜けます。
さて、Black Boboi。ロンTを2着も買いました。まさしく“満を持して”という気がしております。深夜2時過ぎですよ。深夜2時過ぎにBlack Boboiなんてこれ以上ない組み合わせじゃあいですか。「Red Mind」で冥界へ飛ばされ、「Between Us 2」で夜の深淵へ飛ばされる。スティールパンの音も、彼女たちの歌声も、ミニマルなピアノのリフレインもすべて美しい。夢と現実の狭間の酩酊と、深夜ゆえの艶やかな熱狂。矛盾なく兼ね備えるのだから恐ろしいですよね。
Black Boboi – 「Between Us 2」
同じロンTを着た人を見かけるも、特に話しかけることもなくお互いの存在を認識しながらユラユラ聴く。そこには何とも不思議な快楽がありました。ストイックというよりも、もっとスピリチュアルな不文律。それが我々の間には成立していたのであります。自分でも何を言っているか分からなくなってきましたが、つまりそういうことです。Black Boboiのライブが最高だった。言葉はいらない。
そして時刻は3時半を回る頃、DJブースに石野卓球が現れました。諸事情により電気グルーヴでの出演はなりませんでしたが、百戦錬磨のDJである彼は、たった1人で圧巻のステージを見せます。テックハウスあり、アシッドあり、そして電気グルーヴありの、石野卓球にしかできないミックスを紡いでゆきました。最終日のこの時間、ラスト1曲の時にバックスクリーンへは3日間の様子を記録した映像が映し出されるんですけども、そこで「虹」がかかったんです。ちなみに先日公開されたフジロックのアフタームービーにも、同曲は使用されてます。アフタームービーが作られ始めた2016年以来、動画内で2曲使われることはなかったんですが、今年は異例。Red Hot Chilli Pipersの「Under the Influence」と、「虹」。
FUJI ROCK FESTIVAL’19 : Aftermovie
様々な事情があって音楽が出来なくなる日もあります。Hiatus Kaiyoteのネイパームのように急病を患うことだってあるし、The Cureのサイモン・ギャラップ(Ba.)のように深刻な問題があってツアーに帯同できないこともある。それでも音楽を作らずには、聴かずには、愛さずにはいられないんです。何人も、音楽は止められない。そういう極めて根源的かつ衝動的な欲求を、今年のフジロックでは思い出しました。
だから、今更豪雨ぐらいどうってことないです。テントが浸水しても、足をアブに刺されても、着る服がなくなっても体さえあれば音楽は聴けますからね。…ただまぁ、1回ぐらいは晴れのフジロックも経験してみたい。
それでは、また来年。
Photography_REIJI YAMASAKI
Text_Yuki Kawasaki
Edit_ADO ISHINO(E inc.)
■ FUJI ROCK FESTIVAL ’19
日時:7月26日(金) 27日(土) 28日(日)、前夜祭は25日(木)
主催:SMASH Corporation
■ FUJI ROCK FESTIVAL ’20
2019年8月21日(金)~23日(日)
<フジロック公式サイト>
https://www.fujirockfestival.com/
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