ホワイトステージへの大横断。目指したアーティストは
レッドマーキーからホワイトステージはそこそこ離れています。苗場を初めて訪れた時のことを覚えていますが、なかなかステージの距離感を掴めなかったので苦労しました。慣れていても、疲れていると結構ツラい。それがレッドマーキー to ホワイトステージ。何せ場内最大規模のグリーンステージを超えないといけませんからね。広大な大地を超え、その奥へと続く細道を超え、カレー屋から風に乗って流れてくる匂いに小腹を刺激される。(ちなみにカレー屋の名前は「森のハイジカレー」と言います。いつ行ってもお客さんが並んでます)
前置きが長くなりましたが、我々が大陸(グリーンステージ)大横断して観たかったのは、ロックバンド「GEZAN」。彼らのライブ終了後には、Twitterで“GEZAN”がトレンド入りするほど反響がありました。“世の中が今こういう状態にあるのだから、フェスが打ち出す表現としてこのバンドやアーティストを出すべきだ!”という、カウンター色が強いのがフジロックです。この感覚については、国内随一と言っても過言ではないでしょう。GEZANはまさにそんなバンドでありました。MCでマヒトゥ・ザ・ピーポー(Vo.)が、メンバーのイーグル・タカがギターを忘れてきたことを揶揄し、「こんなデタラメなバンドでも(フジロックの)ホワイトに出られるんで」と言っていましたが、フジロックが彼らを待望していたようにも思います。
そしてそのMCはこう続きます。「俺たちをここに連れてきたのは金とかコネとかじゃなくて、自分たちの想像力だと思ってて。もう何かにとらわれずに、これからどんな時代が来ても想像力だけ捨てずにブチかましましょう。GEZAN」。そして始まる「Absolutely Imagination」。声帯をかきむしるようなシャウトと、センシティブな歌詞。「リンダリンダのつづきを見にいこう 切れた弦で編む未来を」と叫びます。生きることと政治性が、そしてそこへ音楽が繋がっていました。それに対してオーディエンスも呼応していて、限りなくフジロック的な光景が広がっていたように思います。
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