遂に完結を迎えるチャットモンチー。多くのバンドマンが憧れるカリスマ的ガールズバンド
6月27日にラストアルバム『誕生』をリリース。7月4日には日本武道館にて涙のラストワンマンライブを行ったチャットモンチー。この模様は生配信され、チケットを入手出来なかった日本中のファンに届けられました。3月にリリースされた初のトリビュートアルバムでは豪華16組のアーティストが参加し、各レコード店では品薄になる程話題となっています。
チャットモンチーの凄いところは、音楽関係者にも愛されているところ。”チャットモンチーのコピーをやっていた“という声も沢山耳にします。こんなにもバンドマンに愛されたバンドは他には居ないのではないでしょうか。トリビュートアルバムでカバーされたおすすめ楽曲を含めながらチャットモンチーのカリスマ性を紐解いていこうと思います。
チャットモンチーのこれまでの歩み
チャットモンチーは、2000年に橋本絵莉子(Vo. 通称えっちゃん)が中心となり結成されます。就職と進学を理由に元メンバーが脱退することとなり、卒業直前の2002年3月に元々チャットモンチーのファンであった高校の同級生の福岡晃子(Ba. 通称あっこ)が、2004年4月に福岡のサークルの先輩であった高橋久美子(Dr. 通称くみこん)が加入し軽音部の部室内で積極的にバンド活動を行なっていました。
地元徳島で行われたバンドコンテストでグランプリを獲得し、タウン誌に特集が組まれるほど県内では有名なバンドへと活躍の幅を拡げていき、この頃から関東や関西でもライブ活動をし始め、2005年ミニアルバム「chatmonchy has come」で、Ki/oon Recordsよりデビューを果たします。デビュー直後からラジオのパワープレイを獲得、ライブパフォーマンスにおいても賞賛を受け大型ライブイベントへの参加をするなどチャットモンチーのシンデレラストーリーの幕が上がります。
当時、BUMP OF CHICKENやASIAN KUNG-FU GENERATIONといった王道ロックバンドが一大旋風を巻き起こす中でガールズバンドとして人気を集めていたのはチャットモンチーくらいでしょう。女子ならではの可愛らしい歌声や雰囲気、乙女心が描かれた歌詞に加え、見た目の想像を超えるカッコいいバンドプレイに日本中の若い男女が釘付けになっていたのは間違いないのではないでしょうか。
バンドとして確固たるものを得て、順風満帆に見えていましたが、2011年に高橋が脱退を発表し、以降色んな楽器に持ち替えながら残る2人で活動しますが、2018年7月をもってチャットモンチーは完結することとなりました。
チャットモンチー完結への公式コメント
この度私たちは、2018年の7月をもってチャットモンチーを完結させようと思います。
今年の全国ツアー中、ツアーが終わったら次にどういうことをやろうかと考えているうちに、チャットモンチーという名前を脱いだ方が新しいところへいけるのではないかと思い始めました。〜省略〜
チャットモンチーとしてデビューして今年で12年。
3ピースバンドとして駆け抜けた三人官女時代。
2ピースバンドとして駆け抜けた二匹オオカミ時代。
男陣、乙女団とともに駆け抜けた大人青春時代。
そしてもう一度2人に戻って機械と取っ組みあったメカニカル時代。
どの時代にも、噓偽りない色んな感動があり、そこで生まれた曲たちは私たちの一生の宝物です。チャットモンチー、「完結」を発表。よりコメント一部抜粋
チャットモンチーの影響力の凄さをトリビュートアルバムが物語っている
高校の軽音楽部がコピーするバンドとしても愛されるチャットモンチー。その為かバンドスコアも飛ぶように売れています。そんなにコピーしやすい曲なのか?と聞かれると実はそうでもなく、えっちゃんの突き抜けるような高音ボイスやリズミカルなメロディーライン、変則的なテンポとで構成された複雑なバンドサウンドというように初心者には難しい印象を受けます。
それでも“憧れのチャットモンチーをコピーしたい!”というのはアマチュアバンドのみならずプロも同じで、開催を控える【こなそんフェス 2018】に出演が決まっているyonigeの牛丸ありさは、憧れのチャットモンチーと対面した時に泣き崩れたというエピソードを語っていました。若い世代のバンドにも大きな衝撃を与える存在なのです。
遂に実現した3月にリリースされたトリビュートアルバム『CHATMONCHY Tribute ~My CHATMONCHY~』は、先輩後輩、プロアマ問わず集められた16組のアーティストが選曲した有名な曲からコアな曲が出揃った“私は”ではなく“私の”チャットモンチーが凝縮されてます。リスペクトしている事を前提に自分達らしく料理した楽曲のオリジナル曲がどんなものなのか?カバーしたアーティストの紹介も兼ねておすすめ楽曲をご紹介いたします。
ハナノユメ
オリジナル音源は割愛させていただきますが、チャットモンチーがメジャーデビューした際にリリースされたアルバムに収録されています。
高橋久美子の文学的な歌詞が印象的な「ハナノユメ」は、忘れらんねえよがカバーしていて、オリジナルに忠実でありながらも間奏部分に一言加えたりしながら持ち前の熱量のあるパフォーマンスが活きています。
サビの歌詞はこちら
薄い紙で指を切って 赤い赤い血が滲む
これっぽっちの刃(やいば)で
痛い痛い指の先
バラのトゲを見ていたら あなたの心の寂しさが
痛い痛い とがった心臓
ドクンドクン 血がめぐる
チャットモンチー ハナノユメ | 歌詞検索J-Lyric.net
余談となりますが、トリビュートの意外なところではレコード会社の後輩NICO Touches the Wallsがシングル内のカバー企画の中でハナノユメをカバーしています。少しクセが強いですがそちらも是非チェックしてみてはいかがでしょうか。
シャングリラ
言わずと知れた「シャングリラ」はポップかつキャッチーなメロディーとビート感のあるベースラインが気持ち良いチャットモンチーのド定番曲です。シャングリラとは、ユートピアを意味していて、好きな女の子への淡い片思いを、想い描く理想郷(ユートピア)に重ねて歌われています。
トリビュートアルバムでは、ねごとがカバーしていて、チャットモンチーへの強いリスペクトや愛情が注がれながらも、ねごとらしい浮遊感のあるふわふわとしたアレンジに仕上がっています。
染まるよ
ノスタルジーな雰囲気漂う「染まるよ」は筆者も大好きな曲の1つです。エイトビートを刻む弾んだ曲も良いですが、チャットモンチーはこういったミディアムテンポのエモみが強い曲も良いです。この曲のイメージを残したままに更に憂いを帯びたアレンジでカバーをしたのがきのこ帝国です。世界観の強いバンドの雰囲気にもマッチした見事な選曲だと思います。
チャットモンチーについて書かれた文献は数えきれない程あるので、少し違った視点で掘り下げてみたら、チャットモンチーが嫌いな人って居ないんじゃないかと思ってしまう程に同業者にも愛されているバンドだなと改めて実感しました。何度も“変身”を繰り返し生まれ変わっていく音楽に影響を受け、世代も男女も問わず自らの音楽に昇華して生まれた楽曲達がたくさんあると思うと、チャットモンチーの存在の偉大さに気づかされます。ファンの1人であり憧れるバンドでもあるのです。
今月いっぱいで解散してしまうので、この先チャットモンチーとしての作品が世に出る事が無いのはとても残念ですが、“カバーしたい“ ”アレンジしたい”とバンドマンの心をくすぐる魅力が溢れる名曲を残し、音楽を愛するみんながチャットモンチーを演奏し継承していくという流れが続いていって欲しいと強く願います。
チャットモンチー公式サイト
チャットモンチー スタッフTwitter
福岡晃子 公式Twitter
チャットモンチー公式Instagram
SHARE
Written by