ヤナセジロウがbetcover!!を通して本当に伝えたい音楽とは
昨今、次世代を賑わすシンガーソングライターが音楽業界を席巻しています。弱冠二十歳の奇才・ヤナセジロウもそのひとり。彼が率いるバンドbetcover!!は2019年にavexよりメジャーデビューを果たし、ジャンルの壁を越えた独自の感性を武器に“今本当に伝えたい音楽”だけを追及し続けるバンドプロジェクトです。テレビアニメのエンディングテーマやクリープハイプの楽曲「愛す」のRemix第2弾アーティストに抜擢されるなど、着々と活躍の幅を拡げています。
そんなまだ謎多きbetcover!!が求める音楽像とはどんなカタチをしているのでしょうか。
betcover!!(ヤナセジロウ)について
betcover!!ことヤナセジロウは、1999年生まれ、東京・多摩区出身の二十歳。
親の影響でブラックミュージックを日常的に聞いていた為、自ら音楽を始めるのも必然的だったのかもしれません。小学5年生の頃からギターを手にし、中学生で作曲をしていますが、本格的に音楽活動を始めたのは2016年の夏頃になります。
バンドに憧れを持ち、betcover!!を立ち上げるものの、当時から未だに決まったメンバーはいません。その為現在に於いてもサポートミュージシャンを率いる形でバンド活動を続けています。高校中退を考えるようになった頃、学校の先生から“オーディションをたくさん受けてやる気を見せろ”と言われたことをきっかけに応募した【RO69JACK 2016 for COUNTDOWN JAPAN】では優勝という快挙を成し遂げました。
2017年12月には1st ep 「High school!! ep.」を発売するや否や、各サブスクリプションでは期待のNEWアーティストとして取り上げられ、スペースシャワーTVには収録楽曲「COSMO」がヘビロテに選出されたのです。
その後発表された作品でも奇才ぶりを発揮し、2019年7月24日にリリースされたアルバム『中学生』でavexからメジャーデビューを果たします。
リード曲「異星人」が音楽チャンネルにて選出、「決壊」がテレビアニメのエンディングテーマに採用、更に「水泳教室」がバラエティ番組のエンディングテーマに抜擢されるなど各メディアからも注目される若きアーティストへとなったのです。
betcover!!が作り出す独特な感性が溢れる楽曲、歌詞、MV
楽曲から掘り下げるbetcover!!
ヤナセジロウが生み出す音楽は、売れ線を意識したものではなく、時代を逆行しているかのように思います。
サウンド面では、フィッシュマンズからの影響が大きく、その独特な空気感をリスペクトしているようで、絶妙な足し引きで生み出されたメロウなコードとメロディーの浮遊感が心地良いです。
幼少期から家の中で流れていたブラックミュージックをはじめクラシック、ジャズ、ヒップホップ、ポップスなど多種多様な音楽を消化したものを敢えてローファイサウンドで作り上げることで彼にしか表現できない音楽が生まれているのではないでしょうか。
歌詞から掘り下げるbetcover!!
betcover!!の歌詞はどこか冷たい温度感とシニカルな表現が多用されているように感じます。
彼と同じ年齢層の傾向として、想像力が乏しくなっていると彼自身も感じているらしく、歌詞に於いてはそれぞれの解釈で捉えて欲しいと口にしていました。他の人と共有することで安心感を持つ若者が増え、歌詞の意味に対してもすぐネットで調べてしまう。これはとても惜しい事ではないでしょうか。betcover!!の歌詞は、本当に伝えたいメッセージが込められている上で一つの答えを押し付けるのではなく、何通りの答えを導く言葉選びをしているように思います。それぞれの思考回路を辿って生まれた新たな楽曲のカタチを大切にする事で、今まで気付くことが出来なかった魅力に気づくきっかけとなるかもしれません。
MVから掘り下げるbetcover!!
betcover!!はMVでも唯一無二の存在を放っています。敢えて鮮明な画ではなく、昭和レトロな質感の残るフィルムやイラストなど味のある映像が起用されているものがほとんどです。まさかこれらを二十歳の若者が発信しているなんてそう簡単には想像できません。懐かしくもあり新しくもあるbetcover!!が創り出す世界観にピッタリとハマってるのです。
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