月ごとにテーマを変えて、様々なひとに選曲をお願いしてきた「MIXTAPE」企画。今回のテーマは、ずばり東京。東京と名のつく曲はたくさんあるし、いろんな人が東京に対する思いを持っている。だけど、東京は広い。場所によって、聞こえてくる音も思い出す曲もちがう。東京出身のひとも、地方から出てきたひとも、いまは遠くから東京を眺めるひとまで。「東京」をテーマにどんな曲を選ぶのか。
近年ではフライングロータス自身の映画監督作品「KUSO」に、エイフェックスツイン、サンダーキャットと共に楽曲提供を行い、またナイルロジャース、CHICへギターリストとして参加するなど、演奏者としても活躍しているサウンドデザイナー、音楽家 AKIRA YAMAOKA の東京。
uchuu; 『FLY』
MVがもう東京のど真ん中ですしー!
いろんなハブが備わっている、それが東京なのかなと思って。「場所」から「場所」へ、もちろん物理的、物質的な意味でも言えるけど、
東京には人と人とを繋ぐ、心と心を紡ぎ出す、そんな仕掛けが備わっている処ではないかと。そんな心の行き先を描いている、そんな曲がFLYなのかなと思ったりします。
アパッチ 『宇宙人ワナワナ』
カップリングの『SHINJUKU SHADOW DANCIN’』にしようか悩みましたが、こちら『宇宙人ワナワナ』で。
電波感満載なのは、まさにザ・東京ですね。歌詞に出てくる「フォボスの街」は東京の事を言ってるはずです。
いつかマナマナに会えるかもしれない街、それが東京です。
DragonForce 『The Game』
いつだったか満員電車の中で、大卒紺色スーツ40代課長風(イメージ)の サラリーマンであろうバシっとした紳士が手に握りしめたスマホ。
そのスマホ画面からチラっと見えたのがDragonForceのジャケ写だったのを覚えてます。
もちろん、そのスマホの先から伸びたヘッドホンは彼の耳に装着されていて、そこから微かに漏れ聴こえる『The Game』が
彼の闘志を燃やしているんだなと思った時、これが東京で働くという意味なんだと実感しました。
Stratovariusでもなく、Angraでもない、40代、働く男の意気軒昂を生み出す音楽がDragonForceなのです。まさに東京を体現したサウンドなのか。
The Comes 『人間狩り』
東京といえばThe Comes、The Comesといえば『人間狩り』を思い出します。
本気で狩るんですが、機械になっちゃうんですが、チトセの叫びから感じるのは何処か届かない、狩れない私。
心憂い、有痛性を孕んだ東京を見事に歌っている曲だと思います。
Azymuth 『Fly Over The Horizon』
Azymuthが描く包まれた中に広がりを感じるサウンド、特に『Fly Over The Horizon』は東京のひとつの側面だと思います。
私が初めてAzymuthに出会ったのが中学生の時に聴いていたラジオです。幼少の高さから見上げた大人の居る東京のイメージは、
自分が大人になった今でも鮮烈に印象深く残っています。これは普遍的に抱く感覚なので、『Fly Over The Horizon』は
自分にとっての「大人のフォボスの街」以外有りえないと結論づけます。
Alien Sex Fiend 『Dead And Re-Buried』
東京の新宿という街にあったツバキハウスに来日したAlien Sex Fiendを観にいった時、
ステージにあった血まみれに飾られた半身のマネキンをNikが客席に投げたのは記憶に新しいですが、それを受け取った少年が私です。
現代社会でいえば、ステージから投げられたギターピック=血まみれマネキンなわけですが、
これをポジパン大好き少年はNik同様の白塗りの顔面で、汗まみれのポジファッションにあわせ、ゴアなマネキンを大事に抱え家路を急ぐ街が東京です。
まさにAlien Sex Fiendが東京を新宿の象徴っス。
Heavestamp 『Hype』
シューゲイザー感めちゃ漂うのに、やっぱり日本、東京を感じてしまう 独創性。東京がハブとして繋ぐ、繋げるだけでなく、紡ぎ出す所以を体現している
音楽だと思います。流行りとして廃れないサウンドも感じます。
チェリッシュ 『なのにあなたは京都へゆくの』
これ、「なのにあなたは京都へ行くの?」と言っている場所が東京だと思います。
東京から京都へ行こうと思っている意志を表明している歌なので、その筋は東京の歌、フォボスの街の歌です。
もっと彼女は主張を明確に、そして東京のメリットを彼に伝えればいいのにと聴く度に感じます。
J.A. Seazer 『こどもぼさつ』
寺山修司『田園に死す』なんですが、どこにも東京感ないどころか恐山なのですが、J.A. Seazerって東京感あると思うんです。
東京という地には、面妖な液が亀の歩みの如く地下深くから溢れてきている、そんな様を感じさせる音楽です。
黒沢良、麻里エチコ 『おじさまいや?』
これぞ東京の毎夜の姿です。みんな黒沢良に憧れ育つのが東京の男です。
麻里エチコと付き合いたい、そんな事ばかり考えてしまうようになってしまう。これが東京の恐ろしさたるや。
PROFILE
AKIRA YAMAOKA
サウンドデザイナー、音楽家
自身の音楽創出から劇伴、ビデオゲームに至るあらゆる音楽、サウンドデザインを行う。
また国外のクリエイターとの交流も多く、近年ではフライングロータス自身の映画監督作品「KUSO」に、エイフェックスツイン、サンダーキャットと共に楽曲提供を行う。
またナイルロジャース、CHICへギターリストとして参加するなど、演奏者としても活躍している。
代表作に『サイレントヒル』シリーズ、『シャドウズオブザダムド』、『LET IT DIE』など。
自身がサウンドディレクターを務め、全世界累計400万ダウンロードを突破したPlayStation(R)4専用サバイバルアクションゲーム『LET IT DIE』では、日本国内の100以上のミュージシャンとゲームの垣根を越えたコラボレーションを実施し、話題を呼んでいる。PlayStation Storeにて、通常版が108円(※価格分のデスメタル付き)で好評配信中
※「PlayStation」は株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標です。
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