NEE(ニー)は、くぅ(Gt&Vo)、夕日(Gt)、 かほ(Ba)、大樹(Dr)で編成された4人組バンド。2020年8月にリリースした「不革命前夜」は、当時無名のインディーズバンドだったにも関わらず、MVの再生回数1200万回突破、YouTubeの登録者数は12万人超えといった異例の記録を叩き出した。以降もその勢いはとどまらず、昨年メジャーデビューを果たし、1st Full Album『NEE』をリリース。狂気的かつファンタジーな世界観を漂わせる楽曲やMVで、多くのリスナーを魅了している。
時代を加速させるような重圧感のある楽曲から、おもちゃ箱をひっくり返したようなオリエンタルなサウンドまでをかき鳴らす、今大注目のバンドだが、その存在はまだまだミステリアス。
そんなNEEが、今回ミーティアに初登場。バンドのルーツから、3月30日にデジタルリリースする「DINDON」の制作秘話まで、4人が描く「野望」と「ロマン」に迫る。
Photography_Sakura Nakayama
Text_Ryutaro Kuroda
Edit:Miwo Tsuji
それぞれのルーツが異なる、NEEの音楽
左から、大樹(Dr)、夕日(Gt)、 かほ(Ba)、くぅ(Gt&Vo)
――みなさんが10代の時にのめり込んだ音楽はなんですか?
くぅ : 影響受けた音楽の1つにRADWIMPSがあります。特に聴いていたのは「洗脳」で、ミュージックビデオも面白いし、自分の内面にある葛藤を書いた歌詞や、編曲の面白さに惹かれて、凄くインスピレーションを受けました。彼らはいろんなジャンルで攻めるし、その一つひとつのクオリティが高いから、何を聴いても楽しいし飽きない。楽曲を作る時の意識として、そういうところでも影響を受けていると思います。
夕日 : 一番のめり込んだ音楽はRed Hot Chili Peppersなんですけど、その年代のギターヒーローっぽい人を探して、他にもいろいろ聴いていました。その頃はニューメタルやメタルコアも掘っていて、SlipknotやChildren of Bodomにハマり、ダウンチューニングのギターの練習をいっぱいしてました。
――攻撃的な音楽が好きなんですね。
夕日 : そうですね。激しければ激しいほど良い、みたいな。アルバムを聴いていても、バラードは全部飛ばして聴いていました。
くぅ : 尖ってんなあ(笑)。
夕日 : BPM60くらいのダウンテンポハードコアみたいなものは聴いていたんですけど、基本的にはビートが遅いと間を埋める何かをずっと探しちゃうというか、バラードになるともどかしい気分になってましたね。僕はNEEに入ってからバラードの良さがわかってきました。
大樹 : それはめっちゃわかる。
――大樹さんはどんな音楽を聴いていました?
大樹 : ドラムをガチでやりたいと思ったきっかけが、木村カエラさんの「Yellow」なんです。ちょっとトリッキーなビートやスネアの乾いた音がカッコよくて、僕もやってみたいと思いました。その後に見た音楽番組でも「You bet!!」で叩いていたtoeの柏倉さんのプレイがカッコよくて、凄く惹かれましたね。
――変則的なリズムのある曲が好きなんですね。
大樹 : 大好物です。
――音楽を聴き始めた時、歌よりもリズムに耳がいったんですね。
大樹 : 家族がみんな音楽家、と言ったら凄い家族だと思われそうで嫌なんですけど…(笑)。親父や母親はドラムを叩けるし、姉ちゃんはピアノを弾けて、家の中にもドラムがあったんですよね。それで自然と耳を傾けていました。
くぅ : それ凄いね。セッションできるじゃん。
大樹 : でも、10のうち1しか知らないような家族なんですよ。
かほ : どういうこと?(笑)
大樹 : エイトビートだけ知っている、みたいな。コードだけ弾けるとか、そんな感じなので、やるとしたら「猫ふんじゃった」のセッションですね(笑)。
――かほさんのルーツは?
かほ : 最初にTHE BLUE HEARTSや↑THE HIGH-LOWS↓などを聴くようになって、そこから銀杏BOYZにハマりました。中学生の頃は、鬱屈とした気持ちで音楽を聴いてましたね。
それから高校生になって大森靖子さんにハマって。特に「エンドレスダンス」「I love you 」「あまい」などが好きでした。「エンドレスダンス」は大学生の女の子の歌だと思うんですけど、凄くリアルな歌詞で「大学生ってこんな感じなんだ」と思いながら聴いていました。女の子の歌詞を好きになるのが初めてだったので、高校生の時の恋愛観は全部大森靖子さんが作ってくれたなと思います。
――当時好きだった音楽の歌詞と、くぅさんの歌詞に通ずるところはあると思いますか?
かほ : あると思いますね。
くぅ : まじで?
かほ : くぅは恋愛の歌詞が多いし、去年出したアルバム(1st Full Album『NEE』)の「帰りの会」という曲は、私が中学生の時にハマっていたようなことを歌っている感じがするんですよね。学生の時にひとりで聴くにはちょうどいい曲なのかなって思います。
「NEE」というジャンルが出来るまで僕らは
――NEEはどういう経緯で集まったバンドなんですか?
くぅ : 僕は広島出身なんですけど、東京でバンドをやりたいと思って上京してきて、最初にネット掲示板を使って大樹と知り合いました。それからライブハウスのバーカンで働いていたかほちゃんに声をかけて、その3人でライブをやった時、対バン相手のメンバーとして夕日が出てたんですよね。夕日とは高校生の時にスクールズアウトという大会で知り合っていたので、一緒にライブをやった時に声をかけました。
――その時点でくぅさんにはやりたい音楽があったんですか?
くぅ : いや、特にこれがしたい、というのはなくて。とりあえず僕が曲を作って、やっていく中でどういう個性があるのかを知っていく感じでした。
――では、バンドとして最初に手応えを感じたのはいつ頃ですか?
くぅ : 初めて出した音源が「歩く花」という曲なんですけど、時代的にテクい感じの曲調とか、恋愛を歌った歌詞がハマったのか、MVがいきなり1万再生行ったんですよね。
歩く花 – NEE
夕日 : 公開してから1ヶ月弱くらいだったよね。なんか凄いことが起きているなって感じでした。
くぅ : その時は売れようとか思ってなくて、とにかく音楽をするのが楽しくてスタジオに入ってただけなんですけど、その曲で手応えを感じてからは「もっと上手く演奏できるようになりたい」とか、そういうことを考え始めました。
――「歩く花」の公開から3年ほど経ちますが、現在はやりたい音楽やバンドの理想像などありますか?
くぅ : 僕はNEEというジャンルを確立したい。音を聴いただけで「この曲は絶対NEEだ」ってわかるようなバンドになりたいし、やっぱり一番目立っているバンドになりたいです。
大樹 : ギネスブックに載るくらい?
くぅ : そうだね。日本一の“なにか”になりたい。
大樹 : アルファベット3文字で一番売れているバンドとか?
一同 : (笑)
――野心があるのはいいですね。
くぅ : この1、2年で、そういう野心が出てきたんですよね。2020年の8月に「不革命前夜」という曲を出したんですけど、「歩く花」以上の手応えを感じて、僕はあの曲を出したことで、自分は音楽をやっていいんだ、音楽家としてやっていっていいんだって気持ちになれたんです。ただ、もちろん売れることだけを考えている訳ではないですが。
不革命前夜 – NEE
――商業的なバンドではないと。
くぅ : そうなんですよね。あくまでも楽しみながら、NEEという音楽を確立していきたいです。
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