2015年に新しく誕生したブランド〈SINZ(シンズ)〉をご存知でしょうか。シンズは、音楽をモチーフにしたアイテムをリリースし、大人の女性のためにモノ創りをするブランド。デザイナーは、一世を風靡した「渋谷文化屋雑貨店」の初期メンバーとしてバイイング・企画・販売を担当していた稲垣晋氏と、セレクトショップ「VELAS」を立ち上げた小池俊輔氏です。
シンズは、とにかくコンセプトがステキ。HPのコンセプトには、こんなことが書いてあります。
「昔は私ロック少女だったの♬」 ・・・そんな感性を今も大切にしている大人の女性のためにモノ創りをするブランドが”SINZ”です。 デザイナーのINAGAKI SH!Nがその40年のデザイナー人生で蓄えたノウハウやアイディアを一本の樹木で例えるならば、その根っこには”LOVE & PEACE”、幹は”ROCKでPOPなカウンターカルチャー”、様々に枝分かれした枝の先には”音ノリ”や”LOVE”の感性を大切にしたファッションと雑貨の花を咲かせています。 他人とは違う”HIPな感覚”を上質に大人らしく実らせ、いつも楽しく周囲に話題の種をふりまくようなセンセーショナルな存在であるように貴女を演出します。
(引用元:公式HP)
よく「年齢相応のファッションを…」と書かれている雑誌や記事を目にしますが、何歳になっても好きなファッションを楽しみ続けていいはず。「この格好、そろそろ卒業しなくちゃダメ?」と悩める人の背中を、そっと押してくれるようなブランドなんです。
そんなシンズに、新しいラインが登場。元ピチカート・ファイヴ3代目ヴォーカリストとして活躍し、時代の象徴するポップアイコンにもなった野宮真貴さんをフィーチャーしたブランドです。その名も〈MAKI NOMIYA BY SINZ〉。マキ ノミヤ バイ シンズにはバッグ、ポーチ、ウォレット、iPhoneケース、ニットウェアなど野宮さんをイメージして作られたアイテムがズラリ。我々世代にとってカリスマ的存在だった野宮さんとのブランドならば、ぜひともチェックしたい。12月31日まで東急プラザ銀座のHINKA RINKAにPOP UP SHOPが開催されていると聞き、早速足を運んでみました。
外堀通りに面しているエスカレーターで3階に上がり、店内へ。左へ少し歩くと、すぐにこのロゴが見えてきます。
(引用元:公式HP)
そこに並んでいたマキ ノミヤ バイ シンズのアイテムは、ひと目見て「渋谷系カルチャーのカリスマ・野宮真貴」っぽいと思えるもの。エレガントで洗練されていて、音楽の存在がしっかり伝わってくる。でもそれだけじゃなくて、ポップさや良い意味でのキッチュさも感じられるアイテムなのです。その一部をご紹介しましょう。
こちらは、「LP盤レコード3wayバッグ」。実はこれ、再生不能になった本物の12インチレコードを再利用したバッグ。レーベルは3種類で、ピンクの野宮さん全身イラスト、黒のバストアップイラスト、横顔のシルエット。A面部分には「The Night Is Still Young(東京は夜の七時)」、B面には「Touy Va Bien Avec Rouge Aux Levres(赤い口紅があればいい)」が記されています。
「パール柄トートバッグ」にも使われているこの総柄は、このラインの象徴的な模様。野宮さん直筆サインの刺繍も入っています。この他にも、クラッチケース、ポーチ、BOXケースの展開があり。
これもとても渋谷系カルチャーっぽい。ICカードが収納できるカセットテープ型ICケースです。架空のレコード会社「7PM RECORDS」のロゴも入っています。本物のカセットケースに入って売られていました。
レコードバッグにも使われていたイラストがプリントされたiPhoneケース。ゴムのように弾力があるので、落としても安心という機能付き。シンプルなのにめちゃめちゃオシャレ。
(引用元:公式ECサイト)
センスの良い曲&ジャケット+ポップアイコン・野宮真貴=ピチカート・ファイヴ。
今もなお第一線で活躍し続ける野宮さんですが、今から15〜20年ほど前の人気は絶大でした。抜群のスタイルに真っ赤な口紅、キリッと引かれたアイライン、パリジェンヌ様な素敵なファッション……。まるで二次元だけに存在してるのではないか、なんて思ってしまう存在でした。そんな野宮さんのプロフィールを簡単におさらいしましょう。
野宮真貴
「ピチカート・ファイヴ」3代目ヴォーカリストとして、90年代に一斉を風靡した「渋谷系」ムーブメントを国内外で巻き起こし、音楽・ファッションアイコンとなる。 2010年に「AMPP認定メディカル・フィトテラピスト(植物療法士)」の資格を取得。 2017年はデビュー36周年を迎え、音楽活動に加え、ファッションやヘルス&ビューティーのプロデュース、エッセイストなど多方面で活躍中。(引用元:公式HP)
野宮さんが3代目ボーカルを務めていたピチカート・ファイヴのポップな音楽も然ることながら、ジャケットのオシャレさも人気の一因になっていたのではないでしょうか。今見ても、その洗練されたデザインが分かります。インテリアにもなりそうなほど。
(引用元:公式HP)
「なんかオシャレかも」という理由で、ピチカート・ファイヴを聴き出した人も多いハズ。センスの良い音楽とオシャレなジャケット、そして何と言っても野宮真貴というポップアイコンがいる。流行に敏感な若者たちがハマるには充分すぎました。
ゆるり、ふわり、脱力系美女・野宮真貴。
野宮さんがポップアイコンとして名を馳せた裏側には、小西康陽氏のプロデュース力があってこそと言われていますが、野宮真貴という人柄も確実にあったはず。
週刊朝日のインタビューで、野宮さんの夫・昼間徹史さんが「基本的に流れる柳のような人です。ふわ~っとして。でも、すごく芯は強い」と野宮さんのことを語ってらっしゃいました。
そして、彼女の著書も『オシャレはほどほどでいい〜「最高の私」は「最少の努力」で作る〜』、『赤い口紅があればいい いつでもいちばん美人に見えるテクニック』という肩の力が抜けた印象のタイトル。しかも、秋にはメガネのJINSとコラボをして老眼鏡もプロデュースしています。歳に抗うのではなく、歳を重ねることを受け入れてファッションを楽しむという自然なスタンスで、「本当にこの人は頑張りすぎてないんだ」ということが伝わってきます。
「こんなことをして痩せた」「こういう習慣で美を保ってる」という情報は溢れていますが、野宮真貴というカリスマは頑張りすぎている現代人にとって、「肩の力を抜きましょう」という染み入る提案をしてくれています。ピチカート・ファイヴが解散してなお新しいポジショニングを取り、情報を発信し続ける彼女だからこそいつまでも輝き続けているのかもしれませんね。私たちも、もう少し肩の力を抜いてみてもいいのかも…?
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