2019年1月にNHKホールでワンマンライブを開催。ドラマ「きのう何食べた?」エンディングテーマ「iをyou」、映画「今日も嫌がらせ弁当」主題歌「楽しもう」が話題を集めるなど、活動の幅を大きく広げているフレンズ。会場限定でリリースされた「地球を越えても」を含むセカンドプチアルバム「HEARTS GIRL」には、このバンドのカラフルなポップ感覚がたっぷりと反映されている。“発芽”をテーマに制作された本作について、メンバー5人に語ってもらいました!
Interview & Text_Tomoyuki Mori
バンドをレベルアップさせた6月の“青春チャレンジツアー”
――セカンドプチアルバム「HEARTS GIRL」は“発芽”がテーマだとか。
えみそん(Vo) : そうなんです! タイトルも“発芽”全開なので(笑)。11月から始まるツアー(「秋・冬ワンマンツアー「シチュエーション・コメディー season4」」)も意識しながら作っていたので、ライブでもっと成長できるようなアルバムにしたいという気持ちもありました。
ひろせひろせ(Mc/Key) : 6月のツアー(「青春チャレンジツアー」)でもいろんなチャレンジをやって。塁さん(関口塁/Dr)が歌ったり、いろんな挑戦をやったので、それが今回のアルバムにつながっているところもありますね。いままでは俺が曲を書いて、えみそんが作詞することが多かったんだけど、今回は塁さん、太郎さん(三浦太郎/Gt.&Vo)の曲もあって。それが来年の5周年につながっていけばいいなっていう……まあ、後付けなんですけど(笑)。
三浦 : ハハハハ(笑)。
――6月に行われた「青春チャレンジツアー」は、“メンバーの縁のある場所で、新しいチャレンジをする”がテーマでした。
ひろせ : あのツアーでバンドのレベルが上がったよねって、みんなとも話していて。
関口 : うん。
ひろせ : 楽しいのはもちろんなんだけど、それだけじゃなくて、みんながしっかりフレンズの曲と向き合って。特に初日の池袋(6月6日/池袋LIVE INN ROSA)がよかったんですよ。
――これまでのフレンズのすべての楽曲をメドレー形式で演奏した日ですね。
えみそん : そうです。「こんなに曲数があったんだ!」と思って(笑)。
ひろせ : まずはそこだよね(笑)。
えみそん : 「全曲、いい曲なんだよ」と改めて伝えたかったんですよね。初めてフレンズのライブに来た人は、いろんな曲をかいつまんで聴けたと思うし、よく来てくれてる人は、いつも聴けない曲も聴けたんじゃないかなって。
三浦 : あの初日のおかげで、かなりレベルアップできましたね。「これでどんなセットリストが来ても大丈夫!」っていう。
ひろせ : めちゃくちゃ頭を使った初日があって、涼平さん(長島涼平/Ba)の地元の北浦和(ライブハウス北浦和KYARA)のときは、「まずは体を動かそう」みたいなライブをやって。
長島 : その言い方だとバカっぽいな(笑)。アンコールなしで20曲やったんですよ。
ひろせ : 最後の新宿(新宿BLAZE)のときは、エンターテインメントを意識したライブをやって。
関口 : ぜんぶセットリストが違ってたんですよ。いままで以上に真剣に取り組んだし、実りの多いツアーでしたね。
――「HEARTS GIRL」の収録曲からも、いまのフレンズの充実ぶりがめちゃくちゃ感じられました。楽曲のことも聞きたいのですが、まずは1曲目の「take a chance」はえみそんの作詞・作曲。キラキラ感と切なさが両方あるポップチューンです。
えみそん : ちょっと前に作った曲なんですけど、デモの状態からだいぶ変わったんですよ。もともと「あとでひろせに音を足してもらおう」と思っていたので。
ひろせ : デモのときはもっと明るい曲だったんですけど、すこしコードを変えて。構成的にもすぐサビが来るようにしたり。いちばん5人のセンスが入ってる曲だと思うので、この曲をリードにするのがいいなと。
――イントロのシンセの音色も個性的ですよね。始まった瞬間に一気に引き込まれる感じがあって。
ひろせ : シンセの音はかなり凝っていて、いつも「いい音ないかな」って探してるんですよ。ドラマの主題歌(ドラマ「きのう何食べた?」エンディングテーマ「iをyou」)で僕らのことを知ってくれた人もいるだろうし、「夜にダンス」(2016年)から聴いてくれている人もいると思うけど、聴いた瞬間にハッとしてほしいので。
えみそん : 歌詞は応援ソングですね。この曲で誰かの背中を押したいと思って。
――タイトル曲「HEARTS GIRL」の歌詞は、作詞家のS.Kawataさんが担当しているんですね。
えみそん : (メンバー以外の作詞家に)歌詞を書いてもらったことがなかったから、合いそうな方がいたら一緒にやってみたくて。私、King&Princeの「シンデレラガール」がすごく好きで。あの曲の作詞が、Kawataさんなんですよ。あと、私の大好きなLittle Glee Monsterの楽曲にも関わっていて、Kawataさんだったら、フレンズのハッピーさを増幅させてくれるんじゃないかなって。自分では絶対に書かないようなキュンとするような言葉もあって、それを自分の言葉として歌えるのは嬉しかったですね。
えみそんの歌心がまっすぐ伝わる名バラードも
――そして3曲目の「12月のブルー」は、オーセンティックなバラードナンバー。こういうタイプの曲もいままではなかったような…。
ひろせ : デモのなかにはあったし、えみそんの歌うバラードを聴いてもらいたいという気持ちもあって。それこそ“青春チャレンジツアー”の新宿のときに、MISIAさんの曲をえみそんに歌ってもらったんですよ。
――「Everything」ですね。めちゃくちゃ良かったです。
えみそん : ありがとうございます(笑)。
ひろせ : 次のツアーのファイナルは渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)だし、大阪、名古屋もホールなので、そこでやりたいというのもあって。
えみそん : もともとバラード系の曲は好きなんですよ。小気味いいバラードというか、あまりロングトーンじゃないバラードが特に好きで。
――「12月のブルー」の切なさたっぷりの歌詞も印象的でした。
えみそん : デモ音源はひろせが歌っていて、サビの最初の3文字が“ひろせ”だったんですよ(笑)。切ない気持ちは入れたかったし、「“ひろせ”って男性だよな」と思って、男性目線で書いてみようと。未練みたいな感情を私なりに書いてみたんですけど、新しいことができたなと思います。もっと物語のある歌も書いてみたいし、次につながりそうですね。
――「Nothing」は関口さんの作曲。これはトラックから作った曲ですか?
関口 : そうなんですけど、ギターや鍵盤は弾けないから、太郎くんに手伝ってもらったんです。鼻歌でギターのフレーズを伝えて。
三浦 : “パパパパーン”みたいな感じで、口でギターのフレーズを歌うんですよ(笑)。それを聴いて、(ギターを弾きながら)「こういう感じ?」って聞くと、「いや、ちょっと違いますね」って言われたり。
関口 : わがまま(笑)。
三浦 : 塁くんの頭のなかにはちゃんと音が鳴ってるんですよ。それを口で伝えられるのはすごいなって。
関口 : (笑)。いつもYouTubeを見ながらお風呂に入っていて、そのときに思い付いたことをボイスメモに入れるから、いつもエコーがかかってるんです。
関口 : じゃあ、そのときは全裸なんですね。
長島 : え、だから「Nothing」なの?
関口 : 違います(笑)。
えみそん : (笑)カッコいい曲ですよね。ジャンルのことはわからないけど、オールドスタイルというか、“往年の”という感じがあって。そこにフレンズらしいポップさが加わってるんですよ。
関口 : 今回すごく勉強になったのが、ひろせと一緒に作業できたことで。えみそんの歌詞と歌もそうなんだけど、ひろせがアレンジを加えてくれて、フレンズらしい曲になったので。
ひろせ : なるべく全員の血を曲のなかに入れたいんですよね。それがだいぶできるようになってきたし、4年間バンドをやってきた賜物かなって。
――5曲目の「0:25」は太郎さんが作曲を手がけています。めちゃヒップホップな曲ですね。
三浦 : だいぶ前なんですけど、飛行機に乗ってるときに思い付いた曲で。ひろせにカッコいいラップをやってもらいたいというアイデアでデモを作って、そのまま寝かせてたんですけど(笑)、みんなに聴いてもらったら「いいね」って言ってくれたので、曲として完成させて。ライブのサポートをしてくれている山本健太くんに鍵盤を弾いてもらったら、いきなりフレンズっぽくなったんですよ。1曲をフルで作らせてもらったのは初めてだったから、終始うれしかったです。
根がポップなので、まじめな話ができない(?!)
――個性的な曲が揃ってますよね、ホントに。
長島 : そうですね。僕は曲を出してなくて、わりと俯瞰で見てた感じなんですけど、本当にいい曲ばかりだなと。メンバーの誰かに寄ってるわけでもないし、それぞれの感じが出てるのもいいですよね。
――しかも全体を通して、フレンズらしさもしっかり感じられて。そこはひろせさんのセンスなのかなと。
ひろせ : 自分ではわからないところもあるんですけどね。曲を提供させてもらうことが増えてるんですけど、「ひろせらしさってあるよね」と言われることもあるので、自分が好き感じとか、グッとくるところを入れるとフレンズっぽくなるのかも。
関口 : うん。
ひろせ : フレンズの調子がいいと、他の仕事も増えるし、やっぱりフレンズありきなんだなと思いますね。曲だけじゃなくて、演奏やサウンドも含めて提供してみたいんですよね。
長島 : それ、新しいね。フレンズがゲストバンドとして、誰かの楽曲に参加するってことでしょ?
ひろせ : そうです。そうやって新しいことをどんどんやっていきたいなって。
――今回のミニアルバムを作り上げたことで、“発芽”できた手ごたえもありますか?
ひろせ : それはツアーをやってからですね。
えみそん : そうだね。ライブのなかで新曲がどう育つかも楽しみだし。
関口 : それを踏まえて、5周年に向かっていけたらなと。
えみそん : 花を咲かせたいですね!
ひろせ : そのためにもまず、ライブにぜひ来てほしいです。チケット代以上のものを持って帰ってもらえるライブになると思うので。
――めちゃくちゃ楽しみです。フレンズのライブはやっぱり、ポップで明るいのがいいんですよね。MCで悩みや苦労を語られるのが苦手なので…。
えみそん : (笑)そういう感動を生み出してみたい気持ちもあるんだけど、根がポップだから出来ないんですよ。
ひろせ : すぐフザけちゃうんですよね。こういうインタビューでもそうなんですけど、「誰がマジメに話してるんだよ!」って自分で自分にツッコんじゃんですよ(笑)。
〈リリース情報〉
フレンズ
2019.9.25
『HEARTS GIRL』
¥1,963(税込)
1.take a chance
2.HEARTS GIRL
3.12月のブルー
4.Nothing
5.0:25
6.地球を越えても
フレンズ オフィシャルサイト
フレンズ twitter
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