あらたなはじまりを感じた下北沢の夜
ことポップカルチャーにおいて、下北沢という街は未だ重要な場所。実力あるアーティストが数多く集い、魅力的なイベントが次々と生まれます。4/2に開催された、She, in the haze(シー・イン・ザ・ヘイズ)の自主企画もそう。この日はポータルタウン、The ManRay、Via tov、Gi Gi Giraffeがライブハウス『MOSAiC』に集ったのでした。
(She, in the haze公式Twitterより)
つい先日公開された新曲『Paranoid』のMV。She, in the hazeはあきらかに新たなフェーズに入っている模様。ライブレポートのまえに、少しだけそのお話を。
今解き放たれるShe, in the hazeのルーツ
She, in the hazeのフロントマンであるyu-kiは、以前から「自身のルーツにはメタルがある」と語っていて、しかも入り口がPanteraというのだからかなり強烈な原体験を経てきたことは想像に難くないところ。でもバンドを結成した当初は、自分たちでメタルをやるつもりはなかったそう。ロックマガジン『Skream!』に掲載されているインタビューを見てみると。
自分が何を表現したいかって考えたとき、自分の声質だったら、ブラック・メタルとかをやるよりはShe, in the hazeのような楽曲をやった方が世界観が作りやすいなと。もしシャウトに適した声であれば、メタル・バンドをやっていたかもしれないです。
(出典: 『Skream!』)
ちなみにShe, in the hazeの代表曲の一つである『Stars』(昨年10月にリリースされたデビューアルバム『Mama said』に収録)はこんな感じ。
She, in the haze – 『Stars』
この曲にもメタルな要素を感じ取ることができますが、それでもやはり「数ある参照点のうちの一つ」という印象。恐らく、この時点ではメタルのマナーを積極的に取り入れようとは思っていなかったはず。それがいつからか、彼らは自分たちのルーツに向き合い始めていた。つまり今のShe, in the hazeはかなりメタルに接近しているのです。
ライブで表面化する、She, in the hazeの思い
さて、以上を踏まえた上で彼らのライブをレポートします。
オープニングを飾ったのは、『Claudia』。トップから強烈に表出するメタル・マナー。会場に響く轟音。yu-kiのシャウトが耳を貫き、うごめくような重い重い低音が下腹部を刺激する。メンバーが身にまとう白装束の残像に、物語が見えるよう。
二曲目の『behind』でも惜しげもなく誇示されたメタル・ルーツは、さながらバンドとしての決意表明のようにも思えました。
She, in the haze – 『Claudia』
She, in the haze – 『Behind』
ここで強調しておきたいのは、彼らが取り入れたメタルの方法論には純粋性があったこと。先に紹介したインタビューにて、yu-kiが懸念していたような声質のミスマッチはありませんでした。Panteraがルーツにあると言うように、文脈としての正当性すらあったように思います。彼らが如何にメタルを愛しているのか、よく分かりました。
多層化するShe, in the hazeの世界観
『Stars』を聴いても分かりますが、かつての彼らの世界は「動」と「静」によって成立していました。あくまで個人的な感想ですが、メタルへ接近したことの最大の功績は、ここへ「感情」を付与させたことにあると思うのです。それは「怒り」であり「哀しみ」。感情の種類は曲によってさまざまですが、とにかく表現のレイヤーがぐっと増えた。それが最も顕著だったのが、やはり新曲の『Paranoid』です。
She, in the haze – 『Paranoid』
この曲がリリースされたときにも、She, in the hazeがバンドとして次の段階へ移行した印象を受けましたが、いよいよその足取りは確かものとなりました。
ライブで拡張される物語性
She, in the hazeの世界にはフィクション性の高い物語があります。それは明らかに意図されたもので、一つ一つの曲に強固な世界観があり、MVもそれに基づいてつくられている。その物語性が、ライブでは「横」に拡張されていたのでした。つまり、一つの曲の中で各々完結していた物語が、曲が連なることによって更に深みを持ったのです。「僕の彼女への愛は、別れを告げること だから僕はもういくよ」とうたわれる『Paranoid』から、悲哀から解放されるために主人公自ら死を選ぶ『Teddy』の流れには、彼らの音楽性もあいまって、さながら悲劇をはらんだ北欧映画を眺めているようでした。
She, in the haze – 『Teddy』
楽曲だけでなく、ライティングや衣装演出にも徹底したこだわりを見せるShe, in the haze。それらのギミックも、彼らが意図する世界を構築するのに何役もかっていたように思います。しかも、恐らく次のアイデアも控えている。たとえばここに映像が入るかもしれないし、僕たちが思い付かないようなトリックを盛り込んでくるかもしれない。そんな勝手な未来予想図を描いてしまうほど、彼らのパフォーマンスにおおいなる可能性を感じたのでした。前途洋々。未来はあかるい。
Photography_yurie peppe
text_Yuki Kawasaki
<Release>
2017/5/17
She, in the haze 1st EP 「Paranoid」
ご予約はこちら↓
○TOWER RECORDS http://bit.ly/2nLUiSz
○HMV http://bit.ly/2nLRAwr
○amazon http://amzn.to/2n5A3SN
<TOUR>
She, in the haze “Paranoid Tour 2017”
○6/7(水) 福岡the voodoo lounge
w/The Skateboard Kids/and more…
○6/9(金) 大阪VARON
w/avengers in sci-fi/ヨモギ|イ|チヨウ/Galápagos finch
○6/15(木) 仙台MACANA
○6/25(日) 東京MOSAiC *ワンマン
■チケット予約
イープラス : https://eplus.jp/ath/word/60058
チケットぴあ : http://t.pia.jp/pia/artist/artists.do…
Yahoo!チケット : http://r.y-tickets.jp/sheinthehaze1701
詳しくはオフィシャルサイトまで
<She, in the haze公式サイト>
http://www.sheinthehaze.com/
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