京都発3ピースバンド台風クラブ。音楽好きを虜にする「日本語ロックの西日」
日本語ロックの古都・京都を中心に活動中の3ピースバンド台風クラブ。9月1日に大阪・ユニバース、28日と29日に埼玉・東武動物公園で行われるロックフェス【夏の魔物】大阪公演への出演が決定しています。
2017年にリリースされたファーストフルアルバム『初期の台風クラブ』が、【CDショップ大賞2018】に於いて米津玄師に次ぐ準大賞を受賞。全国的にはまだ名が知られていませんが、曽我部恵一やクリープハイプの尾崎世界観、aikoなど多くのバンドマンやアーティストが嫉妬する才能の持ち主なのです。
台風クラブとは?
台風クラブは、大阪出身で幼なじみであった石塚淳(歌とギター)と山本啓太(ベース)、石塚が立命館大学のサークルで出会った伊奈昌宏(ドラム)から成る3ピースバンド。2013年結成時は4ピースだったものの、紆余曲折を経て山本が2代目ベースメンバーとして加入。3ピースバンドになったのは2014年の大晦日企画イベントからとなり、2015年からライブ活動が活発化していきます。
石塚の音楽性は高校時代から変わらず、学年全体がロックンロールフィーバーに沸くほど多くの学生がライヴやイベントを自主的に企画してやっていたそうです。
ガレージロックやロックンロールの原体験は、海外に負けず劣らず大音量でギターを掻き鳴らし、日本語でストレートな気持ちをぶつけるTHE HIGH-LOWSやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTであり、当時関西を中心に人気が高かったTHE NEATBEATSを聴いた際に「日本語で海外のガレージと同じ熱量出してる人あるやん!」と衝撃を受けたことでより日本語詞に拘る理由が明確になっていきました。
自らバンドをするようになり、周りのメロコアバンドが英詞で歌うのが主流になる中で、GOING STEADYが英詞を独自の解釈で日本語詞にして歌っているのを聴き、日本語の良さを再確認。以後石塚自身もこのスタイルのカバーをライブで披露しています。
台風クラブに音楽好きが注目。2017年リリース『初期の台風クラブ』
そんな台風クラブは、3枚の自主制作CD版とレコード版を経て、待望のファーストフルアルバム『初期の台風クラブ」を2017年にリリース。既に廃盤になっている楽曲を含むこのアルバムは、全国の音楽ファンの間で話題となり、LP版が瞬く間に市場から消えるという人気ぶりをみせ、サブスクリプションなど時代用途にも合わせながら再プレスするものの入手困難となりました。
その結果、全国のCDショップ店員がメジャーインディー問わず優れた作品を選ぶ【CDショップ大賞2018】に於いて、大賞の米津玄師に次ぐ準大賞を受賞!多くの著名人やアーティストからも賞賛の声が上がる注目作となったのです。
それに加え、インディーズの頃から京都のライブハウスや街を舞台にした音楽フェス【ボロフェスタ】に出演していた尾崎世界観がラジオで台風クラブの音源を流したことや、クリープハイプ主催イベント【ひめはじめ】に対バンとして呼ばれたことで一気に知名度があがります。
出番まで24時間切ってますが解禁になりました♪
1月24日(火)19時開演
下北沢DaisyBar
クリープハイプ主催“ひめはじめ”出演:クリープハイプ、ジョズエ、台風クラブ
不思議な形ですが、また東京行けて嬉しいです!https://t.co/4K1citTLdM
— 台風クラブ (@taifuclub) January 23, 2017
台風クラブの楽曲
【処暑】
学生時代に台風クラブのひとつ前に石塚と山本が組んでいたバンドでは、3コード縛りの音楽に拘りを持っていましたが、台風クラブ結成後からそれを一切取っ払い、気の向くまま鳴らす音楽という自由なスタイルが確立。そんな中生まれたのが「処暑」。尾崎世界観がラジオで流した曲なので、聴いたことがある人も多いのではないでしょうか。
ロカビリーとフォークソングの要素が強いシンプルな音色が夏の終わりに聴きたくなります。PVを担当しているのは映像関係の仕事経験のあるメンバー、山本啓太です。
こんなにみじめな西日に
燃えざしの気分はそのまま
半端な夜風と踊るよ
おれはちょっと涼しいみたいだ
【相棒】
「相棒」は聴き馴染みの良い8ビートに特徴的なギタメロがお洒落で、ポップにも聴こえる不思議なブルースといった印象です。このタイトルにも使われているテーマ“相棒”とは何を指すのでしょうか?そのヒントは歌詞とPVにあります。
とうに気は済んでる
置き去りになったいつかの出まかせを
思い出にすれば 手遅れの時は過ぎてゆく
から回ってく 口ずさんだ歌も忘れて
戯れに繋がってる手の脈を探す
文学的表現を歌詞に持ち寄る石塚のワードセンスは作家も顔負け。“自転車”についてこんな表現が出来るのかと感心してしまいました。
【台風銀座】
予測不可能なコード展開とスカっぽいリズムが耳に残る「台風銀座」。どこか昭和感が漂っています。
自身のバンド名でもある“台風”をキーワードに不安や不満など色んな物事をかっさらっていく様子が描かれています。
ちっとも面白ない 上手に踊れない
まっすぐ帰れない ぐっすり眠れない
今の時代を生きる若者からすれば新鮮であり、いくつもの時代を見てきた大人からすれば懐かしい。
そんな音楽を鳴らすバンド、台風クラブ。
レトロな風景が思い浮かぶ哀愁漂うアナログなロックを、現代に掻き鳴らすバンドが居るということに誇りを感じます。音楽に古いなんて言葉は無いのではないでしょうか。
時代に疲れたら、知らない時代のものに触れてみるのも良いのかも知れません。
その入り口として音楽は最も踏み入れやすいきっかけだと思います。
是非台風クラブの最新曲「火の玉ロック」を聴いてみては?
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