盛り上がる韓国ロックシーンから現れた平均年齢20歳の新星、SURL。
K-POPブームによって、世界中から注目を集める韓国の音楽シーン。しかしK-POPだけでなくロックシーンも、今注目を集めているのはご存知でしょうか?例えば2016年にデビューしたバンドHYUKOH(ヒョゴ)は、R&B、ブルースを基調とした独自のスタイルで人気を集め、韓国国内で人気を拡大。フジロック・フェスティバルやサマーソニックにも出演を果たし、2019年にはニューヨークでの単独公演も成功させました。今や韓国のロックはアジアだけでなく、欧米のロックリスナーからも注目を集めるようになったのです。
そんな韓国ロックシーンからデビューしたバンドがSURL(ソル)。メンバー全員が20歳の若き新星です。2018年にデビューを果たしてすぐ韓国で話題を呼び、アジア進出を果たした彼らの魅力を、これまでの活躍と楽曲と共に紹介します。
初の音源リリースから3ヶ月で2つの新人賞を受賞。SURLの快進撃を追う。
SURLのメンバーは全員が1998年生まれ。ソル・ホスン(Vo・G)とキム・ドヨン(G)、イ・ハンビン(B)、オ・ミョンソク(Dr)の四人で結成されました。高校の友人同士でバンドを組んだことで始まった彼らは、2018年の9月にリリースされた韓国インディーズシーンのアーティストたちを集めたコンピレーションアルバム『bright #7』に参加。そこに収録された楽曲「Stay Here」が注目を集めます。
「Stay Here」
ホスンの透明感のある伸びやかな声と、音の空間を生かしたようなドヨンのギター、そして欧米のバンド顔負けの強靭なリズム隊が生み出す、サイケデリックで切ない音楽は多くのリスナーの度肝を抜きました。そしてその直後には2つの音楽新人賞を受賞。日本でいうと『未確認フェスティバル』と『RO JACK』の大賞を同時に受賞したようなもの。2018年のたった3ヶ月で、SURLの音楽に注目が集まったのです。そこから多くの韓国の音楽フェスティバルに出演。激しくもブルージーな演奏で数々のステージを沸かせました。そして2019年には国外のアーティストの韓国公演のオープニングアクトに抜擢。6月にはアメリカのオルタナティヴロックバンドNothing But Thieves、7月には日本のR&BアーティストNulbarichの公演に出演します。それぞれジャンルの異なるアーティストのライブのゲストアクトを務めるのは、世界の音楽シーンを見ても異例。SURLの音楽が様々なジャンルのアーティストから愛される実力と、普遍的な魅力を持っていることを示す出来事です。
ブルージーでエッジの効いたSURLの音楽の魅力とは?
SURLの作り出す音楽の魅力は、欧米のロックバンド顔負けのグルーヴと切なさを感じさせる繊細なメロディ。そんな彼らのルーツにあるのは、1960年代から1990年代にかけてのブリティッシュロックです。ボーカルのホスンはかねてからビートルズやオアシスのファンを公言していることでも知られています。そのことを知って聴いてみると、ポップで優しさを感じさせるメロディからはポール・マッカートニーからの影響を感じますし、メロディに寄り添うような広がりのある演奏は全盛期のオアシスを彷彿とさせます。
しかし彼らの音楽の根底にあるのはブルージーな響きです。切なさを感じさせるサビのフレーズや、空間を活かした乾いたギターフレーズなどからは、ビートルズやオアシスなども参考にした、アメリカのブルースのテイストが感じ取れるのです。SURLはブリティッシュロックのルーツにあるブルースを自分たちなりに解釈し、エッジのある韓国語ロックを作り上げているのです。
2018年12月にリリースされたファーストEP『Aren’t You?』に収録された「The Light Behind You」や「Snow」などの楽曲では、SURLのブルージーでエッジの効いたロックを味わうことができます。
「The Lights Behind You」
「Snow」
進化を感じるセカンドEP。11月にはミツメとの来日公演も。
SURLは今年の10月にリリースされたセカンドEP『I Know』をリリース。曲中にスカのリズムを取り入れた「Dry Flower」や、曲の後半につれてビートが荒々しく変貌する「People」などからは、バンドのグルーヴや表現がより進化していることが感じ取れます。
「Dry Flower」
ここ1年で多くのステージをこなし、音楽性の幅をより広げた彼らは2019年11月に韓国国内でのワンマンライブを開催。そして、その直後の11月24日にはゲストアクトにミツメを迎えて来日公演を行いました。インディーロックを日本的に解釈したミツメの音楽は、SURLのルーツの一つ。ジャンルも国を超えた対バンライブは大きな盛り上がりを見せました。すでにアジアを視野に入れながら成長を続けるSURL。彼らの存在が世界のロックシーンに大きな旋風を巻き起こす日は、そう遠くないはず。今から要注目のバンドです。
SURLローチケアーティストページ
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