関ジャニ∞時代の一歳、ソロデビューを果たし二歳。今までを無かったことにせず、これからに向かう渋谷すばる
関ジャニ∞時代からクリーンボイスとロックな姿勢に定評があった渋谷すばる。音楽を更に追求したい想いからジャニーズ事務所を退社し、肌感覚で音楽や文化を学ぶ旅を経て、こだわり抜かれた曲が収録されたアルバム二歳をリリース。またTwitterの開設やクセの強いグッズでファンを喜ばせました。
渋谷すばる、ソロアーティストとしての進化
渋谷すばるは大阪府茨木市出身のシンガーソングライターで年齢は38歳です。(2020年2月9日現在)
ご存知の方も多いかと思いますが、元々はジャニーズ事務所に所属する関ジャニ∞のメンバーでもありました。渋谷すばるはメインボーカルの役割を担っており、他にもリズムギターとブルースハープも担当していましたが、2018年12月31日をもって退社。関ジャニ∞で活動できたことは「人生において一生の誇りだ」とコメントし、13年連れ添ったメンバーに感謝を伝え、次のステップに進みました。その後はマレーシア、タイ、カンボジア、ベトナム、シンガポールと東南アジアを放浪し、1人のミュージャンとして海外の文化や音楽に触れました。2019年2月28日、生存確認を告げるメッセージ動画を公開。ファンクラブ「Shubabu」の開設、自主レーベル「World art」発足と順調に活動を再開していきました。YouTubeのアカウントには2018年6月30日で放送終了していたラジオ「渋谷すばるのスバラジ」がYouTubeラジオとして復活し、ラジオならではの距離感でファンを喜ばせました。そして2019年10月9日、1stアルバム「二歳」をリリース。持ち味のクリーンボイスと無骨なロックサウンドがライブハウスライクでファンを魅了しました。さらに12月25日に大阪で行われたフェス『RADIO CRAZY 2019』内のトリビュート企画「THE YELLOW MONKEYトリビュートLIVE」にサプライズで登場。名曲「バラ色の日々」をパワフルに歌いあげ、キッズ達を沸かせました。
現在はツアー中ですが、チケットは既に全公演ソールドアウト。そのツアーグッズがかなり尖っていると話題になりました。
一際異彩を放つのはバストを支えてるようにも見えるTバック&ブラジャーセット。これは関ジャニ時代から作りたいと公言していたのですが事務所のイメージもあってか実現まで至らず。実際にグッズ化され、ファンにとって斜め上をいくサプライズだったのではないでしょうか。
アルバム二歳
「まだ未熟なもの」という意味を持つ青二歳。関ジャニ時代を一歳と捉えた時にソロでの音楽活動を二歳とし、この名を冠したアルバムでスタートしたのでしょう。ジャケットに描かれているアノラック的なイラストと裸体は渋谷すばる自身のもの。ソロ活動のグッズに自身で書いた絵本を発売したり、ブログに絵を添えたりなど関ジャニ時代から絵にもこだわりがあった画伯によるイラストは、手作り感がありアルバムのタイトルとのリンクも実感させられます。全てを曝け出している真っ直ぐな人間性が良く伝わってきますね。
「ぼくのうた」
曲を歌う姿のみで表現した一発撮りで、ごまかしのないMVからは渋谷すばるの誠実な人間性をヒシヒシと感じます。
昨今の傾向として、紅蓮華や白日などイントロの短かいあるいは無い楽曲が受け入れられやすいのに対し、「ぼくのうた」のイントロは長めでマイナー調のギターリフ。そのスタンスからは流行に左右されず、自分だけの音楽を追い求める真摯な姿勢を感じ、熱量のこもった歌声に心が震えます。
「ワレワレハニンゲンダ」
先行でリリースされた楽曲です。ゴツゴツした手触りのメロディーが直感的に脳内へと流れ込んできます。渋谷すばるがリスペクトしてやまない甲本ヒロトが所属しているバンド、ザ・クロマニヨンズへの愛情も強く感じます。
自由への賛歌ですが、逆説的に歌詞中で描いていた普通は関ジャニ時代には簡単には出来なかったことなのかもしれませんね。
「アナグラ生活」
こちらも先行リリースされた楽曲。
ふざけているように見えて哲学的、あるいは真面目そうなのに遊び心のある、双極する成分が入り混じる歌詞にハッとさせられる楽曲です。
規則に縛られず、他人にも干渉させられないアンダーグラウンドな居心地の良さを、ジャニーズだった渋谷すばるが歌うことにより説得力が一段と増します。
“アナログとデジタルの谷間で煙が出るまでこすられたい”とサビにあるように、音作りにもこだわりがあり、アナログテープでレコーディングされた作品です。アナログならではの温かみと迫力のある音が魅力で、そのなかでシンセの音が鳴っているのも面白いです。
アルバムは旅からインスピレーションを得た楽曲や、生活圏にあるモチーフを詩的に昇華した楽曲まで幅広いレパートリーを持っています。
「トラブルトラベラ」はウェット感のあるメロディーが異国をさすらってる様子を思い起こさせ、その後に続く「なんにもないな」は旅中の環境音とアコースティックなリズムが、シンプルで素朴な温かさを感じさせます。
「来ないで」ではしっかりとフリが効いていて、最後まで聴いてヤラれたなと思わざるを得ません。痛快なオチと耳に馴染んでいくメロディーがクセになります。
オーディエンスが拳を上げているシーンが脳裏に浮かぶ爆発力のあるアグレッシブな「爆音」や、穏やかなスローテンポと特徴的なクリーンボイスが徐々に熱を帯びていくのがブルージーな「ライオン」など、溢れんばかりのこだわりが詰め込まれた全12曲が無骨な真っ直ぐさを放っていて、聴く人の心に寄り添います。
2月6日仙台公演を皮切りにツアーがスタート。全国に歌を届けます。その後、3月17日には大阪・舞洲スポーツアイランド 太陽の広場 特設会場にて「二歳と364日」のサブタイトルが付けられた初野外ワンマンライブが行われます。チケットの一般発売は2月15日から。是非とも足を運んでみてください。
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