NICO Touches the Walls祝メジャーデビュー10周年。進化し続ける多彩なバンドサウンド
今年の1月にメジャーデビュー10周年を迎え、ファン待望の新曲「VIBRIO VULNIFICUS」(テレビ東京系ドラマ24『GIVER 復讐の贈与者』エンディングテーマ)がリード曲となる新作『TWISTER-EP-』を7月25日にリリースしたNICO Touches the Walls(ニコ タッチズ ザ ウォールズ)。エッジの効いたエレクトリックサイドや繊細なアコースティックサイドからなるコンセプトを元に構成された現在遂行中の全国ツアーでは、持ち前の音楽センスを余すことなく爆発させています。
NICO Touches the Walls、通称NICOが王道ギターロックサウンドを軸にジャンルの壁を超えて作り上げる卓越したハイレベルな音楽に着目し、これまで歩んできたバンドの軌跡を辿っていきましょう!
2004年、「NICO Touches the Walls」地元千葉にて結成。
バンドのソングライティングを手掛ける光村龍哉 (Vo.&Gt.)を中心に、高校の軽音楽部の先輩に当たる古村大介 (Gt.)、外部で一緒に光村とバンドを組んでいた坂倉心悟 (B.)の3人で活動をスタート。後に、古村の幼馴染で同高校軽音楽部の対馬祥太郎 (Dr.)が加入し、現メンバーが揃いました。後に音源化となった「友情讃歌」は、光村が高校の文化祭で披露した曲です。
「NICO Touches the Walls」というバンド名は、光村がバンド練習をしていたスタジオ内のトイレの中でよろめいて壁に触れた時、
壁に触れるという行為は壁の向こうにある世界、日常から新しい世界を創造する
というイメージから”Touches the Walls“が浮かび、主語の部分を外国人女性の名前にしたいという思いから”NICO“が先頭にくっ付き、このバンド名が生まれました。読み方がわかりずらくて長い名前である為、当初から”NICO“の愛称で呼ばれています。
10代最後の年に挑んだコンテスト【YAMAHA TEENS’ MUSIC FESTIVAL 2004】で見事全国大会を勝ち抜き、優勝は逃すものの準ずるLOTTE賞を獲得。翌年から東京でのライブ活動を展開していったことで、完成度の高いNICOのバンドサウンドを耳にする機会が増え、インディーズデビュー前にも関わらずロックシーンを代表する音楽評論家・鹿野淳氏主催のイベントに出演します。
メンバー全員が20歳を迎え、成人式の前夜に行われたワンマンライブ【成人前夜】から幕開けした2006年に念願の1st ミニアルバム『Walls Is Beginning』をリリース。初音源作品から、コンテストでも披露された「そのTAXI,160km/h」や「行方」などが持つ少しダークな印象のギターロックと、爽やかな印象のポップロック「image training」という二面性を魅せています。
中学生のときからギターを嗜み、作詞作曲を始めていた光村のルーツ音楽は、スピッツ、サザンオールスターズ、そしてThe Beatles。一見共通項が見えにくいラインナップですが、振り幅の広いロックサウンドと言葉の表現が独特でありながらも心に突き刺さるセンセーショナルな歌詞表現の部分に強く影響されているように感じます。
2008年メジャーデビュー。バンド結成から2年後に憧れの舞台、日本武道館のステージに立つ
『Walls Is Beginning』発売以降、夏フェス、番組主催ライブ、COUNTDOWN JAPANなど様々な大舞台を踏み、2007年11月、キューンレコードからメジャーデビューを果たします。2008年1月には1stシングル『夜の果て』を、6月に『THE BUNGY』を短いスパンでリリースし更に勢いを増すNICO Touches the Walls。夏フェスシーズンを迎え、参加した各地の夏フェス及びイベント数は、メジャー1年目にしてなんと全15本!ワンマンライブのチケットを即日ソールドアウトさせる人気バンドへと急成長していきました。
メジャーデビュー後、初のタイアップとなった「Broken Youth」は、テレビアニメ【NARUTO -ナルト- 疾風伝】6代目エンディングテーマ曲として起用され、音楽ファン以外のところでもバンドの名前が広がるようになります。キャッチーで疾走感がありながら、歌声も演奏も力強く、NICOが凄腕ギターロックバンドであることを世の中に証明した曲と言っても過言ではないでしょう。
人気アニメのタイアップはこれだけでは終わらず、2009年8月にリリースされた5th シングル『ホログラム』は、【鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】オープニングテーマに起用されました。
2nd Full Album『オーロラ』を引っさげ、年をまたいで開催されたツアーの追加公演の会場となったのは、憧れの日本武道館。「Walls Is Auroras」と題されたキャリア最大規模のワンマンライブは、一部席を閉鎖する悔しい結果となってしまいましたが、今まで応援してきたファンの思いとNICOの夢が詰まった清々しいものでした。その中でも「GANIMATA GIRL」のイントロで施された演出に興奮したのを今でも覚えています。
2011年。NICOの可能性を拡げた『PASSENGER』と『HUMANIA』。足なみ揃え更なる飛躍へ
日本武道館当日に発表されたツアー【ミチナキミチ】で、今まで行ったことのない場所に行き、出来立てホヤホヤの新曲を各公演で演奏するという未踏の地に足を踏み入れる試みに挑戦。そこからシングルとして「サドンデスゲーム」と「Diver」がリリースされました。そういうことができるのもバンドの調子がいいからなのかと思いきや、裏ではバンド存続の危機が起こっていたことを、雑誌のインタビューで光村が語り、腹を割って話したことで気持ちを一つに出来たそうです。
この年から古村がコーラスワークに参加し、光村以外のメンバーがソングライティングを手がける機会が増えたことで表現の幅が広がり、ロックの壁を突破するNICOの音楽スタイルが少しずつ形となっていきます。
この「妄想隊員A」や坂倉作曲の「マトリョーシカ」からも分かるようにキテレツな曲が多く、NICOの原点を改めて振り返った印象の『PASSENGER』。青二才のパッションを残しながら、熟練したメッセンジャーとして自分達の音楽をちゃんと伝えようとする姿勢を感じさせます。
その一方で、もうひとつのアルバム『HUMANIA』は、音楽と人との繋がりをテーマにそれぞれの人間ドラマが描かれ、音楽と改めて対峙することが出来る作品です。さらに、シングルとしてリリースされている「夢1号」では、4人でのコーラスワークに挑戦しています。息の合った美しいハーモニーが印象的で、夢と現実世界を交差する不思議な世界観が描かれた情景描写が面白い曲です。
ホーンセッションを取り入れた「手をたたけ」は、音楽と挨拶の言葉さえあれば世界中の人と繋がっていける可能性が広がるというメッセージが込められたセトリ定番の人気曲。バンドサウンドだけでは表現が難しい部分にクラシック要素が加わることでこのスケールを実現させました。
2014年 NICO Touches the Walls 結成10周年イヤー。リベンジの日本武道館
結成10周年イヤーに突入し、ワンマンライブばかりを行ってきたNICOが初の対バンツアーを開催。そして期間限定のライブハウス【カベニミミ】では新旧問わず今までの楽曲を各テーマ毎に演奏するスペシャルな内容で10年目突入を祝いました。この特別な年に、苦い思い出の残った日本武道館へのリベンジに挑みます。キャリアを積んでひと回りもふた回りも大きくなったNICOの背中を強く押した曲が15th Single 「天地ガエシ」です。テレビアニメ【ハイキュー‼︎】のエンディングテーマとして書き下ろされたこの曲はリベンジがテーマ。アニメのイメージとNICOの心情がぴったりと重なったこの曲を本編の最後に歌い、4年前のリベンジは見事に果たされました。今やNICO Touches the Wallsの代表曲のひとつです。
2015年ACO Touches the Walls本格始動!2017年には初の主催フェス開催!
バンド活動11年目にアコースティック編成でライブを行うACO Touches the Wallsが本格始動します!これまでもアコースティック編成にアレンジすることはありましたが、新曲としてリリースされるのは初めての試みです。この年の夏フェスには通常ver.とアコver.でステージを盛り上げていました。翌年にはアコースティックアルバム 「Howdy!! We are ACO Touches the Walls」をリリースします。電子音から生音に切り替わって生まれ変わった曲の完成度の高さは流石のものです。
ロックバンドの壁を超えるNICOが、2017年11月25日に初の主催フェス【NICO FEST!】を開催。バンド名にちなんで毎年11月25日を“イイニコの日”と定め、スペシャルなライブを届けてきましたが、フェスのキュレーターを務めるのはこれが初。TK from 凛として時雨やクリープハイプ、BLUE ENCOUNT、東京スカパラダイスオーケストラなどに自らオファーをして実現した夢の共演では、豪華なコラボレーションも数多く行われ、持ち前の演奏スキルでステージを盛り上げました。
結成当時からキテレツなギターロックで強烈なインパクトを与えてきたNICO Touches the Walls。メジャー10周年目にして一番ひねくれていると断言する新作「TWISTER-EP-」で、全部の音楽ジャンルという大きな壁と向き合っています。NICOの音楽を心からカッコいいとおすすめ出来るのは、何年経っても新しいことにチャレンジし、もがき苦しみながら創り出すストイックな姿勢。光村龍哉の突き抜けるパワフルヴォイスとハイレベルな演奏スキルで個性の強いもの同士をミックスさせ、新しく生まれ変わった音楽は、喧嘩する事なくしっかりと手を取り合って共鳴し合うのです。
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