川谷絵音(ギター、作詞作曲&プロデュース:indigo la End、ゲスの極み乙女。など)、小籔千豊(ドラムス:吉本新喜劇座長)、くっきー!(ベース:お笑いコンビ野性爆弾)、中嶋イッキュウ(ボーカル:tricot)、新垣隆(キーボード:現代音楽作曲家、ピアニスト)からなるバンド・ジェニーハイ。彼らがいよいよ11月27日に1stフルアルバム「ジェニーハイストーリー」をリリースする。
それに先駆け、先日人気音楽番組「ミュージックステーション」に初出演した彼ら。各人の人気の高さと、それらが融合しバンドでオリジナル曲を披露する期待値、加え実際に彼らをここで初めて観、知った方々の反響は相当なもの。改めて彼らが音楽性やバンドとして世に認められた感があった。
そんな彼らの「ジェニーハイストーリー」リリースに際する合同インタビューが、上述の「ミュージックステーション」出演同日の午後に行われ、各位多忙ななか、唯一全員が揃い質疑を受けた。以下に、その回答とミーティアから投げかけた独自質問や筆者の私感も交えてお伝えしていく。
Interview&Text_Sukao Ikeda
Edit_Mine.k
多様性&個性爆発バンド・ジェニーハイ
その前にまず、ジェニーハイとはどんなバンドか? から紐解こう。BSスカパー!で放送されていたバラエティ番組「BAZOOKA!!!」。番組レギュラーの小籔、くっきー!、中嶋が番組の知名度を上げるために結成した同バンド。プロデューサー&ギターに川谷、過去同番組に出演経験もある現代音楽家の新垣を交え始動した。ちなみにくっきー!は自身でもバンドにてギターを担当していたがベースはこのバンドが初。小籔も数年前よりドラムを始め、現在も並行して「吉本新喜劇ィズ」も行っている。
2018年3月に配信曲「片目で異常に恋してる」でデビュー。2018年10月には1stミニアルバム「ジェニーハイ」をリリース。既に大型ロックフェスにも出演経験もあり、この度いよいよ1stフルアルバム発売とあいなった。またこの日から、彼らにとって初のコラボ楽曲「不便な可愛げ feat.アイナ・ジ・エンド(BiSH)の先行配信も始まった。
それぞれの多忙さをラップでカバーしたニューアルバム
まずはアルバム完成を振り返り、「こんなにメンバー間のスケジュールの合わないバンドも他にない。制作費が通常の10倍ぐらいかかった(笑)」と川谷。「半分がラップになっていて驚いた。よりいろいろなタイプの曲が揃った」と中嶋。「今回はまさかのラップが多かったので戸惑った。歌詞もなかなか覚えられないし、リズムに乗るのも大変ではあったが、いつかはそれも克服したい」と新垣が誓えば、「まさかのカバーが入っていて驚いた(実際はカバーは1曲もなし)」とくっきー!がボケる。対して小籔は真摯に、「新曲が来るたびに、その難しさに背筋が凍る思いがした。こんな新米ドラムでもここまでできたところをぜひ聴いて欲しい」と告げ、その大変さを「2曲で15時間かかった曲もあった」と語った。その言葉には、その努力故に演奏力が増し、より楽曲のバラエティさに対応できていたことを頷かせた。
重複するが今作では「ラップの割合が増えた」のも特徴的。他己紹介的な「ジェニーハイラプソディー」、あえてクールでアブストラクト、各人のスキルが試された「ヘチマラップ」、“♪背筋ピーン♪”のフレーズも印象的なこちらも自己紹介的新ラップ「愛しのジェニー」、バレンタインでの各人の淡い想い出やエピソードを想起させる「バレンタイン泥棒」などが耳を惹く。これらの楽曲に対し川谷は、「スケジュール上、バンドだけだと難しいと思いラップの曲が増えた(笑)。会話で話しているなかでできた曲もあった」とその裏側を語り、くっきー!は、「レコーディングも楽しかった。完成した曲が動き出すのがいい」と振り返った。そして新垣は「普段とは違ったエネルギーを使った」と語り、中嶋も「ジェニーハイでは自分のいいところ以上を目指した」とその作意を語ってくれた。
他にもさまざまな音楽活動を並行している川谷は、ジェニーハイと自身の他の活動での楽曲制作の差別化を「普段自分では作らないタイプの曲がこのバンドでは作れる。完成に時間がかかったが自分にとっても成長になった。それこそ全曲シングルでもいいぐらいの各曲自信作」と語り、その理由のひとつとして、「こんなバンドがゆえにふざけて映るかもしれないが、だからこそ本気で真剣にやった。歌詞は笑えるけどメロディやサウンドはかなり本気です」と真意を告げ、それを受けた小籔やくっきー!も、「本職が芸人だからこそ真剣にやった。自分では頑張っていたつもりでも、楽曲を聴き返すといつもまだまだで。ドラムの練習のために飲みに行く回数も減った(笑)」(小籔)、「アドバイス通り、あえて指引きに挑戦した。おかげさまでフック奏法を会得しさらに演奏の楽しさに目覚めた」(くっきー!)と、今作を経た成果を教示してくれた。
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