ジェニーハイ、らしさ全開のフリーライブ。

小籔千豊（Dr.）、くっきー!（B.）、中嶋イッキュウ（Vo.）、川谷絵音（G.&Prod.）、新垣隆（Pf）からなるバンド・ジェニーハイ。彼らが初のフルアルバム「ジェニーハイストーリー」をリリースした。これまで以上の幅とメンバーの特性、腕の見せどころも満載な今作。持ち前のキャッチーさを擁したメロディアスでちょっと切なくキュンとする哀愁性のある歌やラップがこれまで以上に推し進められ、そこに数多の新たなチャレンジも伺えるのも特徴的だ。そんな新たな要素も加わったその幅の更なる広がりは、人気音楽番組「ミュージックステーション」出演を経ての知名度の拡大も味方に、作品発表以降も大きな反響を得ている。

そして、そのリリース日である11月27日には、発売記念も兼ねたフリーライヴを東京・六本木ヒルズアリーナにて敢行。3000人を超すオーディエンスが詰めかけた。当日の会場は屋外。雨後の寒さも何のその、約1時間という短い時間ながらもMCにてベースのくっきー!もオーディエンスを煽っていた通り、会場を「ほっくほく」な気持ちにさせてくれた。

Photo_井出康郎
Text_Sukao Ikeda
Edit_Mine.k

川谷絵音（indigo la End、ゲスの極み乙女。、ichikoro）、小籔千豊（吉本新喜劇座長）、くっきー!（野性爆弾)、中嶋イッキュウ（tricot)、新垣隆（現代音楽作曲家、ピアニスト) と、それぞれのメンバーが各方面にて大活躍の彼ら。この東京でのライヴは今春に某フェスに出演して以来。単独公演としては今夜が初でもあった。この日は平日の夜にしてかなりの低気温な屋外ながら大勢の人が集まり、その多くの初見の方々が彼らの楽曲の良さや楽しさ、そしてメンバーのプレイヤビリティの高さを改めて実感し堪能するに至った。

ニューアルバムからの曲をはじめ、デビュー曲「片目で異常に恋してる」やRAPでの自己紹介曲「ジェニーハイのテーマ」など、前作『ジェニーハイ』収録の楽曲も織り交ぜ、文字通り選曲もまさにベストオブベスト。ラストの曲「不便な可愛げ」の際には作品同様、BiSHのアイナ・ジ・エンド（BiSH）を迎えての披露となった。加え後述するが終盤には某大物芸人の飛び入り参加もあった。

多様なメンバーならではの全力ライブ

会場に入るとニューアルバムの楽曲が場内に流れ、正面のステージのバックにはメンバーの顔を映した5枚の大型スクリーンがわれわれを出迎えてくれた。そのスクリーンが砂嵐の様相へと変わり、カウントダウンが始まる。オーディエンスと共にゼロを叫び終えると、先のスクリーンにメンバーの実物シルエットが映し出される。トラップサウンドの「ジェニーハイのテーマ」に乗り、ステージ上手（かみて）よりまずは川谷がラップをしながらステージに現れ、続いて新垣、くっきー!、イッキュウの順にステージに現れる。小籔は、ドラムの背後の幕が上がり、現れた階段上から悠々と登場。各人がリレーション式に順に自己をラップにてレぺゼンしていく。♪感動させるんだ そう、俺らがジェニーハイだ♪の特徴的なバースを会場にお見舞い。まずはあいさつ代わりの一曲で盛り上げた。最後はトレインラインとキメのポーズを決め、会場を沸かせた。

次曲はアフリカンなリズムとアブストラクトなトラックが印象的な「ジェニーハイラプソディー」。先日の「ミュージックステーション」の際はワンコーラスだったが、この日はフルコーラスにて披露。メンバー全員の息もバッチリだ。

ここからそれぞれが楽器を持ち、演奏のフォーメーションへ。以降はパーカッションとキーボードのサポートメンバーも交えた7人体制にて贈られた。「今日は楽しんでいきましょう!!」とイッキュウ。「ランデブーに逃避行」が始まる。ライブが走り出していくのを実感した同曲。アウトロではメンバーのプレイヤビリティを改めて感じさせてくれるプレイも披露。続いては、新垣のエレガントなピアノのイントロから「グータラ節」が優雅に切ない歌とともに滑り出していく。サビの切なさと上昇感の混じったサウンドが会場を心地よくたゆたわせていけば、間では川谷のギターカッティングとくっきー!のプルを交えたベースが楽曲にファンキーさを寄与していった。

飛び入りゲストはなんと千鳥のノブ！盛り上がりは最絶頂へ

「秋も深まりました。今年もあと2ヵ月。皆さん暖かいジャンパーで暖かくお過ごしください」とくっきー!が謎のMC。小籔がそれに喰いつき気味にツッコミ。コミカルな一面も楽しませてくれた。

ライヴに戻るとデビュー曲「片目で異常に恋してる」（YouTubeにてMVが1000万回以上再生を記録）では変拍子や一拍を抜いたテクニックのドラミングを魅せる小籔も見どころであった。同曲ではイッキュウも哀愁性のある切ないメロディを艶っぽく歌い、さらにイッキュウと川谷のラップや川谷のギターカッティングの上、泳ぐような新垣のピアノも印象的であった。さらにニューアルバムのトップを飾りリード曲でもあった「シャミナミ」では艶やかな歌声を染み渡らせていき、合わせて会場のボルテージも上がっていく。

ここでゲストのアイナ・ジ・エンド（BiSH）がメンバーに呼び込まれ、ステージに登場。「女性ツインボーカルの曲をやりたいと思い声をかけました。おかげさまで新たなジェニーハイが出せた」と川谷。すると、そこに千鳥のノブが現れる。「観に来ていたら、P（川谷）に誘われてステージに来た」と説明するとノブからの曲紹介で「不便な可愛げ」を披露。この曲ではイッキュウもアコギを用いてのパフォーマンス。作品同様に、アイナ、イッキュウの二人の声質の違う歌声が絡み合っていき、しっとりとしたセクシーさも交えた切ない歌声が会場の隅々にまで広がっていった。

発売されたばかりのニューアルバム「ジェニーハイストーリー」の出足も好調。年末には歌番組の特番や「COUNTDOWN JAPAN 19/20」への出演のアナウンスもすでにされている彼ら。今作を機に、より「バンドとしての真剣さと本格さ」をますます確立させてくれることだろう。今後のその活動が楽しみになった一夜であった。

＜セットリスト＞
1. ジェニーハイのテーマ
2. ジェニーハイラプソディー
3. ランデブーに逃避行
4. グータラ節
5. 片目で異常に恋してる
6. シャミナミ
7. 不便な可愛げ（feat.アイナ・ジ・エンド）

＜ジェニーハイ＞
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＜1stアルバム「ジェニーハイストーリー」＞
1. シャミナミ
2. ダイエッター典子
3. 不便な可愛げ feat アイナ・ジ・エンド(BiSH)
4. ジェニーハイラプソディー
5. プリマドンナ
6. ヘチマラップ
7. グータラ節
8. 愛しのジェニー
9. バレンタイン泥棒
10. まるで幸せ
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