スケート、サーフシーンのレジェンドが集結。
GREENROOM FESTIVAL開催直前の5月16日。突如としてアナウンスされた、レジェンドの来日決定。さらっと決まるあたり、さすがです。会場では彼らとのファン・ミーティングが開かれました。
揃いも揃ってみんなレジェンドであります。ジョエル・チューダーはロングボーダーとして世界的に有名だし、スティーブ・キャバレロはスケート界の元祖トリックスターだし、エリック・ドレッセンはあらゆる名スケートチームを渡り歩いたキャリアを持っています。
けれども、その中で群を抜いて存在感を放っていたのはトニー・アルヴァ。サーフ、スケートの両シーンから多大なるリスペクトを受ける、まさにレジェンド・オブ・レジェンドです。
彼は、かつて一世を風靡したスケートチーム『Z-Boys』の一員として名を馳せました。『Z-Boys』というのは、70年代のスケートカルチャーを牽引した(というか作った)チームで、今もなお伝説の存在として語られています。そこでトニー・アルヴァは中心人物として活躍し、彼個人にスポンサーまで付きました。しかもスケーターとしてだけでなく、ミュージシャンや事業家としての一面も持っています。
スケートにサーフィンのスタイルを持ち込んだのもZ-Boysで、そのパイオニアぶりを語り尽くすにはこの記事だけでは足りません。プール・スケーティング(今でいうボウル・スケーティング)を生み出したのも彼らです。空になったプールで滑り始めたことからこの名が付きました。
Bowl Skating Madness in Malmö: Contest Highlights | Vans Park Series 2017
トニー・アルヴァの偉大さは、『ロード・オブ・ドッグタウン』という映画を観ればよく分かると思います。本作は青春映画としても秀逸ですから、スケートファン以外の人にもぜひチェックして欲しいです。本当に良い映画だから。
Lords Of Dogtown – Trailer
(日本版のトレイラーは短かったので、英米版を)
この日は彼のトークショーも開かれたのですが、そこで語られた言葉は、先ほどご紹介したジェイソン・ウッドサイドのそれと根を同じくするもののように思います。
「トニー・アルヴァさんは、スケート以外にも様々なところで才能を発揮されていますけど、それらはどうやって培われたんですか」という問いに対して。
それぞれに対して全く別のスキルを使っているよ。やり方は一つじゃない。結果よりもそのプロセスが大事なんだ。一つ一つのスキルを磨いていって、その先に「完成」と「結果」がある。一つの完成形を得るには時間もかかるし、挫折もあるだろう。人の目を引くのは得てして完成されたものだけれど、それはプロセスほど重要じゃない。それが分かっていれば、自然と能力は身につくはずだ
トニー・アルヴァとジェイソン・ウッドサイドは、「変化することを恐れない」という点で共通しています。一方はアートの作風を変え、他方は異分野へ果敢に進出する。変化を恐れないどころか、変化を楽しんでいる印象すら受けます。彼らの気ままなスタイルは、GREENROOM FESTIVALの自由さとも共振するところがありそうですね。
GREENROOM FESTIVALの物語
コンテンツ集積型の音楽フェスティバルは、今や珍しくなくなりましたが、このイベントが他と異なるのは「物語に正当性がある」という点だと思います。フェスという舞台に繰り広げられる物語に、「海とビーチ」という大テーマがある。映画やアート作品もその文脈上にあるから、その全てに正当性があるわけです。
もちろん音楽にもそれは言えるでしょう。GREENROOM FESTIVALは、今勢いのある「横揺れ系」のアーティストがもっとも輝けるフェスだと思います。例えばイジー・ビズ。筆者は彼女のライブをイギリスでも一度観ていますが、今回のライブはその時と比較にならないぐらい良かった。
Izzy Bizu – 『White Tiger』
つまるところ、GREENROOM FESTIVALはキュレーターとして優れているのです。海を間近に臨むこの場所で、そしてその周辺のカルチャーを中心として、音楽・アート作品・オーディエンスが解け合った空間を作る。そのピースフルな正当性が『Save The Beach, Save The Ocean』に繋がってゆくのでしょう。初開催からどれだけ規模が大きくなろうとも、そのスタンスは一貫して変わっていないと思います。海と、ビーチと、僕たちと。1日目のヘッドライナー、マイケル・フランティ&スピアヘッドは、そんなGREENROOM FESTIVALの精神を体現しているようでした。
Michael Franti & Spearhead – 『Hey Hey Hey』
今年も素晴らしいストーリーを堪能しました。また来年。
Photography_REIJI YAMASAKI
Text_Yuki Kawasaki
■GREENROOM FESTIVAL’17
日程: 2017年5月20日〜5月21日
開催地: 横浜赤レンガ倉庫
<公式サイト>
http://greenroom.jp/
■After Movie公開中!
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