夜中のレッドマーキーのラインナップ(特にサタデーナイト)に刮目せよ。
フジロックの深夜帯の異様さは、あまりにも過小評価されていると思います。グラストンベリーだけでなく、「コーチェラ・フェスティバル」にも深夜帯に開催されるイベントは存在しますが、フジロックのと比べると“整い過ぎている”のです。これはカルチャーが成熟していることの証でもあるのでしょうが、何となくラインナップを予想できてしまう。試しにグラストンベリーの深夜ステージ「ARCADIA’S PANGEA」を例に出します。6月28日(金)の夜、The Black Madonna(ザ・ブラック・マドンナ)、Bicep(バイセップ)、Carl Cox(カール・コックス) B2B Jamie Jones(ジェイミー・ジョーンズ)、Charlotte de Witte(シャーロット・デ・ウィット)…。何とも恐ろしい並びであります。これぞ銀河系軍団。対して、フジロック深夜のレッドマーキーのラインナップ(27日土曜日)は。
Jonas Blue(ジョナス・ブルー)
Anna Lunoe(アナ・ルノー)
Bart B More(バート・ビー・モア)
okadada(オカダダ)
このメンツの並びを予想できた人は、恐らく地球上にいません。言い切れる。
okadada – DJ @ 森、道、市場 2018
なぜならば全員カラーが違うから。けれども、根幹のハウスミュージックであることは外さない。だから疑問符は浮かんでこない。「そういう組み合わせもあったのか!」と目から鱗でございました。異様ではあるけれども、不自然ではないのです。しかもこの並びに日本人DJのokadadaが入ってくる…。個人的に27日(土)の深夜のレッドマーキーが、今年のフジロックで最も楽しみな時間帯のひとつです。寝ずに3日目の朝を迎えるつもり。そしてnever young beach(ネバーヤングビーチ)のライブを観るのであります。
フジロックは完全にオリジナルのフェスティバルとなった
グラストンベリーをモデルに始まったフジロックは、今や圧倒的なオリジナリティを手に入れました。記事の中盤で述べたアーティストとフジロックの関係性だけでなく、アーティスト同士の繋がりをもデザインされています。たとえばASIAN KUNG-FU GENERATION(以下、アジカン)とDeath Cab for Cutie(デス・キャブ・フォー・キューティー)の同日出演。アジカンはDeath Cab for Cutieへのリスペクトを表明しており、Gotchのセカンドソロアルバム『Good New Times』では同バンドの元メンバーであるクリス・ウォラをプロデューサーに迎えました。また、Tempalay(テンパレイ)とUnknown Mortal Orchestra(アンノウン・モータル・オーケストラ)の再会もアツい。Tempalayの面々もまた、かねてUnknown Mortal Orchestraへの憧れを語っています。検索すると対談記事も出てきますね。フジロックは日本のアーティストをフックアップするだけでなく、何か関連のあるアーティスト同士を繋げる役割も意識的に担っているように見えます。
で、一番凄いのはタイムテーブル。例に挙げた4組のように、既に物語が完成しているアーティスト同士は出演時間帯が被らないように最大限配慮されるわけです。海外の音楽シーンの最前線にアンテナを立てつつ、ドメスティックなアーティストにもしっかり焦点を当てる。グラストンベリーの精神を継承し、20年以上続けた結果、そこには強烈なオリジナリティが宿ったように思います。しかも昨年に引き続き、今年もストリーミング配信が世界に向けて実施されると。日本の音楽フェスティバルとしては盤石なのではないでしょうか。
さて、タイムテーブルも発表されたことですし、本格的に準備を進めましょうか。さぁ、今年も寝ずに頑張るぞー! 体力よ、どうか持ってくれ…!
■ FUJI ROCK FESTIVAL’19
開催日 7月26日(金) 27日(土) 28日(日)
開場/開演 開場 9:00 / 開演 11:00 / 終演予定 23:00
開催地 新潟県湯沢町苗場スキー場
主催 SMASH Corporation
<イベント詳細>
https://www.fujirockfestival.com/
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