「FORCE TOUR 2019」の最終公演 in 新木場
シトシトと雨が降る中、群馬出身のロックバンドFOMARE(フォマレ)が、11月22日に東京・新木場STUDIO COASTで47都道府県ツアー「FORCE TOUR 2019」の最終公演を行いました。いやはや、恐ろしいスピードでスケールアップを続けております。大規模音楽フェスティバルの「MONSTER baSH(モンスターバッシュ)」や「METROCK(メトロック)」に出演し、いずれも大盛り上がり。今回のSTUDIO COASTでの公演も、ワンマンライブとしては過去最大規模ながらチケットはソールドアウト。約2400人の人々が彼らのために雨風に濡れながら新木場まで足を運んだわけです。その上、今回のライブの一部はスペースシャワーTVの公式LINE LIVEアカウントとスペシャアプリで生配信され、その場にいなかったファンにも当日の模様は届けられました。
言うまでもなく、現時点での集大成。MCでもアマダシンスケ(Vo&Ba)が言っていたように、STUDIO COASTはこのバンドにとって念願の地でありました。本稿では、様々な思いが渦巻く最終公演をレポートします!
無限に続くクラウドサーフィングと、ノンストップ・メロディックコア
1曲目の「Continue」からフルスロットル。イントロで演奏にドラムが入ってくる瞬間、祝砲のように特殊効果の爆発音が鳴りました。初っ端からフロアのオーディエンスがもみくちゃになりながら、全力で首を振り、そして声を張り上げるのでした。2曲目の「Frozen」あたりから、クラウドサーフィングに興じるファンも散見。それも1人や2人でなく、何人ものスイマーがお客さんの頭上を泳いでいました。ライブは2時間弱ありましたが、バラードを除いてほとんどずっとですよ…? 永遠にクラウドサーフィング。フェスやライブによりますが、今日ではこの手の力技(モッシュなど)はなかなか難しくなってまいりました。積極的に推奨するオーガナイザーはもはや存在し得ないでしょう。けれども、その行為でしか胸の内のモヤモヤを解放できない輩も世の中にはいまして、FOMAREの音楽はまさしくそういう連中のメシアなのであります。3人から発せられる轟音に乗せて、不器用に己を開放させてゆく。
で、偏見ですが、FOMAREがそもそもその当事者なのだと思います。ドラムのツービートや疾走するギターの音色がフロアの力強さを牽引し、アマダシンスケの歌声はまるで咆哮のよう。「悲しいハッピーエンド」ではステージの後方で炎が上がる演出がありましたが、音楽の力と相まって対峙するオーディエンスに負けないぐらい力強さを放っていました。オーディエンスはその肉体でもって己を開放し、FOMAREは音楽で己を発散させてゆく。アウトプットが異なっていても、フロアでぶつかり合う思いが一緒。双方の意思が合致しているときのライブはかくも美しく、刹那的であります。ライブハウスでしか見られない光景だと思いますね。
中盤では『FORCE』で見せた新境地である「赤と青」を披露。メロディックコア直系のFOMAREの感覚で生み出されたバラードです。しかし、独特。アマダシンスケのヴォーカルは紛いなきメロコア産なのですが、カマタリョウガが弾くピアノはクラシカルなJ-Popから引用されているように感じました。アルバムを聴いた段階ではっきり“新境地だ”と分かりましたが、ライブでは一層その異質さが強調されておりました。
FOMARE – 「赤と青」
新境地と言って忘れてならないのが「ONE DAY」。個人的な好みを申し上げるならば、『FORCE』の中で一番好きです。はっきりとレゲェの方法論を持ち込んでおりまして、エンジニアの冴え渡る音作りも耳を引きます。楽器の音にところどころリバーブが施され、歌詞でも質素な愛が語られていて、レゲェの研究にも時間をかけたのが分かる完成度です。スクリーンには「FORCE TOUR 2019」のハイライトやオフショットが映し出され、ひたすらピースフルな気持ちになってしまいました。…どなたか早急にMVをお作り下さい。
「5cm」や「stay with me」などで再度フロアの熱を上げ、本編は「秋の夜」を最後に一旦、幕を引きます。
万雷の拍手の中再登場する3人。開口一番に語られたのは、2017年に同じくSTUDIO COASTで開催された「REDLINE TOUR」のこと。SiMやMy Hair is Badが出演したフェスイベントのオープニングアクトを飾った彼らは、「何年後かにここでワンマンをやりたいと思っていたんですけど、叶えることができました!」と語ります。その間わずか2年です。2年のうちにここまで来ました。冒頭でも触れましたが、恐ろしいスピードです。
アンコールでは新曲の「リメンバー」を披露。この曲は渋谷駅でゲリラ的に開催された「#FOMAREの実験」(後述)プロジェクトに関連するもので、ミドルテンポでどこかノスタルジーを感じさせるプロダクションであります。
新曲発表の他にもうひとつ、FOMAREのビッグトピックがありました。それがサポートドラマーとして活動してきたオグラユウタの正式加入。彼はファンの間では既に知られた存在でして、「赤と青」のコメント欄には彼に言及するものも見受けられます。その意味では、来るべくして来た未来だったのかなと。会場からは安堵に近い感情が、ため息と共に渦巻いていたように思います。
今回はダブルアンコールがありまして、最後は最初期の楽曲「タバコ」で終わるのかと思いきや、彼らがラストに持ってきたのは「HOME」。このStudio Coastがホームにして新たな出発点。やっぱりライブハウスの感覚を強く持ったバンドだなと。高崎で無料音源配布することから始まったFAMAREが、不確定な未来に向かって再び舵を切る―。
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