MEETIA編集部員が個人的ベストを勝手に発表させてもらうベスト企画第二弾は「映画」です!映画の好みはパーソナリティがとても現れるもの。気が合いそうな編集部員はいるのでしょうか!
『アバウト・タイム~愛おしい時間について』
「今日という日を生きる。それが人生を素敵にするー。」一見、タイムトラベルの能力をもった少年のSF的映画のように見えますが、かけがえのない家族を想う映画のように私は感じています。短い人生の長い1日、何気ない日常がどんなに大切かということに改めて気付かされる映画。公開自体は2013年、3年前の作品になりますが、今年だけで何度観て、何度涙を流し、何度人に薦めたことか、、ということで私はこの映画をリコメンドします。
『続・深夜食堂』
派手な演出はないが人間味あふれるストーリーが淡々と展開されていく。
リアルでありファンタジー性を兼ね備えている傑作だと思います。
『ルーム ROOM』
電子錠付きの部屋に七年間に渡って監禁された女性・ジョイと部屋で生まれ育った子供・ジャックを描いた映画。「ROOM」から初めて外に出たジャックが太陽の光の眩さを受け止めきることが出来ない場面、映画館のスクリーンいっぱいに広がる「光」の描写があまりにも美しく、それでいて「太陽があまりにも眩しい理由」に思いを馳せると生半可に「感動」することも出来ずに作品に打ちのめされる思いをしました。忘れがたい一瞬、一場面というものがある映画が人生にとって大きな意味を持つとするならば、2016年最も「一瞬」が脳裏に刻まれた作品は『ルーム ROOM』でした。
『オデッセイ』
今年は面白い映画がありすぎてとても一本を選ぶことはできない……!って感じだったので、「体験」として最も印象的だった一本を。この映画は、宇宙飛行士のマット・デイモンが事故によって火星に取り残されてしまう、という映画なんですが、彼を助けようとみんなで作戦を練るシーンがあります。そのシーンでデヴィッド・ボウイの『Starman』が流れます。この映画を劇場で観た時、僕の二つ隣の席に60歳過ぎの女性がいたんですが、彼女が音楽に合わせて足でリズムを取り始めたんですね。気になって横を見ると、この女性、なんと、歯を食いしばりながら涙を流しているじゃないですか。泣かせるシーンでもないのに。そう、今年はデヴィッド・ボウイが亡くなった年でもあります。「この人はきっとボウイをリアルタイムで聴いてたんだろうなあ、好きだったんだろうなあ」と、知らない人の人生に想いを馳せると、なんだか意味不明な感動に胸が熱くなりました。まさに宇宙のスウィング(hazy cosmic jive)を感じてしまうような、特別な映画体験でした。
『君の名は。』
いろいろ考えた結果やっぱり今年はこれですね。『ハウルの動く城』を抜きついに歴代邦画2位、現代的なアニメーション作品がここまでヒットするのかと衝撃を受けました。この作品に影響を受けたクリエイターたちが今度どんな作品を発表してくるのかも楽しみです。
『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』
ヘミングウェイの『老人と海』やフィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』を世に送り出した名編集者 マックス・パーキンズと、小説家トマス・ウルフの友情を描いた実話。原題は『GENIOUS(天才)』。登場人物の描写や心理を事細かに描きすぎるウルフを、パーキンズは鮮やかな編集でまとめあげ2冊の本をベストセラーに導きます。2人の友情は確固たるものになったかと思いきや、ウルフは次第に常識はずれな言動、自惚れにみえる行動を次々と繰り返すようになり・・・ 。ラストシーンには思わず言葉を失います。また、これまでに生み出されてきた数々の名作の裏には、それと同じくらい劇的な物語が流れていたのだなぁと、観終わったあと、世界がすこしちがって見える映画です。
『トスカーナの贋作』
今年の夏の訃報。アッバス・キアロスタミの喪失は“人が人らしく生きる”ための光を失ってしまったような気持ちにさせられました。渋谷ユーロスペースにて9日間に渡って行われた『キアロスタミ全仕事』。キアロスタミの生涯作品を全て上映するスペシャルなイベントには3日間だけ参加しましたが、もう本当に撃ち抜かれて撃ち抜かれてしまって、あの素晴らしい才能がもうこの世にいなくなってしまった悲しいはかなりのものでした。小津安二郎の影響を随所にちりばめながら構築されるキアロスタミの世界。『トスカーナの贋作』はおっ、ちょっと違う感じ?と思いましたがしっかりとキアロスタミイズム。リアルとフェイクとは、冒頭で理解しているはずなのに物語に引き込まれていくとよくわからなくなる、気がつくとすっかり取り込まれて心地よい迷路の中にいるような感覚に。淡々とした隙間に自分の日常や未来を浮かべたり、まるでメディテーション状態。そして最後は冒頭のテーマ「贋作」に思考がたどり着いて全て合点がいく。映画は地球にお邪魔している人類の発明。キアロスタミの新たな作品が観られないと思うと、とてつもなく悲しい。女優、ジュリエット・ビノシュの美しさにもハっとさせられます。
いかがでしたか?ハリウッドからアニメ、インディペンデントまでバラエティ豊かなラインナップでした。MEETIA編集部員の人間味が少しわかったような気がします。皆さんは「そうそう!」と思う映画はありましたか?気になる作品があったら、お正月にチェックしちゃうのもアリですね!
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