5. Reliq
現行エレクトロニカ・シーンの旗手Serph(サーフ)の別名義プロジェクトReliq(レリク)。イノセントで理想主義的な音を鳴らすSerphも好きですが、混沌としていてフロアライクなReliqはもっと好きです。2014年にリリースされた『Metatropics』では、昨今のワンオートリックス・ポイント・ネヴァーとも共振するようなビートを刻んでおりましたが、今年発表された最新作『Life Prismic』ではトライバルな方向性へシフト。
Reliq – 『morocco drive』
アフリカの民族音楽の方法論が使われていますけれども、曲の内容は決してアフリカ的ではありません。複雑なビートはさらに複雑になり、闇鍋のようなウワモノはカオスさを増すばかり。けれども、抗いようもなく耳を引かれてしまう中毒性。現行ダンス・ミュージックシーンの2歩先を行きつつ、時代に関係なく人々を魅了する普遍性を持っているように思います。
ジャンルを越境するようなアプローチを採るアーティストは増えましたけれども、Reliqはその段階を優に超え、民族の際を超えてゆくところまで達していました。
<Reliq(Serph)公式Twitter>
https://twitter.com/Serph_info
6. ANIMAL HACK
以前、ミーティアでも記事を書かせてもらっておりますANIMAL HACK(アニマル・ハック)。クラブ界隈で着実に支持を集めている感がありますね。目下シングルを連続リリース中ですが、そのどれもバラエティに富んでおり、新境地を開拓するパイオニア然とした姿勢が窺えます。以前から影響を公言しているマデオンのほか、耳を引くのはゼロ年代インディー・ポップの影。
ANIMAL HACK – 『Inside』
で、このようなインディーライクな曲をリリースしたかと思えば、翌月には『Waiting… 』のようなキラーチューンを投下してくるわけです。彼らの真骨頂は複雑なドラムパターンにあると思っていたのですが、最近ではウワモノの作りにあるような気がしております。マデオンの曲の中でも特に影響が強いのが『Pay No Mind』とのこと。ちょうどこの曲ではゼロ年代インディー・ポップの最右翼パッション・ピットが起用されています。先ほど述べたこととピッタリ符合するわけですね。時代は繰り返すと言いますし、近い将来インディー・ポップのリヴァイヴァルが何らかの形で起きたとき、その先頭に立っているのはANIMAL HACKの二人かもしれません。肌感覚ではありますが、新たな波の到来の予感があります。
最近ではライブセットでのパフォーマンスもありますから、ますます彼らから目が離せません。僕もまだ『Inside』と『Waiting…』は生で聴けていないので、個人的にも楽しみにしております。
<ANIMAL HACK 公式Twitter>
https://twitter.com/a_nima_l_hack
7. Tomggg
ここまで紹介してきたアーティストのほとんどが、日本のインターネットレーベル「Maltine Records(マルチネ・レコーズ)」と関わりを持っています。tofubeatsやAvec Avec(Sugar’s Campaign)を輩出したのもこのレーベルですね。テン年代以降、日本のネットシーンにおいて抜群の存在感を放っています。で、その中でも勢いのある才能がTomggg(トムグググ)です。MPCとMIDIキーボードを巧みに使い、キラキラした音像を自在に繰り出す。
Tomggg : MUSIC SHARE#49
ステレオタイプな「kawaii」を逆手に取ったような音楽性。見覚えのある景色のはずなのに、どこか異世界的な印象も受けます。ポーター・ロビンソン(アメリカのプロデューサー)の世界観に近いかもしれません。実際、Tomgggは同氏の代表曲である『Flicker』をリミックスしております。地理関係が無効化し、海を隔てていても同じ文化圏を形成できるのはネット世代特有の感性ですよね。
どうやら10月10日に重要な発表があるとのことで、今後の動向をお見逃しなく!
<Tomggg公式Twitter>
https://twitter.com/Tomggg
8. Carpainter
TREKKIE TRAXもまた、日本を代表するインターネット・レーベルです。2012年、当時はまだ未成年だった(!)クリエイターを中心に発足しました。今や海外からも注目されており、アングラなポジションに居ながらワールドワイドな存在感があります。彼らのライブは幾度となく観ておりますが、その中でも僕が一番好きなトラックメイカーがCarpainter(カーペインター)。最新EP『Changeling Life』から表題曲をどうぞ。
Carpainter – 『Changeling Life』
80年代~90年代のレイヴサウンドにインスパイアされたという本作ですが、楽曲の約半分はトラップ的な作りとなっています。極めて複雑なリズムパターン。レイヴシーンだけでなく、多くの参照点があるように思います。ダフニやマーク・プリチャードが好きなテクノファンも気に入るのでは。
ちなみに、この曲はジャイルス・ピーターソン(圧倒的な影響力を持つDJ)もラジオでプレイしたそうです。
<Carpainter公式Twitter>
https://twitter.com/Carpainter_TT
■Japanese Underground Trackmakers
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