いま、amazarashiというバンドの人気が急激に加速している。
amazarashiとは?
amazarashiとは、2009年11月に活動を開始した覆面バンド。作詞・作曲・ギター・ボーカルの秋田ひろむと、キーボードの豊川真奈美の2人から構成されている。バンド名は「日常に降りかかる悲しみや苦しみを雨に例え、僕らは雨曝だが「それでも」というところから」名付けられたという。絶望と希望を歌い、残酷でもあり美しくもある独自の詩世界を切り開きながら、口コミなどで着々とリスナーを増やしつづけてきた。これまでミニアルバム含め10枚以上のアルバムと3枚のシングルをリリースしている。
今年に入ってから、amazarashiは活躍の場を急速に広げている。
2月22日に発売されたシングル『命にふさわしい』はPS4用ゲーム『NieR:Automata』とコラボレーションした楽曲で、オリコンチャートランキングのデイリー3位、ウィークリー5位を記録。また、シングル『ヒーロー』は、テレビ東京系の土曜ドラマ24『銀と金』(池松壮亮主演、リリー・フランキー等出演)の主題歌に起用された。さらに「アジカン」の愛称で知られるASIAN KUNG-FU GENERATIONの結成20周年を記念したトリビュートアルバム『AKG TRIBUTE』にも参加。
そして、3月29日、初のベストアルバム『メッセージボトル』をリリースした。
ベストアルバムをリリースします。
全ての曲に対して強い思い入れがある為、収録曲に関してはとても悩みました。結果、今後歌い続けるであろう曲たちを選びました。
未だamazarashiと出会ってない人の為の一枚、というふうに考えております。「メッセージボトル」というタイトルは、アマチュア時代に始めて主催したイベントのタイトルです。
その時の僕らの歌は宛のない手紙であり、願いであり、SOSでした。あの日漕ぎ出した僕らの歌の漂着地点が、今のリスナーです。
そしてここから、今日からの船出の無事を祈って、未だ見ぬ人に出会えるよう願いを込めて「メッセージボトル」どうか誰かに見つけてもらえますように。
amazarashi 秋田ひろむ
(特設サイト『MESSAGE BOTTLE』より引用)
なぜamazarashiがいま注目されているのか?
調べてみたところ、Mr.Childrenの桜井和寿など業界のビッグ・ネームもこのバンドを支持していることが判明!
どうやら、にわかにamazarashiの周りがざわつきはじめているようだ。
そこで本記事では、amazarashiのことをまだよく知らないという読者を主な対象に、このバンドの魅力を紹介してみようと思う。
まず、amazarashiに魅了されているファンの声や著名人の声をいくつか拾いあげる。そのうえで、著名人からも支持される理由として「MV」「ライブ」「歌詞」「歌声」の4つの魅力に注目してみよう。
著名人も絶大な支持
Mr.Childrenの桜井和寿は、雑誌『MUSICA』2015年1月号のインタビューで、最近5年間の音楽シーンについて訊かれ、「amazarashiとか凄い好き」と答えている。
その1年後には、amazarashiのアルバム『世界収束二一一六』をめぐってスガシカオと「激論」を戦わせたことを、スガシカオ自身がTwitterで打ち明けている。
amazarashiのアルバムすごくよかった。ライフイズビューティフル→エンディングテーマは、もう神の領域だった。桜井くんともこの件で激論になったわ。
amazarashi 『エンディングテーマ』
Music Video https://t.co/sbGCpXNwQU— スガシカオ@5/6 スガフェス@たまアリ (@shikaosuga) 2016年2月29日
スガシカオが「神の領域」とまで呼ぶこのバンドの楽曲制作に魅せられたミュージシャンは他にもいる。
たとえば、中島美嘉。
中島美嘉は秋田ひろむに楽曲提供を依頼し、それを受けて寄せられた『僕が死のうと思ったのは』と『Today』の二曲を、自身のシングル『僕が死のうと思ったのは』のなかで歌っている。
(中島美嘉『僕が死のうと思ったのは』MV short ver.)
ほかにも、高橋優、AKB48の竹内美宥、乃木坂46の齋藤飛鳥らも、自身のTwitterやブログでamazarashiをよく聴いていることを明かしている。とくに齋藤飛鳥は読書好きとして知られているので、文学的といわれるamazarashiの詩世界に共感するのかもしれない。
良い曲を聴いて胸が熱くなる感覚にずっと素直でいたい。
amazarashiの「爆弾の作り方」というアルバムを最近よく聴いてる。— 高橋優 (@takahashiyu) 2013年3月9日
【オススメの曲】
amazarashi「奇跡」
前を向こうと思える曲です。amazarashiさんの世界観が大好き。MVも素敵です★— 竹内美宥 (@take_miyu112) 2013年11月2日
「最近よく聞く音楽は amazarashiさん(…)」
齋藤飛鳥 OFFICIAL BLOGより抜粋(2016年5月5日)
ミュージシャン以外にもamazarashiを聴いている著名人はたくさんいる。
『アイアムアヒーロー』で有名な漫画家の花沢健吾は、ミニアルバム『ラブソング』のプラスチックフィルムにメッセージを載せたり、『Quick Japan』103号(2012年)のなかで秋田ひろむにメールインタビューをおこなったりしている。
amazarashiライブ観ました。素晴らしかった。なんというか二度寝した時の夢と現実の狭間にいるような浮遊感。かっこよかった。
— 花沢健吾IamaHERO21集発売中 (@hanamanko) 2013年5月31日
また、『東京喰種』を連載中の漫画家・石田スイもamazarashiのファンを公言しており、TVアニメ『東京喰種√A』のEDにもなった『季節は次々死んでいく』のシングルCDジャケットにイラストを描き下ろしている。
1/31のZepp Fukuokaのamazarashiさんのライブお邪魔させていただいてました。演奏も声も力強くスクリーンでの映像も斬新で、ライブでの良さが凄まじかった。秋田さんと豊川さんと楽しくお話できて嬉しかったです…。 pic.twitter.com/gsEnPR9LZz
— 石田スイ (@sotonami) 2016年2月2日
(amazarashi最大のヒットナンバー『季節は次々死んでいく』)
さらに、俳優の斎藤工、声優の安元洋貴、社会学者の古市憲寿など、様々な分野の著名人もamazarashiを聴いていることを公言している。2016年下半期の芥川賞候補にもなった作家の宮内悠介は、秋田ひろむが『別冊文藝春秋』2016年3月号に寄稿した詩とエッセイを「品がある」と好意的に評した。
ちなみに宮内悠介と石田スイは、『エンディングテーマ』のMVにも参加している。
なるほど。雨降ってるとamazarashi聴きたくなるのね、俺。今は「祈り」。
— 安元洋貴 (@__yasumoto__) 2016年2月20日
さっきからずっとamazarashi聞いてる。僕がよく聞く音楽の中では、中島みゆきに一番似ていると思う。世界の隅っこで生きていると思い込んでいる人のための音楽。もっと色んな人に曲提供して欲しいなあ。
— 古市憲寿 (@poe1985) 2016年3月8日
こともあろうに、amazarashiの新曲、『エンディングテーマ』のMVに少しだけ参加させてもらいました(背景部分)。映像は、歌に合わせたリアルタイムのフェイスマッピング! https://t.co/8GmSJpvONn
— 宮内悠介 (@chocolatechnica) 2016年2月23日
このように、多くの人々の胸を熱くさせるamazarashiの魅力とはいったい何なのか?
その秘密を探るため、まずは、先進的な映像とコラボレーションした彼らのMVに着目してみよう。
次のページは「MVの魅力/ライブの魅力」
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