5. 『トレインスポッティング』に見るUKの姿
劇薬のような作品です。思い切り個人的な話になりますが、この映画のおかげで筆者はイギリスに渡ることになりました。
マーク・レントンと彼の仲間はヘロイン中毒。ケンカが趣味のベグビー。気のいい小心者スパッド。女たらしのシック・ボーイ。そしてセックスもドラッグもOKの女子中学生ダイアン。窃盗、詐欺、万引きを繰り返し逮捕されたレントンは更生を決意。ロンドンへ出て就職する。だが強盗で手配されたベグビーとシック・ボーイが押しかけてきて会社はクビ。地元へ戻れば、待ち受けていたのはヤク漬けのまま死んだ友人の葬式だった。圧倒的な絶望感の中、レントンと仲間たちは人生を変える賭けに出る。売人から大量の麻薬を仕入れ、ロンドンでさばけば大儲けだ。大金と新しい人生。彼らはそれを手に入れる事ができるのか? – アスミック公式サイトより
映画『トレインスポッティング』予告編
今回の爆音映画祭では、本作の続編『T2 トレインスポッティング』と併せて上映される模様。最高の二本立てですね。
退廃的なUKの若者の物語と、それを彩る音楽。彼らの生き様に心から憧れ、かの国の音楽をむさぼるように聴くようになったのは筆者だけではないはずです。プライマル・スクリーム、アンダーワールド、ブラー・・・。本作のサントラを彩るのは、至高のUKサウンドであります。今回の爆音映画祭では、五感でもって「イギリス」を体感してください。
6. 『アンダーグラウンド』が提示する旧ユーゴの歴史
エミール・クストリッツァとアキ・カウリスマキは、良い意味で大人だと思います。どう考えても深刻なんだけれども、それを笑い飛ばして見せたり、時には檄を飛ばしながら建設的な議論を進める。『アンダーグラウンド』はその最たる例ですね。
ナチスドイツ占領下のセルビアを舞台に、レジスタンスとして活躍する男のいい加減なアイディアで敵をあざむく為、広大な地下空間(アンダーグラウンド)へ避難し、戦争後も人知れず50年もの間生活していた人々の群像劇。政府の要職に就いた詐欺師、武闘派の電気工事技師、美貌の舞台女優3人による恋と裏切りに満ちた半世紀の物語を軸に、戦争や紛争をカオス的コメディーに仕立て上げた20世紀の傑作。
映画『アンダーグラウンド』予告編
セルビアは元々「ユーゴスラビア」という社会主義の連合国だったわけですが、これを語っていると記事を二つ書かなければいけない長さになるので割愛します。『アンダーグラウンド』で描かれるのは、この旧ユーゴの歴史そのものです。痛ましくて目を背けたくなるような事実が連続しておりますが、そこに彩りを加えるのはジプシー音楽。エネルギッシュなブラスバンドの音色は、旧ユーゴ時代を生き抜いた人々の叫びのようでもあります。この映画も爆音でしかと見届けていただきたい。
7. 『未知との遭遇』を、たった5音のために爆音で観て欲しい。
SF映画はその特性上、爆音がハマりやすいとは思います。けれどもこの作品に関しては、単純にSFモノだから推したいわけではありません。「音」がとにかく重要。
インディアナポリスで続発する謎の停電事故。調査のため派遣されたロイは、そこで信じられないような出来事を目撃する。だが、彼の驚くべき体験を誰も信じようとはせず、調査は政治的圧力によって妨害されてしまう。しかしロイは何かに導かれるように、真実の探求を始めた。そして彼が辿り着いた場所とは…。 – ソニー・ピクチャーズ公式サイト
映画『未知との遭遇』予告編
「5音」というキーワードを覚えておいてください。SF映画史に燦然と輝く「交信」のシーン、このためにこの映画は存在していると言っても過言ではないでしょう。すべからく爆音で聴くべきです。本作の音楽を担当したのは、映画音楽界の巨匠ジョン・ウィリアムズ。まさに天才の所業です。
上映スケジュールはコチラから。狙っている作品があれば早めに上映日程を確認することをおススメします。何せこの本数ですから、作品によっては上映回数の少ない映画もあります。『アンダーグラウンド』に至っては2回だけ。見逃していた作品も中にはあるでしょうし、この機会をお見逃しなく。
■新宿ピカデリー 爆音映画祭
開催地: 新宿ピカデリー
日程: 2018年2月10日~3月2日
1作品一律: 1800円(税込み)
<公式サイト>
http://shinpicca-bakuon.com/index.html
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