毎月テーマを変えて、さまざまな人に選曲をお願いしている「MIXTAPE」企画。
今回のテーマは「映画的。」。「映画的」とはいろんな解釈が可能だと考えます。ストレートに大好きな映画の音楽、まだ見ぬ景色を見せてくれる叙情的な音楽、想像力を掻き立てられるドラマチックな音楽、記憶を手繰り寄せてくれる音楽などなど、「映画的である」というそれぞれの解釈のもと、ミックステープをお届けします。
細田守監督作『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』『未来のミライ』の映画音楽をはじめ、CM音楽、執筆活動まで幅広く活動中の音楽家・映像作家の高木正勝さんが登場です。
Orcas and Waterphone / Jim Nollman
シャチ、そして男が、一緒に歌い奏でております。
その事実だけで、この世界の調和が約束されたような、そんな安心感を与えてくれます。
離れているもの、離れてしまったものごとが、結ばれあって、あたらしい世界を生み出すこと。
それが芸術の真髄だと思っています。
Eight Melodies / 田中宏和 / 鈴木慶一, Michael Nyman, St.Paul’s Cathedinal Choir
ファミコン・ゲーム「MOTHER」のためにつくられた音楽ですが、このバージョンはピコピコ音ではありません。
マイケル・ナイマンの編曲で、オーケストラとボーイソプラノを中心とした壮大な曲に仕上がっています。
「MOTHER」のTVCMでは、この音楽が流れていて、たったの30秒でしたが、子どもの頃の自分にとって映画的なものがすべて詰まっていました。
Spiegel Im Spiegel / Arvo Pärt
流すだけで空気が清められるような気がします。
深い静けさや安らぎを感じられるのが、とても映画的だと思います。
Future Quest (The Call) / Meredith Monk
男性と女性のコーラスの掛け合いが美しい。
歌声に言葉がのっていない分、様々な言葉が自分の中から立ち上がっては消えていきます。
波の盆 / 武満徹
素直にとても映画的な音楽だなあと思います。音の豊かな重なりが、さまざまな心や光景を運んできます。
音楽を聴いているだけで十分です。
Fin de nuit (End of the night) / Pierre Huguet
なんて豊かな音。ほんとうに豊か。
Metazoon / Ursula Bogner
まるで原子たちが喋っているよう
PROFILE
高木正勝
1979年生まれ。京都出身。
長く親しんでいるピアノを用いた音楽、世界を旅しながら撮影した「動く絵画」のような映像、両方を手掛ける作家。
細田守監督作「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」「未来のミライ」の映画音楽をはじめ、
CM音楽、執筆など幅広く活動している。
最新作は、自然を招き入れたピアノ曲集『マージナリア』、6年間のエッセイをまとめた書籍『こといづ』。
◼︎最新アルバムリリース情報◼︎
『Marginalia (マージナリア)』
¥2,800+税 WPCS13805
国内盤デジパック仕様。日本語コメントシート付属。
山の中にある高木のピアノとその自然豊かな光景をそのまま切り取ったかのような穏やかで生命感に満ちた音楽。
陽光、影、雨に雷、鳥や虫に獣、風、草花や樹々、すぐそこにある自然を招き入れて、共に奏で合うピアノ。
付け足しもやり直しもない、その日その場で出会ったすべてを愛おしく綴った、日々の記録。
新しいピアノ・ミュージック『Marginalia(マージナリア)』。現在も進行中のシリーズより、13篇を収録。
詳細はこちらから
◼︎著作本情報◼︎
高木正勝 著『こといづ』
¥1,800+税 ISBN 9784863241299
A5判変形・260ページ
『こといづ』とは「コトが出づる」という意味の造語。
丹波篠山の小さな村で暮らす日々の驚きと発見、高木夫妻の家にたびたび遊びにくる80代のハマちゃん・昔気質の大工職人スエさんをはじめとする愛すべき村人たちとの交流、映画音楽ができるまでの苦悩と喜び、ソロモン諸島・エチオピアをはじめとする旅の話、自然と人間の限りあるいのちについて……。
ピアノを弾くように、歌をうたうように綴られる言葉を、2012年から現在まで続く雑誌ソトコトの連載から収録。
高木正勝による初の著書であり、この世界のすべてがいとおしくなるエッセイ集。
なんだこの文章!
これはほんとうに人間の生身の男の人が書いた文章なのか?
家や森や草や風が書いたんじゃないのか?
すごい人だ。
吉本ばなな
詳細はこちらから
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