毎月テーマを変えて、さまざまな人に選曲をお願いしている「MIXTAPE」企画。今回のテーマは「アメリカ」。
「アメリカ」が持つ姿は人それぞれ。摩天楼の街並み、ゆったりとしたレイドバックな風景、乾いた大地、往年のギターヒーローなどなど。時代や場所から想像される「自分の中のアメリカ」をミックステープでお届けします。
神奈川を拠点にするバンド・kuhのメインコンポーザー兼Vo/Gとして活動する傍ら、フリーのサウンド・ディレクター、DJとしても各方面で活躍しているクボタマサヒコ のアメリカの音楽とは。
「アメリカ」。それは個人的に、LOVEとHATEが入り交じる固有名詞。
僕は世代的に’80sのアメリカン・ポップ・カルチャー(音楽・映画・ファッション)ど真ん中。今考えれば、当時の日本の外交的にもアメリカの文化が最優先で輸入されていたのは当然のことなんだけど、音楽を狂ったように聴き漁ったり楽器を始めたりするキッカケになったのも、間違いなくそんなアメリカ文化の影響があってこそ。
今回は、そんなルーツを経てからの、主に近年の「アメリカ」な音楽をセレクトしてみました。
Now, Now『Set It Free』
ここ最近の新譜の中では断トツの出色。シンセポップに寄せたアプローチなので、CHVRCHESとか好きな人にもグッとくるハズ。USインディーの良心・The Postal Service的な雰囲気もありつつ、ex.Death Cab for Cutie クリスのレーベルからのリリースということで、優良ギターバンドのDNAも脈々と受け継がれていて、良くないわけがありません。
Sunny Day Real Estate『Seven』
20歳の時に初めてLAに行って、翌年には車を借りて(国際免許が取れるのが21歳からだった)、1ヶ月くらい西海岸をあちこち旅してたんだけど、ラスベガスに向かうあの砂漠というか荒野を(本当に何も無かった)、ダース買いしたペプシを飲みながら延々とハンドル握っている道中、カーステレオから幾度となく流れていた曲。バンドの名実ともに “EMO God” と呼ぶのは余りに容易いけど、僕が世界で一番敬意を表しているバンドに違いは無い。言わずもがな、シアトルの老舗SUB POPからのリリース(ベーシストのNate MendelはFoo Fightersオリジナルメンバー)。
RAC『I Still Wanna Know (feat. Rivers Cuomo)』
DJをする際に、RAC名義のRemixをよくプレイしていたんだけど、まさかこんなに叙情的な曲を書けるソングライターだったなんて。Simon & Garfunkelを愛聴しているというのも頷ける。ポルトガルからポートランドに拠点を移し活動していて、まさしくS&G “America” の歌詞を地でいっている。そして何と言っても、Rivers Cuomo(Weezer)がVoとギターソロで参加、MV含めて非常にザ・USAな出来栄え。
RHYE『Open』
先日の大絶賛されている来日公演も記憶に新しいRHYE。個人的には初来日のリキッドルームでのパフォーマンスが、今でもありありと目に浮かぶほど(想像を斜めに超えた素晴らしいステージだった)。彼等の音楽は、薦めた人は間違いなく好きになってくれるという強力な磁力を持っていて、このめくるめく官能が皆の胸の奥で密やかに花開いているのだろうと思う。どこかヨーロッパ的な耽美さがあるにも関わらず、結成はLAというギャップも魅力。
Cashmere Cat『9 (After Coachella) feat. MØ & Sophie』
美しい。知的、でメランコリック。かと思えば、Ariana Grande, Selena Gomez, Camila Cabello, The Weeknd, Kanye Westと、客演の錚々たるUSセレブ感。この曲ではMØが参加、これもたまらなくキュート。彼もまた、ノルウェーからLAに拠点を移しているアーティストのひとり。
Beach House『Dark Spring』
これも最近の良過ぎた新譜の一つ。ボルチモア出身、最終的にLAで完成したという本作は、現時点でのシューゲイズ~ドリームポップの最良かつ最新の形態ではなかろうか。前出のSunny Day Real Estateと同じく、SUB POPからのリリースでアルバムタイトルが「7」、っていうのはたまたまの一致だけど、胸がアツい……!
Hayley Kiyoko『Girls Like』
まずMVのシチュエーションが、いわゆるアメリカンなドラマ設定かと思いきや、この展開がもう……(涙)。なんでこんなにも胸にグッとくるんだろう(観る度に泣いている)。これはもう性別を超えた共感を呼ぶ、LGBTラブソングのアンセムになっていると言っても過言では無いのでは。
BEAT CRUSADERS『HIT IN THE USA』
あれ……、元祖 “U.S.A.”?! こんな平和な時代もありましたね。本当にあの頃のアメリカは憧れだったんだなーと。こんな大味でいいの…?? ダサくない?! ってメンバーで笑いながらレコーディングしていた記憶が。アメリカ〜!!!
PROFILE
クボタマサヒコ
神奈川を拠点に活動するPOPミュージックバンド、kuh(クー)のメインコンポーザー兼Vo/G。
インディーズレーベル”CAPTAIN HAUS RECORDINGS” を主催する傍ら、フリーのサウンド・ディレクター、DJとしても各方面で活動中。
<イベント情報>
2018.6.29 (Fri)
Zushi Music Cafe Bar
“Night Sea”
Venue:逗子CINEMA AMIGO
Open:20:00 ~
DJ Fee:¥500
DJ:クボタマサヒコ(kuh)& more
Guest DJ:sleep sheeps
Food:食堂kasiko x クボタ食堂
Books:ととら堂
地元・逗子で、ミュージックサロンの様なDJイベントを開催します。
音楽やアート好きな皆さんに、健全な夜遊びしに来て貰えたら嬉しいです。
海の側の小さな映画館で、美味しいゴハンとお酒片手に、ナイスミュージックで踊りましょう。
info: contact@comrade-info.jp
twitter:@comrade_info
CINEMA AMIGO
SHARE
Written by