新しい1年が始まりました。エンジン全開な人もスロースターターな人も、これから始まる1年をいろんな思いで過ごしていることでしょう。ミーティアがお送りする2017年1発目のMIX TAPEはズバリ「高まる音楽」。テンションが上がるとか興奮するとかイージーな感じではなく、「高まる」。自分の内側をゴゴゴゴっと大きく突き動かしてくれるような、そんな「高まる音楽」。R&B/ソウル・ミュージックをメインとした音楽ジャーナリスト林剛さんによるMIXTAPEです。
#1 Billy Paul『People Power』
「Me And Mrs. Jones”のヒットで知られる70年代フィリー・ソウルのシンガー。「僕たちの人生は一人の男によって仕切ることができない」「皆で力を合わせて」というメッセージは2017年の現在にも(にこそ)リアルに響く。」
#2 New Edition『Mr.Telephone Man』
「80年代のジャクソン5的存在。もともとはジュニア・タッカーが歌っていたレイ・パーカーJr.作の曲で、最近ではエリカ・バドゥがリメイク。電話回線が繋がらなくても、これくらい爽やかにいきたいものです。」
#3 Bruno Mars『Chunky』
「現代最強のポップ・スターによる2016年の最新作から、グルーヴするベースがカッコいいミッド・ダンサー。マイケル・ジャクソン“Baby Be Mine”のGファンク解釈とでも言えばいいでしょうか。女性を気分良くさせる曲ですが、男でも気分が良くなります。」
#4 Nao Yoshioka 『Make The Change』
全米デビューもしている日本の歌姫。ネオ・ソウルの進化型を目指した最新作『The Truth』は彼女の最高傑作だと思っているのですが、その原点とも言えるのが、ポジティヴなメッセージを込めたデビュー曲。今後も聴き続けるでしょう。
#5 School Girl『The Love Experiment』
「フューチャー・ソウルを標榜するNY拠点の新世代ソウル・バンド。2016年に日本先行でリリースされた初公式アルバムからの曲で、〈J.ディラ以降〉のアップデートされたフレッシュなビート感覚とハイブリッドなセンスが光る。2017年に飛躍しそうな予感。」
#6Bouncin’ Back (Bumpin’ Me Against The Wall) 『Mystikal feat.Pharrell Williams』
「南部の王子”なる異名も取るラッパー。ファレルの客演でも話題のこれは、バウンスとセカンドラインという新旧ニューオーリンズのビートを掛け合わせ、JBみたいな圧のある声で斬り込んでいく。15年前のヒットだが、今でも十分熱い。」
#7 Chuck Brown 『It Don’t Mean A Thing』
「ワシントンDCのローカル・ファンク=ゴーゴーの神様。デューク・エリントンのジャズ古典をパーカッシヴなゴーゴー・ビートで粋に聴かせるこれはライヴにおける定番。悩みを吹き飛ばしてくれます。」
#8 Tony Bennett & Lady Gaga 『Cheek To Cheek』
「こちらも有名なジャズ・スタンダード。数多くのシンガーに歌われていますが、近年ではトニー・ベネットとレディ・ガガという60歳差のイタリア系アメリカ人コンビによってカヴァーされたものが秀逸。このくらい幸せな気持ちになれたら…と願わずにはいられません。」
#9 Aaries 『Don’t Give It Up』
「ミュージック・ソウルチャイルドの初期作品でバック・コーラスなどを務めていた双子姉妹。15年以上活動していながら未だ公式アルバムが出ていませんが、2010年に発表したこの爽やかで可憐なグルーヴィ・チューンは快作。いつ聴いても心がリフレッシュされます。」
#10 James Fortune & FIYA feat. Monica & Fred Hammond『Hold On 』
「カーク・フランクリンに続くゴスペル・リーダー率いるクワイアがR&Bの歌姫とゴスペル界の奇才を招いて歌った清らかでメロウなナンバー。クリスチャン・ソングだけど聴き手を選ばず勇気を与えてくれます。心洗われる名曲。」
PROFILE
林 剛
近著として、『新R&B入門〜ディアンジェロでつながるソウル・ディスク・ガイド 1995-2015』『新R&B教室〜マイケル・ジャクソンでつながるソウル/ブギー・ディスク・ガイド 1995-2016』(共にSPACE SHOWER BOOKSより。荘治虫氏との共著)を上梓。新刊も予定。
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