ハイセンスな“本物”をぶつけ続けるOKAMOTO’S。その若さに似合わぬ音楽マニアっぷりでも業界各所からリスペクトされている彼らが12月21日、デビュー6年目にして初めて、完全生産限定のアナログ盤と配信のみでのミニアルバム『BL-EP』をリリースする。今年最後のリリースとなる『BL-EP』の音楽的テーマは「ファンク」。ジャンルの枠を超えたOKAMOTO’S流ファンクを追求した本作を、オカモトショウ(Vo.)、オカモトコウキ(Gt.)、ハマ・オカモト(Ba.)、オカモトレイジ(Dr.)のメンバー4人が語ってくれた。
Text_MIKA ABE
Photo_KOUSUKE MATSUKI
『BL-EP』がアナログ盤EPと配信オンリーになった理由
――今年は47都道府県ツアーを成功させたみなさんですが、2016年も終わりということで、まずはそれぞれの「俺的2016年大ニュース」を教えてもらえますか?
オカモトショウ(以下、ショウ):人生初の猫を2匹飼いました。それが一番大きいニュースかな。今回リリースする『BL-EP』にも「NEKO」という曲を入れたくらいなので。
オカモトレイジ(以下、レイジ):俺は、6年住んでいた家から引っ越しました。物が増えすぎてしまったので、広い家に。
ハマ・オカモト(以下、ハマ):誕生日の前々日に、人生初の手術をしたことです。
オカモトコウキ(以下、コウキ):僕は、好きだったSMAPの解散発表です。ひとつの時代の終わりを感じました。
――と、プライベートトークから始まっちゃいましたが、肝心の『BL-EP』のお話を。間もなく発売ですが、完全生産限定のアナログ盤のほうは早くも予約で完売だそうですね。
ハマ:そうなんです、おかげさまで。
――今からお求めの方には、ぜひ配信音源をゲットしていただきたいんですが、そもそも、なぜミニアルバムをCDではなく、アナログ盤と配信で出そうと思ったんですか?
ショウ:いわゆるアナログEPというのは、今までリリースしたことがなくて。実は今回もともと予定していなかったEPリリースで、その理由は「Burning Love」という楽曲にあります。
――映画『にがくてあまい』の主題歌として書き下ろされたナンバーですね。
ショウ:これはコウキが作った曲なのですが、出来がすごく良くて、新しい自分たちをうまく表現出来た曲だになったので、「Burning Love」がこんなに新しいなら、今までの流れにある他の曲と一緒にパッケージングしないほうがいい、同じようなサウンド同士でEPにするのはどうだろう、という提案がコウキからありました。12月、クリスマスの時期にスペシャルプレゼントというイメージでリリースしたらいいんじゃないかと。
ハマ:本来なら、普通にCDとしてリリースされたと思いますが、あえて。
ショウ:最近はアナログと配信でリリースして、CDを出さないといことが世界的に多いと感じていて。アルバムをリリースすることを「アルバムをシェアする」と言ったり、ビヨンセが、急にInstagramだけで告知して配信限定でアルバムをリリースしたり。日本でもハイスタ(Hi-STANDARD)が告知なしリリースをしましたよね。そういう遊びのあることを、俺たちもやれたらいいなと。物として楽しむアナログEPと、気軽に持ち歩いて聴ける配信。両極端でリリースしてみるのもいいなと。
「Burning Love」は黒人プロデュースの白人ファンク
――そのキッカケとなった「Burning Love」は、たしかにOKAMOTO’S流ファンクという言葉が似合う、ロックミュージシャンからのファンクナンバーへのアプローチを感じるすごく新鮮な楽曲ですね。
コウキ:ありがとうございます。「Burning Love」ともう1曲、同時期に「BROTHER」という曲も作っていたのですが、「BROTHER」は自分たちのライヴでの見せ方だったり、今まで書いてきたロックテイストなもののひとつの答えとして、いい楽曲ができた。みんなで歌えるし、カッコいい。でも「Burning Love」は、OKAMOTO’Sの特徴でもある「Beek」のようなファンキーさを、ポップさを保ちながら音源に落とし込むことを、すごく上手くできた手ごたえがありました。
――グラマラスな感じもそこから来てるんですね。
コウキ:そうですね。黒人にプロデュースされている白人のようなイメージです(笑)。
――聴くと、すごくよくわかります、その感覚。そもそもの音の感じも、変わりましたよね。
ショウ今回はバンドとして初めて、星野 源さんのレコーディングのエンジニアの渡辺省二郎さんとご一緒したのですが、それが今回の音像にすごく影響しています。とくにドラムの低音部分やシンセの音作りなど。『BL-EP』は俺たち的に、裏テーマが渡辺省二郎さんと組んで全て一緒に作るということでもありました。
ハマ:僕、星野 源さんの現場と今回のタイミングが並行していまして。「Burning Love」のレコーディング前日が、星野さん現場で。そこで渡辺省二郎さんが「(Burning Loveの)デモを聴きました、どういう感じにします?」と言うので、「なんか……ゲイっぽい感じで」と言ったら爆笑しながら、「あ、わかりました~」と(笑)。そういう部分でも、渡辺省二郎さんの音ともすごい相性がよかったと思います。
コウキ:ギターも大きく変わりました。いわゆるロック的な、歪んだギターに頼らず、低い温度感で盛り上げられる音になった。クランチの様な音も、僕らがわざわざが言わなくても伝わっていて。
――ファンクといえば、ハマさんのベースのスラップが、ちょっと昔っぽい音になっているのも特徴的ですね。
ハマ:そうなんです。こんなマニアックな話をしていいのかわからないですが(笑)、新しいDI(ダイレクト・インジェクション・ボックス/ベースから出力した信号を効率よくミキサーに送るための機材)を久しぶりに購入しました。それが、少し古っぽさを感じる音にしてくれるんです。基本的には70年代ぐらいのブルーノートとモータウンで使われてた回路で、ハイにコンプがかかっている感じの音が出るのでとても気にいってます。
――そういうね、ひとつひとつの細かいこだわりみたいなのが集結してこの音が出来上がてるんですね。それが渡辺省二郎さんとOKAMOTO’Sの幸せな出会いから生まれたんですね。
音像がちゃんと見えますよね。スネアひとつにせよ、ギターひとつにせよ、そぎとられてない表情が残ってるのがすごいなと思います。
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