もっと大きなブースが欲しい!CEO・村中りか氏インタビュー
新村氏のインタビューが終盤に差し掛かる頃、ブースに姿を見せたのはCEO・村中りか氏。演奏家、作曲家、プロデューサーとしてコナミのAAAゲームのテーマ曲などを数多く手がけてきた村中氏はこの日、メインステージでドライバー・土屋圭市氏とのトークショーに臨み、その後も取材陣に引っ張りだこ。
LAに拠点を置く村中氏に、日本で初開催されたコミコンの印象やVRについて話を聞いた。
――村中さんは初開催の東京コミコンに対し、どのような印象をお持ちでしょうか。
村中:最初としては、いい感じじゃないでしょうか。アメリカ(のコミコン)には色々な人が来ていて、日本も近い雰囲気があると思います。ただ、残念なのはアメリカだとほとんど皆、コスプレなんですよ(笑)。コミコンの時は本当に凄くて、皆三ヶ月とか、一年前から作り込んだコスプレで(会場に)来て。東京だとまだそこまで作り込んでいる人は居ないので、これからじゃないですかね!でも五年くらい経てば――、今回も三万人くらいは来ているんじゃないかと思っていて。すぐに十万人くらい来場するイベントになると思います。
お手洗いで会ったお姉さんたちは「何処で(コミコンを)知りましたか?」って聞いたら、「ツイッターで知った」って言っていて(笑)。ひょっとして、(宣伝は)ツイッターがメインだったのかなって。それにしてはよく来てますよね!
(コミコン会場のメインステージではコスプレファッションショーが開催された)
――確かに、マスで事前に大きく取り上げられている印象は無かったですね。
村中:無いですよね、あまり取り上げられてなかったので。今回のコミコンには、アメコミのコアなファンが来ているんですかね。海外だとマーベル・コミックのファンだとかゲーマー、あと日本のアニメのオタクが来るんですよ。同人とか。
――そうなんですね!コミケに近い客層ですね。
村中:ああ、もうほとんどコミケです!コミコンって、そもそも「ファン」が作ったものだったんですよ。一人のファンが同窓会じゃないけど「集まろう」って言って、セーラームーンのファンだとかが集まりだして。20人、50人、500人、1000人って。30年前はほんとそんな感じですよ。10年前はほんと、何千人も来るようなものじゃ無かったです。そんな感じだったのが「ここにお金が集まるから、良いプロモーションになるんじゃないか」って言って、映画のプロモーションし出しちゃったから急にメジャーになっちゃった(笑)。コミケみたいにインディーズだったのが、それがだんだん違ってきちゃったからつまんないなって(笑)
――今回のコミコンには、VR INNOVATORさん含めVRのブースが幾つかありましたね。
村中:VRですか?今回、あんまりVR無かったですね。あまり他のブース見れてないんですけど、HTC Viveさんが出していたり。でも、数は少なかったと思っています。ソニーさん、PSVR出したのに来ないんだな、とか(笑)。今回のコミコンはやはり映画で活躍しているキャラクターがメインで、ゲームはほとんど無かったですね。ただ、数が少ない分興味を持ってくれて、ブースに立ち寄ってくれる方も多いです。
――今回、VR INNOVATORさんは初めてこういったショーに出展されたそうですね。ブースには人が絶えないですし、大盛況で!素晴らしいなと思います。
村中:ありがとうございます!ただ、自分の頭の中では「小さい、小さい!もっと大きなブースが欲しい」って感じなんですけど(笑)。シードマネーをColopl VR Fundさんから頂いて。それは製作費とイベント費なんですけど、もうほとんど無いのでまた調達しにいかなくちゃいけないみたいな(笑)。そこのところは、本当にインディペンデントなんで。
VRは音楽が重要
――村中さんは元々音楽をやられていて、そういった背景がある中でVRに大きな可能性を見出すようになった契機はあるのでしょうか?
村中:契機としては、私は三十年くらい前から3Dをやっていたんですね。で、二十年前にインタラクティブのCD-R、ハイブリッドで音楽で英語を教えるソフトを作ったんですよ。
――二十年前というと、インターネットの黎明期も黎明期ですね。
村中:そうですね、マクロメディア(当時)の『Director』で作ったので。三人で三ヶ月で作って、アメリカのロサンゼルスに行ってプレイヤーを集めて音楽を録りました。自分でストーリーモード作って脚本を書いて、プログラムはプログラマーを一人雇って、で、スキャンして色塗ってってやって。予算書を作って、レコード会社さんに行ってファイナンスをお願いしたら、部長の方が「おお、分かった」って言って次の日にお金を入れてくれたんですよ。
――スピード感が凄いですね!
村中:仕事を待ってちゃ仕事にならないんで、自分で売り込みに行くっていう。「こういうのあるんだけど、どう?」って。企画書作って、予算書作って。ファイナンスもそうです。「何処かでVR、ファイナンスしてくれないかな」って思って、ググってみたんですよ(笑)ググって、VRファンド出てきたんで「ここだ!」って。
――村中さんが音楽を担当された『メタルギア』シリーズと、今回デモを展示されているドリフトゲームの共通点は「臨場感」だと思うんですね。村中さんは「まさに自分がそこに居て、体験しているような感覚」への関心が非常に高い方なんじゃないかと思います。
村中:そうですね。私としてはVRは音を考えていて。今回(のデモ)はあまり音を入れていないんですけど、ファンの方が音を期待しているので。来年は、音については全米のトップ・アーティストを入れて、やっていきます。それで“波”を狙ってます。ガンガンとヒットする要素があるので、これから音楽をヒットさせていきたいですね。
Interview&Text&Photo_ARATO KUJU
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