映画、コミック、ゲームまで何でもあり。世界中のポップカルチャーのギークたちを熱狂させるイベント「コミコン」!1970年にアメリカで初開催され、いまや世界最大級のカルチャーの祭典として知られている。
そんなコミコンが、今年遂に日本初上陸!
12月2日~4日にかけ、幕張メッセで開催された「東京コミコン」にはマーベル・コミックやDCコミックスの人気キャラクターに纏わるブースや、『シン・ゴジラ』など日本発祥のキャラクターの迫力満点の展示が見られた。
(会場に展示されていた『シン・ゴジラ』。デカイ。)
「東京コミコン」の面白さは映画やゲームのキャラクターが大集結していることだけでも、美人コスプレイヤー(これはこれで最高だけれど)を見ることだけでもない。「東京コミコン」にはエンターテイメントに纏わる最新テクノロジーの祭典という一面も!
会場に新鮮な彩りを与えていたのが、メインブースで開催されたボーカロイド『IA』によるライブ映像の上映、そしてPlayStation VRの発売で一層盛り上がりを見せるVR技術だ。
MEETIA編集部では大盛況の東京コミコン会場を突撃!
今回、MEETIAで注目したのは「エンターテイメントとテクノロジー」。
KONAMI『メタルギア・ソリッド』シリーズや『サイレントヒル』の音楽制作を務めたことで知られる、村中りか氏がCEOを務めるVR INNOVATOR社、VRシステム「HTC Vive」の開発を行うHTC社にそれぞれ会場でインタビューを行った。
また、メインステージでボーカロイド『IA』によるライブを鑑賞、後日メールインタビューという形で『IA PROJECT』を推進する1st PLACE社へのインタビューも実施した。
インタビューの模様を、コミコンレポートと併せて数回に渡ってお届けしたい。
『メタルギア・ソリッド』からVRへ!音楽制作・村中りか氏がCEO。VR INNOVATOR社篇
コミコン会場にどん!と設けられた大画面のスクリーンと、ヘッドセット、運転席、ハンドルのセット。
『メタルギア・ソリッド』シリーズ、『サイレントヒル』、『悪魔城ドラキュラX』など二十年近くに渡り、世界中で人気のあるKONAMIの代表的なゲーム作品の音楽制作を手がけていた、村中りか氏がCEOを務めるVR INNOVATOR社が、レーシングドライバー・土屋圭市氏の監修の元、開発をすすめるVRドリフトレーシング『Fearless D』のデモには、大勢の人だかりができていた。
(VR INNOVATOR社のブースの様子)
VR INNOVATOR社がコミコンに出展した理由は何か。
名作ゲームの音楽を多数手がける村中氏が、VRに強い関心を抱くようになった契機はどういったものだったのか。
同社が考える、VRの可能性とは何か。
PR担当の新村牧子氏、CEOの村中りか氏にそれぞれお話を伺った。
ボディジャケットでVR!?PR担当・新村牧子氏インタビュー
――今回、コミコンが日本で初開催ということで!どういった契機で出展されることになったかお教えください。
新村:元々、弊社の村中(りか)が『メタルギアソリッド』シリーズの音楽制作を行っていて。小島(秀夫)監督とずっと一緒に、それこそ『メタルギア』が始まる前、チームが四人くらいだった頃から。当時のゲームの音楽って、正直に言うと大したことは無かったんです。そういった中で、(『メタルギア』シリーズには)映画レベルの音楽を付けようと。いまではゲームの音楽はかなりレベルが上ったんですけど、そうした試みを行ったのは彼女が最初でした。
村中はLAに拠点があり、音楽だけではなくインタラクティブメディアを多くプロデュースしてきています。VRの可能性も彼女は昔から認識していて、(取り組みを)二十年以上前から行っているんです。
――二十年以上前となると世間の認知も甘く、制作ツールも全然無いという状態ですよね。
新村:そうなんです。それで当時は(VRの取り組みが)世の中には出ていかなかったんですけど、彼女はVR(の将来性)を分かっていて。で、いまやっとこのタイミングで「来た」という感じなんですよね。彼女にとっては、VRは「新しい見地を得た」というよりは「やっと来た」っていう感じです。
村中は『メタルギア』の音楽を作っていたことで、元々世界中のコミコンから呼ばれていたんですね。で、今回東京でコミコンが開催されるということで村中に声が掛かったんです。そこで今回、コロプラから出資いただいたVR INNOVATOR製作監修のドリフトのゲームの企画があったので「何か出来ないか」ということになり、出展させて頂いたんです。
――今回、コミコンに出展しているドリフトゲームはあくまでデモであり、完成品では無いそうですね。
新村:ええ。逆に言うと(出展の話が来てから、デモ製作を開始し)二ヶ月足らずでここまで出来たことが奇跡的というか。
――出展されているデモはヘッドセット、運転席、ハンドルが一体になった本格的なものですね。
新村:村中はこういったものを作りたかった訳ではなく、本当は(画面と連動して)椅子ごと動くようなものを作ろうとしていたんです。でも、今回は時間の関係もあって出展しているデモのような形になりました。現状のものは、彼女にとっては「まあまあ」という感じだと思いますね。実は、いまボディジャケットを着るとそれがコントローラーになり、ああいう(デモのドリフトゲームで使用しているハンドルのような)コントローラーが不要になるというのを開発しているんですよ。
――ああ!それを着て、動くだけで操作ができるんですね!
新村:そうです!いま、試させてあげたくて。ちょっと、担当のプログラマーを呼んできますね。
新村氏が連れて戻って来た外国人のプログラマーの方の手には、Unityを立ち上げた状態のPCと一着の黒のボディジャケット。にっこりと笑みを浮かべた彼に「Can I Try This?」と訊くと、「Sure!」とのこと。開発途中であるという、ボディジャケットのコントローラーを今回、特別に試すことが出来た。
画面上には、一台の車が止まっており、前傾姿勢を取ると車が前に進み、身体を右に倒すと右に曲がる。左折、バックも同じ要領だ。ボディジャケットに内蔵されたセンサーはとても繊細で重心のちょっとした移動も見逃さず、身体の傾きに応じて車は直進したり、曲がったりする。ちなみに僕の重心は右に傾いているようで、操作する車は右に曲がってばかりいた。インナーマッスルを鍛える必要があるかもしれない。
一通り、コントローラーを体験した後、インタビューを再開した。
コンテンツを臨場感溢れる体験として仕上げる
――いまはまだVRというと、ヘッドセットのイメージが強いですよね。そういったインターフェースは村中さんにとっては……
新村:全然だと思いますよ!ボディジャケットのコントローラーは、それを着た状態で前に動くと(画面も)連動して。センサーになっているので、将来的には高齢化社会に向けて老人の徘徊を防いだり、血圧や心拍数といったデータを取って、それをリモートで家族の方が把握できるようにしたり。もっとアクティブに高齢者の方が動けるようにする、といったところまで考えています。VRというとゲームだけ、という印象がありますが村中が見ている世界はもっと広くて。
――なるほど。ちなみにいま(取材時)もデモ機には行列が出来ていますね。お客さんの反応ってどうでしょう?
新村:こんなに(VRで)行列が出来ることも中々無くて。村中は音楽にすごくこだわるんです。本当に音楽に対してはすごくて。その上で、彼女は音楽だけでなく(コンテンツを)臨場感溢れる「体験」として仕上げることが出来るんです。それらを、こうして会場でお客さんに楽しんでもらえるというのはとても嬉しいですね。
次のページは「もっと大きなブースが欲しい!CEO・村中りか氏インタビュー」
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