感謝の気持ちが、ラブソングを作る
――そして「魔法の絨毯」がバズを起こした後、昨年の10月にはバンドサウンドを基調にしたをEP(『Magic』)をリリースしています。
川崎 : 8年間弾き語りでやってきたので、聴いてくれている方にはそのイメージがあると思うんですけど、そうじゃない部分も見せたいなって気持ちがあって。音源としても弾き語りの作品は『I believe in you』があるので、バンドでも歌えるんだよっていうのを表現したくて作りました。
――リリースされた時期を考えると、バズが起きる前から制作をしていたんでしょうか。
川崎 : そうなんですよね。なので模索する気持ちもあってバンドサウンドの作品を作り始めたんですけど、そうしたら作ってる最中に(「魔法の絨毯」が)バズって、「どうしよう、これ...?」っていう。「魔法の絨毯」がめちゃバズったすぐ後に出る作品がバンドやで? みたいな(笑)。
――確かに(笑)。制作はどのように進んで行ったのでしょうか。
川崎 : 全部宅録で作っています。ドラムの音源は僕が打ってますし、ギターとベースは専門時代の友人にお願いしましたね。ミックスも全部僕がやっていて、最後のマスタリングだけエンジニアにお任せしました。コロナ禍でもできることってなんだろうって考えた時に、僕は大層なレコーディングルームを使って録る必要ないと思ったし、機材を持ってるんだから自分達だけで全部やっちゃえばいいじゃんっていう発想でやっていって。たぶん予算も2万円かかってないくらいだと思います。
――それは今表現したいことが、宅録でできることだったからでしょうか。
川崎 : 一番に考えていたのは、とにかくリリースを早くしたいということでした。『I believe in you』を出してから2年経っていたので、次の表現を発表したかったし、コロナ禍でみんなが苦しい時期を過ごしてた中、そんな流暢に作ってる場合じゃないなと。早くみんなに届けたいっていう気持ちが強かったんですよね。だったら自分ひとりでやったほうが早いってう、そういう理由です。
――コロナはミュージシャンにも多大な影響を与えましたよね。
川崎 : そうですね。ただ、僕はコロナ禍にならなかったら売れてなかったと思うんですよ。ステイホームが続いて、みんな家でやることないからSNSやTikTokを見る機会が増えて、そこで初めて僕とリンクしたんですよね。あと、アコギを買って家でギターを始める人も増えたみたいで、僕の曲はコードも簡単でメロディも歌いやすいから、弾き語りでカバーしてくれる人もめちゃめちゃ増えたりして。
――なるほど。
川崎 : 僕はそもそも、過去に戻りたいとは思わないんです。もちろんライブはしたいんですけど、僕のベクトルは“こういう社会の中でどうやって楽しく過ごすか”っていう方向に向かっているので、YouTubeでカバーを上げてみたり、インスタで弾き語りしてみたり、この時代の中でどんな表現をしていくかを考えています。
――『Magic』に収録されている「光さす」の中でも、<どんなことがあっても結局は笑っている奴が一番最強>という語りがありますね。
川崎 : 僕は結構悩むし、考え込むし、傷つきやすいし、メンタルが弱いし、エゴサして自分の悪口を見てヘコむみたいなタイプなんですけど(笑)、なんだかんだ僕の悩みって3ヵ月後には忘れてるんですよ。僕の人生の中で、3ヵ月前の悩みが今でも続いているってことは1個もなくて。そう考えたら今の現状も、笑って楽しく過ごしていたほうが得じゃないですか。悩んで3ヵ月後に笑うより、今笑って3ヵ月後も笑っていたほうが絶対に良いから。さっき言われた歌詞は、自分の歩んできた人生の中で気づけたものですね。
――1月にリリースされた「サクラウサギ」は、新しく書かれた曲なんですか?
川崎 : 専門時代に書いていました。高校を卒業した1年後くらいに作ったもので、ちょうど栃木から東京に出てきて1年経って、(専門学校の)卒業の時期が近づいてきたことで寂しさを感じたり、そこで思い出した高校の時の卒業のことを考えながら書いた楽曲です。
サクラウサギ【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
――最後は<『好き』って言えない>という言葉で終わりますね。
川崎 : 最後のフレーズは凄く悩んだんですよ。自分の体験というよりかは、僕がこの曲で歌われている女の子だったらどうするだろうな、と想像しながら書いたんですけど。卒業式の時に自分の気持ちを言えない子はいると思うんですよね。で、この曲のゴールとしては、この曲を反面教師のように聴いてもらって、“私は伝えよう”って思ってもらえたら嬉しいです。それもあって、ハッピーエンドじゃなくてもいいかなって思ったんですよね。
――そうした楽曲を今リリースすることに、何か必然性があったんでしょうか?
川崎 : そうですね。コロナ禍の影響がやっぱり大きくて、僕の元にも“卒業式がなくなってしまいました”とか、“文化祭や体育祭、学祭や合唱コンクールがなくなりました”っていうコメントが沢山来るんですよね。僕は高校時代が凄く楽しかったし、文化祭がきっかけで東京に出ることを決意してるので、凄く大きいことだと思うんですよ。
――なるほど。
川崎 : そうした行事がなくなることで、人と人との繋がりやコミュニケーションが減ってるとも思ったし、そこで言いたいことを言えない人がきっと沢山いるんだろうなと思って。そう考えていく内に、“あ、「サクラウサギ」あるがな”って繋がっていって。この曲をリリースすることで、誰かが勇気を持って気持ちを伝えてくれたら嬉しいなと思って発表しました。
――昨年「魔法の絨毯」が世に知れ渡って以降、『Magic』、「今夜のクリスマス」、「サクラウサギ」とリリースが続いていますが、2021年はどんな活動をしたいと今思っていますか。
川崎 : まずやるべきことは良い歌を歌い続けることなんですけど、今一番やりたいのは、初期から応援してくれているみんなへの恩返しです。僕の根本にあるものって、愛情とか人に対する感謝なんです。反骨心ももちろんあるんですけど、それ以上に関わってくれた人や、応援してくれてる人に対する感謝の気持ちが一番にあって、だから僕の書く曲は自ずとラブソングになるんだと思うんです。
じゃあどういう恩返しができるかなって考えると、やっぱり僕はステージに立つしかないので。コロナ禍の影響で立てない日々が続いていますが、たとえば緊急事態宣言が明けて、夏に大きいフェスがあるんだったら、そこで沢山の人に恩返しをできたらいいなと思ってます。あとは曲はコンスタントにリリースしたいと思ってるので、夏、秋、冬とシーズン毎に曲を出せたらいいなと思っています。
「サクラウサギ」
配信はこちら
https://takayakawasaki.lnk.to/sakurausagi
川崎鷹也
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